干支の山 丹波 高山・猿藪

首切地蔵〜高山〜猿藪〜天狗山〜首切地蔵

更新2015.11.21/2004.3.30やまぼうし
■山名:高山(659.9m)、猿藪(591m)、天狗山(558.0m)
■場所:西脇、山南 2.5万谷川
■日時:2004.3.26(金)天気 晴れ
■同行:ハナミズキ
■コース
首切地蔵1040→大呂峠1150→高山(1250〜1325)→猿藪1345→けやき峠1430→天狗山迷走(1515〜1605)→けやき峠1640→首切地蔵1710
Route Mapはここ

机坂峠からの高山と猿藪(右)
首切地蔵をベースに高山、猿藪、天狗山を歩く。激登りと激下りの連続ながら、冬枯れの明るい尾根から丹波北摂の山々が覗き、芽吹き始めた木々に春の訪れを感ずる一日であった。猿藪は干支(申)の山でもある。(本ページは2004年の記録をリニューアルしたものです)
「首切地蔵」
 1997年にけやき峠からのアプローチに失敗してからのリベンジ登山となった。最近のネットを見ると周辺もだいぶ整備されたようである。首切地蔵の道標に従い、谷川から山田集落に入る。車幅ぎりぎりの道になる。目前に高山の勇壮が迫る。地蔵の森公園口に案内板があるが、高山への登山道は書かれてない。駐車場に先行車はなく、人影も見えない。のぼりの旗めく参道を上り、地蔵尊にお参りする。
 首切地蔵は、落人狩りで悲運の最期を遂げた平家一門の公卿や姫達を村人が弔ったのが起源とされる。首から上の病や受験にご利益があるとされ、合格祈願や御礼のよだれがけが多い。最近はリストラ地蔵とも言うらしい。

首切地蔵尊
 事務所の保存会の方から、山南町名産どくだみ茶をご馳走になる。高山への道を訪ねると、奥から慶佐次盛一氏の山行き記事と地図を渡されるが、首切地蔵やけやき峠の位置が違う。信用したら遭難の恐れがあるので、後日山南町役場に連絡したところ、訂正するとのことであった。。
「大呂峠取付き
 駐車場(標高220m)から奥へ通行止表示の林道を進む。入口の新しい木柱標識が大呂峠を示す。物置小屋を過ぎると送電線の下(280m)を通過するが、火の用心#72/73がある。#72が山を指している。取付きかと思い、地形図を取り出してみるが、曲りくねる林道で方向感覚が分からない。進行方向が南向きの時は地図を見るのが苦手だ。
林道を上る。再び右に踏跡があり、口ヤギリ谷の表示とテープがある。更に進むと、奥ヤギリ谷の表示がある(320m)。思案の末、更に林道を上ることにする。正解であった。ヤギリ谷は大樅峠(おおもみ)への道らしく、この先標高350m付近に大呂峠口を示す木柱標識と火の用心が現れた。

林道入口

大呂峠口
「大呂峠」
 林道から植林帯の中をジグザグに登り、尾根に出ると、左手に鉄塔#73(420m)があった。一息入れる。鉄塔越しに高山と天狗山が見える。
支尾根を上りつめると、主稜線に出る(480m)。大呂峠は右手(西)のはずだが表示がない。不安を覚えながらも西に下ると南向地蔵のある大呂峠(470m)につく。峠道が南北に横断し、南は住吉へ、北は首切地蔵へ至る。我々は巡視路を登ってきたようで、本来の峠道を見過ごしてしまった。

鉄塔#73から天狗山と高山(右)

大呂峠の南向地蔵
「稜線」
 元に戻り稜線を東進する。鉄塔#74を過ぎる。右手の切り開きから西光寺山が覗く。緩い上り下りのふかふか道は快適だ。左はスギ、ヒノキの植林、右は雑木林が続く。513Pへの分岐を左にとる。白地に赤の「高山/地蔵の森」を示す看板がかかる。地蔵の森と思って右手に進むと誤りだから注意が必要だ。赤テープで×印してあるが、なんとも不細工である。このあたり左手境界にぼろぼろの白ビニール紐が延々と続く。これも興ざめだ。

稜線513P分岐

高山への急登
「高山」
 冬枯れの雑木を透かして正面に高山が迫ってくる。なだらかな尾根歩きから急登が始まる。斜度30度以上はあるだろう。およそ150mの高度差を一直線に登る。しっかり立ち木を掴まないとザックの重みでそっくり返る。露岩が多くなったと思ったら頂上だ。三角点660mと、木柱標識が立ち、腰掛に手ごろな岩がある。

高山頂上
 南東側が切り開かれている。中口山の山並みの向うに白髪岳、とんがり山、西寺山、和田寺山、西光寺山、六甲連山が、目を凝らせば見覚えのある有馬富士、羽束山、千丈寺山、大船山まで見えるではないか。丹波の奥地と思ったが意外に近い距離にある。展望を楽しみながら握り飯を頬ばる。至福のひと時だ。

