小笠峠からの樫ヶ峰迷走

更新 2004.4.19 やまぼうし
1.行先:西宮/宝塚「樫ヶ峰」457m
2.地形図:2.5万宝塚
3.日時:2001.4.1/4.8
4.天気:晴れ
5.同行:単独
6.コース:
小笠峠→7分→小笠峰→5分→小笠峰出合(外れ峰分岐)→10分→西三ツ辻出合(社家郷キャンプ分岐)→15分→東三ツ辻出合(キレット分岐)→10分→馬の背展望台→10分→樫ヶ峰→15分→NO28鉄塔→10分→岩倉橋(ゆずり葉台)
(実際はこのコースでなく、本文のとおり迷走)

Route mapはこちら
「県道小笠峠から逆コースを辿る」
 4月1日、宝塚最高峰「岩原山」からの帰路、県道小笠峠から樫ヶ峰を経てゆずりは台岩倉橋に下山する予定であった。小笠峠はすでに標高400mもあり樫ヶ峰457mは僅かな登りに過ぎない。しかしこのコースはゆずり葉台からが順コースで私も何回も散歩したことがある。しかも道はハイキングコースとして整備され西宮教育委員会の立派な標識もある。ところが逆コースからうっかり辿るととんでもないところに出てしまうので注意したほうがいい。手軽なコースだが警告の意味を含めて私の2日間、3回にわたる失敗談をご紹介します。


大谷乗越から(中央樫ケ峰)

「小笠峠から小笠峰」
 県道小笠峠の少し船坂寄り、ガードレールのきれるところに木杭の表示があり、樫ヶ峰と書かれている。余談ですが、この県道小笠峠は樫ヶ峰山系から湧き水がいつも流れ出ており、常連が洗車している。立木につかまりながら急な登りを早い人は5分でこの山系の最高峰小笠峰490.8mに着く。丸木表示があり、標高が書かれている。雑木であまり展望はないので先に進むこと5分。小笠峰出合の分岐表示がある。「西三ツ辻出合」と「外れ峰出合」とある。しかしご注意、樫ヶ峰とは書いてない。初めての人はどちらか迷う。そのままの方向を歩いていくと外れ峰出合に行き、私の失敗を犯しやすい。


間違って外れ峰へ

「外れ峰出合の迷走」
 私は何の疑問もなく外れ峰方向へすたすた。実はこの標識になんと書いてあったか記憶になかったのである。記録しつつ登った2度目の検証登山で思い出したのであるから自分であきれる。とにかくすぐ外れ峰出合に出る。さあまた分岐である。しっかりした道を選び進むとロープで直進が遮られ、急に山を巻いて下りだし、沢の上流に出た。これは過去の記憶にない。間違った、すぐ引き返す。もう一方の道は少し細いがこれを進むとまもなく外れ峰休憩台488.6mの丸木標識。さらに稜線を下りはじめると道が怪しくなってきた。ハイキングコースではない。そういえば前方には樫ヶ峰らしい山塊はない。慌てて戻る。再び外れ峰休憩台を通過、「外れ峰出合」に戻る。後で思えばこのポイントを縦走路上の小笠峰出合と勘違いしていたのだ。ここで長考、もう一度休憩台へ行ってみたりしたが、自分の家の庭先と思っているから地図もコンパスも見ない。また小笠峠に戻るのはあほらしいし、岩原山からの帰りなのでもう体力が消耗してきた。
「キジ谷を社家郷キャンプ場へ」
 エイ、樫ヶ峰をあきらめて、思い切って先ほど下った沢にでる。この沢を下れば逆瀬川の上流の焼石原に出るはず。沢の最上流で、ここに標識があり「大滝」と書いてあるが聞いたことはない。岩のごろつく沢を下る。途中、鎖もあるかなり危険な道。足の捻挫に気をつけながら慎重に岩と岩を伝う。大分下がってから何となく不安になり、ザックからコンパスを取り出す。なんと南東に向かって下りているではないか。焼石原は北のはずである。もう引き返す元気がない。どこに出るか行くところまで行こうと覚悟。前方に滝、沢はこれが怖い。しかし沢の横を迂回して滝つぼに下りる道がついている。これが大滝で3,4mの高さ、結構な水量がある。ゆっくり眺めるゆとりもなく先を急ぐ。

