北摂 駒宇佐八幡宮と奥山(本庄) 

更新2021.2.28やまぼうし

1.目的地:三田市上本庄 奥山(580m)
2.地形図:2.5万藍本
3.日時:2001.2.12
4.天気:曇うすら寒し
5.同行:ハナミズキ
6.コース:
駒宇佐八幡宮駐車場(10:30)→八幡宮参拝、入山(10:50)→藪こぎ→尾根(11:20〜:35休憩)→藪こぎ→鉄塔NO.33(12:05)→巡視路→分岐(12:30〜:50昼食)→奥山(13:05〜:10)→分岐戻る(13:20)→巡視路→NO.32鉄塔(13:40)→鉄塔NO31/32分岐表示(14:00)→橋→民家→県道奥山川橋→駐車場戻る(14:15)
Route mapはこちら

焼山からの奥山展望

「しし追い」
 毎日眺めている茗荷谷連山を歩こうと思っていた日がやってきた。曇空ながら三連休の最後の2月13日、今日は真面目に計画して朝9時に妻と自宅出発。黒谷山北側の破線から入山すべく池の手前に駐車、支度をしていたところ、後から小型ジープが横に止まる。中年の男性が何やら身支度をはじめた。道を尋ねようと声をかけると、池の向こうに登る道があるという。これからしし追いをすると言って長靴を履くや山に入ってしまった。
取り付きがわからず、元の場所に戻ると、別の壮年男性が遠くから我々に何やら呼びかけている。聞けば、これから猟犬を放つ。猪は背(稜線)から少し下に眠っている。今あなた方が山に入り稜線を歩かれると猪が目を覚まし谷に逃げ込んでしまう。今日は入山を遠慮してもらいたい。解禁日は2月15日までで今日が最後の猟である。反対側の山なら構わない、どこでも案内してあげると真剣な眼差し。

 地元の皆さんに迷惑をかけたらいかん。急きょ予定変更を決心、2.5万藍本の地図を広げてめぼしい山を探す。目の前に焼山の鋭峰、その右奥にいつかは登りたい奥山がある。色々の山を指しては取り付き口や山道の状況を説明してくれる。この辺の山には精通している。奥山に決定、入り方抜け方を教えて貰い猟の成功を祈って別れる。こういうこともあるんだ。彼らにとっては山は生活の場である。
「駒宇佐八幡宮」
 取り付きの駒宇佐八幡宮に車を走らす。重要文化財、古色蒼然とした実に歴史を感じさせるお宮さんである。朽ちかけた舞殿や長床がそのままとなっている。明治、大正の祭りの模様の絵が風雪に晒されたまま裸で舞台の壁にぶら下げられているのが印象的である。大鈴を鳴らし無事を祈り、右手の道の突き当たりから植林地帯に入山する。教えられた川沿いの道とは違うなと思いつつ。(神社の左手からが正解であることを後で知る)

駒宇佐

八幡宮

 

「尾根」
 すぐに道らしいものはなくなり沢のガレ場的な雑木の急斜面になる。不安ながらも喘ぎながらひたすら上を目指す。妻が引き返そうと言いたげな様子。相当登りコンパスを取り出すと西に向かっている。目指すは北であるがその方向は雑木が密集していて大変な藪漕ぎになる。とにかく稜線にたどり着けば踏跡があるはずだ。もう引き返そうにも自分の辿ったところは分かりそうもない。何か目印を残そうと梱包テープを木の枝に結ぶが透明色で目立たない。妻が登りきれないと弱音を吐く。とにかく稜線に出ることだ。30分も悪戦苦闘やっと辿り着く。やっぱり立派な尾根道が左から登ってきている(神社の左手から続いているらしい)。境界杭もあり安堵、休憩。帰りのために道の上に張り出している木の枝に紐を結ぶ。
「送電線鉄塔」
 さてここからはしっかりした踏み跡が稜線についているから安心していける。と思いきやいつの間にか藪になってしまった。雑木の隙間の広いところを辿るも稜線から外れ山腹を下り気味、岩まで現れる。もう一度戻るもほかに踏み跡道もない。えい、稜線の藪漕ぎ再び開始。ふと見ると藪の下に紙が落ちている。これは2.5万藍本の地図のコピーで、穴口山付近を辿ったと思われる赤字の径路やポイント名が書かれている。奥山への道は何も記入がない。誰かがここで落としていったもので、濡れた跡もないことからこの連休に違いない。拾って持ち帰る。何方か心当たりがあればご連絡下さい。保管しています。

