塚西谷 長谷の山々を歩く
更新2017.10.10/2004.5.5やまぼうし
■山名:長谷山(254.7m),竜王山(279m),妙見山(240m),宮山(323m),点名青村(251.4m)
■場所:宝塚市長谷 2.5万武田尾
■日時:2004.2.4/4.24 天気 晴れ
■同行:ハナミズキ
■コース:西谷支所→同道橋前→長谷竜王山→長谷山→妙見山→普光寺・素戔嗚神社→宮山(千本間歩)→長谷牡丹園→青村
      Route Map    長谷周辺図(2017.10.10)
宝塚市西谷の長谷(ながたに)地区を散策する。ここは7つある西谷の集落の中でも最も歴史が古い。8世紀はじめ法道上人が大和の長谷(はせ)から移住し普光寺(ふこうじ)を開基したとある。現在は三田と猪名川を結ぶ幹線道路の最も猪名川寄りにあり、名刹普光寺と長谷牡丹園で有名である。武庫川と猪名川の谷中分水界ともなっている。以下、2月と4月の2回に渡る散策記録である。

長谷 普光寺の山門

長谷竜王山」
 春まだ浅き2月、長谷山三角点を訪ねようとして、うっかり地図を忘れ、ひとつ西側の279mピークに登ってしまった。猿山橋手前の道を遡ると観光農園がある。荒れ果て、無人のようなので営業しているかどうかは定かでない。農園裏側の小道を山に入り込む。踏跡がなくなるが少しの藪を漕いで尾根に上りつめると、左から参道が登ってきている。尾根筋を上ると、鳥居に続きピークの広場に小さな祠が祀ってあった。裏に稜線が続いているが、荒れた林となり、スピーカーが付いた木柱が打ち捨ててあるのは何だろうか。元に戻り、参道を下るとやがて数軒の茅葺の集落に下りてきた。地元では竜王山(279m)と呼ぶそうである。大原野と布見にも竜王山がある。

長谷 竜王山 279m

竜王山の祠
「長谷山三角点」
 県道68号線から東宝塚ゴルフ場(太平洋クラブ宝塚)への道を南下し最初の民家の手前の道を左手にとる。妙見山の案内板が最近立てられた。階段の続く妙見山は帰りに寄るとして、川床川源頭のいや谷池を右手に見ながら山すそを回り込む。ガレ地で行き止まりとなる。ガレ場を上ると雑木林に踏跡が現れた。ここからは旭国際ゴルフ場の向うに三蔵山がよく見える。すぐに狭い広場の山頂に到着する。測量旗と長谷山三角点254.7mがある。展望を求めて、北の切り開きを下って見るが藪が深くなり、立ち木が邪魔してよろしくない。三角点に戻り、隣の妙見山まで行けないものかと西方向を探るが、林が深い。

いや谷池と長谷山

長谷山三角点254.7m

三蔵山を望む
「長谷妙見山」
 結局、元のガレ場から山すそを迂回して、妙見山の階段下にくる。かやの大木が3本ありベンチも置かれている。170段の階段を一直線に上る。ちょっと息が切れるが、それだけ神仏への有難みが増すというものだろう。

妙見山への170階段

妙見山 240m
掃き清められた広場に、妙見堂とお稲荷さんがある。横には社務所のような建物がある。もちろん無人である。後でお聞きしたところ、八朔と毎月23日が縁日で、寄り合いがもたれるそうです。八朔とは陰暦の八月の朔日=一日(ついたち)のことで、現在の九月一日前後に当たるこの時期は穀物の収穫期にあたるため、氏神に五穀の豊饒を祈願するとのことです。

妙見山神社(最近本堂がリニューアルされた)
切り開きから長谷の里と羽束山が覗く。妙見さんは全国数多くあるが、真言密教の妙見大菩薩信仰のことで、北斗七星を象徴とした天空の中心をつかさどる仏である。能勢妙見の星稜会館を思い出す。
「普光寺」
 車が通れる砂利の参道を下りる。あぜ道には、今はめずらしくなったカンサイタンポポが咲き乱れる。県道を西に戻ると普光寺の大きな山門がある。茅葺の山門には仁王様と大きなわらじが奉納されている。一面の菜の花に浮かぶ山門は絵になる風景だ。普光寺は法道上人が大和の長谷(はせ)から移住して開基したとされ本尊・千手観音は、奈良の長谷寺の本尊と同身体であると伝えられている。

普光寺山門

山門の大わらじ

普光寺本堂
境内を散策中、突然背後の鐘撞堂で鐘が鳴り、飛び上がる。タイマーで作動する自動鐘撞だ。お寺も省力化を図っている。同じ境内の素戔嗚神社へのお参りは長床の下を潜る。頭を下げなければ参拝できない。

素戔嗚神社へは長床を潜って参拝

素戔嗚神社 2017.10.7撮影

境内から山門を見る、遠方は竜王山
寺山と宮山」
 普光寺の背後にある標高323mの山は、長い緩やかな稜線をもち、荘厳な雰囲気がある。古老のお話では普光寺の後を寺山、素戔嗚神社の後を宮山と呼ぶそうである。二つのピークがあるようには見えないが区別しているようだ。

寺山・宮山 323m
神社の右手の尾根筋に切り開きがあるが、途中で消え、藪となる。中腹に突然露岩が現れ、その近くに古井戸のような穴があるのは千本間歩(鉱山)の換気口だそうだ。多田銀山に連なる長谷一帯には戦前まで坑道があり、銀を産出していたと西谷誌にある。山頂(323m)は林の中でピークも定かでないが、東西にも踏跡が通じていた。麓の桧の大木は、桧皮葺の材料のためか樹皮が綺麗に剥がされていた。

宮山への取付き(牡丹園展望台)

千本間歩跡

間歩排気口跡
「長谷牡丹園」
 普光寺の隣には宝塚長谷牡丹園があり、毎年4月末から5月にぼたん祭りが開かれる。入場料300円を払って園内に入る。市職員や地元のボランティアの方が案内に立つ。音楽が流れ、茶席も用意されている。植木の町宝塚と牡丹の歴史は古く、明治のはじめ頃から各地に牡丹が出荷されていた。各地からの里帰り牡丹と宝塚市の牡丹を含め14地域の約100種約2000株の牡丹が咲乱れている。展望台から谷中分水界と大原野の天狗松が目を引く。

ぼたん祭り

牡丹

展望台からの風景
「点名青村」
 長谷散策の帰りに、気になっていた三角点 点名青村を訪ねる。新興の鶴見台住宅地に入り、最初の分岐に駐車して左の舗装道路を辿る。住宅で行き止まりだが、横手の踏跡を上る。倒木、いばらを分けて10分、測量旗2本と4等三角点251.3mがあった。周囲は立ち木で展望はなかった。

青村ピーク(鶴見台から)

青村三角点251.3m
宝塚市の西谷地区は、阪神間に残る日本のふるさとだ。本日のお土産は手に一杯の蕨である。

長谷全景(谷中分水界)

ワラビ

カンサイタンポポ

菜の花

トップへ戻る 
inserted by FC2 system