キジ谷のクサリ場

社家郷大滝

車の騒音が聞こえ出す。行く手に大きな堰堤が立ちふさがる。その向こう側が車道となっている。見覚えのある盤滝トンネルから逆瀬川、西宮方面への県道の途中である。ここは逆瀬川ならず、仁川の上流でキジ谷であることがわかった。かなりの高さの堰堤を左土手を登って向こう側に降り立つ、とそこは広い河原である。これが社家郷キャンプ場へ続くのであろうすぐ上流に県道鷲林寺橋がある。外れ峰出合で決心してから随分長く感じたが20分しか経っていない。

とにかくホットした。あとは歩道も狭く、車の往来の激しい車道を、盤滝信号、西宮ゴルフ場を経て歩くこと40分我が家に到着する。県道を歩くほうが命がけである。ズボンがかぎ裂きに切れている。いや今日は参った。いったいどこでどうなったかよく分からない。とにかく反対側に出てしまった。地形図を見ながら自分の辿ったコースを推測、反省しきり。このままでは悔いが残る。もう一度来週に検証登山することに決める。でも新しい発見があった。(2002/5現在甲寿橋立体交差化工事で通行止め→2004/4開通)
「2度目の樫ヶ峰、検証登山」 2001.4.8
 次週の4月8日、誤りを犯した場所を検証するため再び小笠峠からゆずりは台岩倉橋を目指す。この結果前述したように、小笠峰出合で「西三ツ辻出合」へ行くべきところを無意識に「外れ峰出合」へ行ってしまったわけである。この標識に樫ヶ峰とあれば迷わない。関係当局に是非表示を追加していただきたいと思う。またこの後で「外れ峰出合」を樫が峰縦走路途上と勘違いした私の責任もあるが・・・。
という次第で、次の「西三ツ辻出合」方向へ歩く。「西三ツ辻出合」分岐着。右「社家郷キャンプ場」直進は「東三ツ辻出合」とありここは直進すれば良いから迷わないないが、ここにも樫ヶ峰の表示はない。大体、これらの標識は東(樫ヶ峰)から西(小笠峠)へハイキングする人を想定して作っているようだ。ほとんどハイカーはこの順路を辿るから必ず表示されている「小笠峰」方向へ直進を続ければ、迷わず小笠峠に辿りつく。自分の責任を当局に押し付けているようで申し訳ないが、やはり樫ヶ峰の表示は必要だと思う。道は下りに掛かり鎖やロープがある。次の「東三ツ辻出合」の分岐到着。右「キレット展望台」、直進「樫ヶ峰」の表示にはじめて出くわす。
「樫ヶ峰」
 この辺から展望が開け出す。砂礫と露岩に低い松が這う馬の背展望台である。360度の展望は息を呑む。正面のこんもりした樫ヶ峰を境に右手は下方に甲山、北山ダム、その後方に大阪市街のビル群と大阪湾、阪神間は芦屋市街まで、白いこぶしの花に飾られたゴロゴロ岳が六甲連山に続く。また左手に目を転ずれば大阪空港方面の市街地、その向こうに箕面の山々、眼下に宝塚山手の行者山、東六甲縦走路の岩倉山、ゆずりは山系、その下の建物は「エデンの園」、宝塚最高峰「岩原山」から大谷乗越の車道、その上は無線中継所のある大平山、背後は東六甲の山々が連なる。


ゴロゴロ岳方面

大平山

東六甲の山々

しばし休憩の後雑木に囲まれた樫ヶ峰山頂に到着。標高461.1mと表示されており地形図の457mとは異なる。甲山より152m高いよの文字。再び露岩地帯に出て先程とは少し違った角度から360度の展望。さてここから下りにかかる。正面に関電の鉄塔が見える。ここを目指せばゆずりは台に下れるはず。いつも麓から見ている鉄塔である。何の疑いもなくこの鉄塔NO.29を通過してそのまま進む。結構展望は良い。