高山から東の展望(中央とんがり山、右西寺山)
「猿藪」
 北東に向かい尾根を下り、次の分岐(610m)から今年の干支の山、猿藪を目指す。「高山/地蔵の森」看板に猿藪の落書きがあり、テープもたくさんあるから迷うことはない。コナラ、リョウブ、ソヨゴのプロムナードを下る。いい雰囲気だ。大きな鞍部にでる。ここは風の通り道で林がゴーゴーと鳴る。宮沢賢治の風邪の叉三郎の一説を思い出す。
50mほどだが、また急登だ。大岩を巻いて猿藪ピーク(591m)に出る。座るスペースもなく、猿の形のプレートがぶら下がっている。この先は東と南に下りのテープがあるが、平石に続く東は恐ろしい激下りだ。歩多楽さんならずとも誰でもがビビル。少し南の岩稜から立見の絶好の展望が広がる。ピラミダルな高山と西光寺山の組み合わせが絵になる。反対側は立ち木の間に天狗山が覗く。

猿藪から西光寺山(左奥)と高山

猿のプレート掛る猿藪ピーク
「けやき峠へ」
 分岐に戻り、けやき峠へ下る。これは激下りだ。立ち木を拾いながら、しりもちをつきながら滑り降りていく。救いは柔らかな落ち葉道だが、所々の浮石が落石を引き起こすから注意が必要だ。
峠が近づく頃、右手が伐採され足下に奥山の集落が、遠方に西ヶ岳、三岳等多紀連山が遠望する。けやき峠(430m)はスギ、ヒノキの林の中にあった。例の木柱標識が立ち、西は地蔵の森、直進は天狗山で踏跡程度の道がある。地形図破線の奥山への下りは藪と化している。天狗山へお参りして、その北の鞍部を山田集落に下りることにする。

けやき峠付近から多紀連山を遠望
「天狗山へ」
 再び急登が始まる。杉、桧の林から雑木に変わるが倒木も多く、やや荒れ気味だ。今まであったテープがなくなり、境界石の稜線をはずさないよう注意して進む。緩く右カーブしながらアップダウンを繰り返し、天狗山直下にでる。突然藪となり踏跡も判然としない。茨に引っかかりながら強引に上りきると大岩のある頂上(558m)であった。三角点がある。殆ど展望はないが、少し手前から猿藪の鋭鋒が望める。

天狗山から猿藪の展望

天狗山

天狗山三角点
 意外に時間をとられ遅くなってしまった。戻るか進むか、火の用心標識が北と東を指している。貰った地図では、山田集落へは北の鞍部から下りるようになっている。
激下りが待っていた。深く暗い森に吸い込まれるように踏跡を下がっていく。暗闇に立つモミの大木、倒れ掛かった巨岩は天狗伝説を生む雰囲気である。

天狗山下りのモミの巨木

倒れかかる巨岩
「迷走」
 鞍部に下りてきた(440m)。西は鬱蒼たる杉の植林帯で、下る踏跡がない。正面のピークを巻く踏跡を辿るが一行に下る気配もない。遅い時間に植林帯を下る勇気はないので戻ることにする。
天狗山への激登りはこたえる。ここで足でもつったらアウトだ。16時を回った。やっと天狗山に登り返す。日没との競争で、けやき峠への道を急ぐ。あせりは禁物、下りの尾根筋を誤る。ゆるくカーブするところを直進した。GPSに救われる。往路に要所要所でポイントをインプットしたのが幸いした。けやき峠にもどり安堵する。

けやき峠

高山林道終点
 薄暗い植林帯をジグザグにくだる。踏跡も判然としない道は、テープがないと迷走確実だ。炭焼き窯跡を見て、林道終点(330m)に降り立つ。横に山田川の源流があった。7年前の失敗の原因を思う。当時は堰堤から先は林道がなく、踏跡も判然としない谷を林に迷い込んだようだ。
「地蔵の森遊歩道」
 舗装の高山林道を下る。堰堤を過ぎると、左に遊歩道があるので入り込む。東屋もある新しい道は、山麓に沿って首切地蔵へ続いていた。途中左手の谷から古い道が合流するが、高山への直登山道かも知れない。17時を回り、事務所は閉まり、境内に人影はなかった。激登り、激下りにふくらはぎがパンパンに張っている。

地蔵の森公園口

首切地蔵駐車場
「心残り」
 天狗山からの下山の失敗が気に掛かる。帰途、山田集落から東へ分け入る林道を探る。途中笹原への看板がある。車高ぎりぎり、車体を笹に擦られながら終点まで行く。矢代川と書いた表示と間伐終了の木柱があり、作業用と思われるピンクのテープが暗い森林に続いている。やはり天狗山北の鞍部から下る道はないようだ。これでゆっくり眠れる。

夕暮れ迫る高山(山田集落から)
今日お会いした人は、管理事務所の方一人だけであった。高山は、新緑を迎えるまでの今の時期が展望に恵まれる絶好のシーズンである。
芽吹く木を掴んで上り下りかな     ハナミズキ


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