と言うことはここを通った人がいる証拠で心強い。更に藪を掻き分け進むうちに向こうに送電線が見えてきた。地形図と照合、現在地点が判明する。さあもう少しの辛抱、元気が出てくる。送電線鉄塔到着。あたりが開け、天神岳や周囲の山々が見える。NO.33鉄塔だ。

NO.33鉄塔
「奥山」
 広い巡視路が北方に伸びている。快適な道である。視界もどんどん広がり背丈ほどの冬枯れの雑木を通してこれから登る奥山、東方に千丈寺山、大谷山、武庫川に取り囲まれた天神岳、茗荷谷山、遠城寺山その右には焼山、西鎌倉山、虚空蔵山などが遠望される。先ほどの藪漕ぎも忘れルンルン気分で緩い登りを駆ける。間もなく分岐、右NO.32への巡視路、直進の踏み跡道は間違いなく奥山。この辺は広々して薄日も差してきた。腹もへったので大休止昼飯とする。握り飯6個はあっという間になくなる。ラジオからのどかな昼の憩いの音楽が流れる。写真を撮りたいが丁度背丈の雑木が邪魔する。脚立があれば360度きれいに山々を撮ることが出来るのに。
 
須磨田三山の展望
さあ出発。藪の踏み跡がまたもや不明瞭になるが尾根をはずさないように林を進む。突然大きな水溜りの湿地帯が現れる。山頂に近いのに不思議である。しかし間もなく標石が現れた。その向こうはだんだん下っている。ここが山頂に違いない。林の真中で当たりの展望はない。よく見ると標石に「26」と刻んでありその向こうに見えるのは「27」である。登頂記念の写真を撮り早々に元の道を引き返す。(後でここは山頂でなく「35」であることを知る)

奥山分岐で昼食

標石が続く(NO.35が山頂)

 

「巡視路下山」
 分岐に戻ってきた。元の道を引き返すのもつまらない上に不安もあるので、巡視路をNO.32方向に下ることにする。奥山川に出て下れば戻れるはずである。うららかな春を思わせる道を快適に下る。途中からの展望は更によく、送電線の向こうに先ほどの山々が遠望できる。カメラを取り出し撮影しようと思うが逆光でいまいちである。
 
千丈寺山の展望(手前はNO.32鉄塔)
間もなく鉄塔NO.32につく。ここからは植林地帯に入り展望はなくなる。はるか下に瀧らしい瀬音が聞こえる。奥山川が近い。ほとんど里に下りたところに鉄塔NO.31/32分岐表示があるが、NO.31は対岸の山に続くのでそのまま直進。コンクリートで護岸された奥山川に突き当たった。川土手を下り橋をわたると民家がある。鎖のゲートで車の進入を防いでいる。すぐに県道に出る。その手前にかわいい野仏が並んでいる。猪よけの電線をまたいであぜ道を駐車場につく。

野仏
駒宇佐八幡からの取りつきはとんだ藪漕ぎになってしまったが、金剛寺から関電巡視路を辿れば容易に行けることが後でわかった。
今日は予定が変わってしまったが色々なことに出会った。いやあ、しし追いの後について猟の様子を見せて貰えばよかったかも知れない。でも無理と言われるだろうな。
今日の1句 ハナミズキ
茗荷谷山にて      長靴に履きかえ勢子の山に入る
巡視路にて       ものの芽や瀬音頼りに山下る
やまぼうし

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