樫ヶ峰

「樫ヶ峰からゴルフ場へ」
 しかし正面に甲山が眼下にゴルフ場が近づく。しまった!またしてもどこかで道を誤った。相当下りてきてから気が付き、戻ろうとも思ったが、この道はどこに出るのか確かめようと思う。前回の社家郷キャンプ場より、自宅に近い。途中、社家郷山に至る表示があったがそれらしい山はよく分からない。まもなく雑木林に入り、小川を渡る。火の用心の関電鉄塔の巡視路表示NO29/30を過ぎると急に舗装道路に飛び出した。
西宮ゴルフ場の中は間違いないがどの辺りか分からない。構内をとにかく左手に行く。練習場をぐるりと回り、駐車場を過ぎてゴルフクラブ正門横の県道に出た。私は出て行く方であるが、ここから登る人はゴルフ場に入らなければならず少々憚られる。またしても県道を命がけでゆずりは公園まで歩く。ここは震災後整備された大きな緑地公園で中心にドームのモニュメントがあり、中に河川工事の歴史等を展示してある。花見やバーベキューを楽しむ人でいっぱいである。
「岩倉橋から3度目の樫ヶ峰」
 目の前に今下りてきた樫ヶ峰がある。まだ時間も充分あるし体力も残っている。誤ったポイントを確認しないと今晩眠れない。ようし!岩倉橋から3度目の樫ヶ峰に挑戦。橋の横を少し入ると、左手に鉄塔巡視路に行く階段がついているのでこれを登る。甲山やゆずりは山系を見ながら、雑木林に入ること早足で10分、鉄塔に到着。あれ!この鉄塔は先程下山した時のものと違うNO.28である。
これで分かった、私は目指す鉄塔を誤っていたのだ。樫ヶ峰から前方に見える鉄塔NO.29をこの鉄塔NO.28と勘違いしていた。昔のことをなまじ覚えているだけに、油断した。北摂の未知の山々ではこんなことはしない。どこで誤ったか先程の下山路にぶつかるまで登る。途中、初めて下山中のハイカーに会う。地元ゆずりは台にお住まいの私より一回り年上のご老人で、だいぶ足元がおぼつかない。昔登ったことがあり、簡単なつもりで一人で登ったが、こんなに大変とは思っていなかったそうである。しばらく立ち話して、別れる。


ゴルフ場と甲山

「反省」
 稜線の少し手前に、火の用心の鉄塔NO.28/29の標識がある。すぐ分岐がある。左は鉄塔NO.28へ、私は右の樫ヶ峰方向に進む。すぐ次の分岐は見覚えのある道で左にNO.29鉄塔が見える。ここが誤ったポイントであった。ほぼ稜線にある。私はわきめもふらずまっしぐらにこの鉄塔を目指したわけである。反省しつつ、もう一度鉄塔NO.29まで行くとその手前に分岐があり古い標識にゆずりは台と書いてある。下山の時もこの標識を見たが、鉄塔のことばかりが頭にあり、しかも元に戻る方向であったので無視してしまったのである。
これで今晩眠れる。もう樫ヶ峰まで行かずともいい。すぐ今きた道を引き返す。先程のご老人に追いつく。両手に持つ木の棒で体を支えつつ急坂を下っている。ズック靴でどうも危うい。転んで足を捻ったり、骨折したら動けないしハイカーもいない。ゆっくり同行しつつお聞きすると携帯を持参とのことである。便利になったものである。岩倉橋でお別れする。


ゆずり葉緑地と樫ケ峰(中央は防災記念ドーム)

今日一日の行動と樫ヶ峰山系のハイキングコースを頭の中で整理する。歩き慣れた道も反対から辿ると意外と難しいものである。老人力のなせるわざか、思い込みが強く、ナビゲーション感覚が薄れて来た。しかし新しい発見が2つあった。社家郷キャンプ場とゴルフ場への道。関係当局へ重ねてお願い。次に標識を作り変える時は是非、樫ヶ峰の表示を入れて下さい。でも自分の責任もあるが・・・。まあ、いいか・・・。

終り

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