ヒカゲツツジのトンネル 丹波 向山
更新2017.4.20/2004.4.21やまぼうし
■山名:向山(569.0m)、清水山(542m)
■場所:氷上郡春日町、地形図2.5万柏原
■日時:2004.4.17(土)天気 晴れ
■同行:ハナミズキ、トッキーズ山岳会6名
■コース
観音堂0940→二ノ山1000→三ノ山1035→四ノ山1105→向山三角点1150→五ノ山1205〜40→蛙子峰1300→珪石山1315→清水山1330〜40→剣爾山1405→天狗岩1415〜30→鳳翔寺1500
Route Mapはここ

トッキーズの山仲間と水分れ公園から丹波向山連山を周回する。満開のヒカゲツツジのトンネルに激上り、激下りの疲れも吹っ飛ぶ。

「水分れ公園」
 日本一低い分水界「水分れ」公園駐車場に集合したのは、トッキーズ山岳会初参加で最高齢OBのKさん、三田白熱電球ことOさん、OBのNさん夫妻、独身貴族のテッチャン、初参加飛行機野郎の山ちゃんとハナミズキの合計8名だ。

向山連山(春日ICより)
水分れ資料館から戴いたルートマップを各自に渡し、駐車場に立つ案内板でルート説明する。清水山を回るフルコースの設定だが、足並みを見て珪石山からのショートカット下山も視野に入れる。心配なのは初参加のKさん、足の負傷のNさん、それと左足靭帯を痛めている私である。やまぼうし持参の杖を渡して全員が杖つき登山だ。杖は体重の30%を支え、足への負担を軽くしてくれるはずである。

スタートにあたり記念撮影する。全員揃うのは今だけかもしれない。不安を抱えつつ登山口の観音堂へ。数組のハイカーはほとんどが水分れ公園口から登るようだ。

水分れ公園にて
「観音堂から二ノ山、三ノ山」
 観音堂に無事の下山を祈念して、横の小道を登る。六甲山などしか登ったことがない山ちゃんがこれ登山道かといぶかる。いきなりの急登だ。しかし落葉が足に優しい。猪鹿よけ柵の扉を開き、人間世界に別れを告げる。

観音堂登山口

二ノ山山頂
トップを行くは小柄なN夫人でかなりハイピッチだ。張り切りすぎが心配だ。しんがりはデジカメを構える白熱電球と私だ。傾斜30度はあろう直登が続くが、やっとピークに出て一息つく。ここは滝山古墳で二ノ山(298m)のすぐ下である。200mを一気に登った。上を見なけりゃ良かった。三ノ山、四ノ山が見上げるように聳え立つ。

ミツバツツジの稜線
少し緩やかになり、あたりのミツバツツジを眺める余裕が生まれる。再び急登すると岩座展望所(390m)に着く。初めて展望が開け、眼下に水分れ公園が、南には水分れ公園を屏風のように囲む向山連山が見える。反射板のあるのは清水山だ。

岩座展望所から清水山方面
「出会い」
 三ノ山(470m)を越える頃、足元ばかり見ていて気づかなかったが、頭上にヒカゲツツジが咲いているではないか。日が当たると透けてしまいそうな薄クリーム色の花は、その奥ゆかしさゆえあまり目立たない。葉はツツジというより石楠花に似ている。意識すると、あちこちに沢山ある。日当たりのいいところは既に散り始めているが、北斜面は満開だ。四ノ山(514m)で標高は500mを越えた。明るい稜線歩きになる。しんどいしんどいとは言うものの落伍者はない。

ヒカゲツツジの出迎え
「ヒカゲツツジのトンネル」
 松の台展望所からは北の展望が広がる。春日の町、黒井城址がすぐ近くに、昨年歩いた五大山、愛宕山、その向うに散髪したような五台山、鷹取山が見える。四ノ山の北斜面がヒカゲツツジノの群生でクリーム色に染まって見える。

深坂北峰からの鞍部はヒカゲツツジのトンネルだ。圧巻だ。感動で足がとまる。上り返すとツツジが岡展望所で、今度は南斜面のツツジの向うに、いま辿ってきた峰々や水分れ公園が覗く。

ヒカゲツツジのトンネル

四ノ山北斜面のヒカゲツツジ群生
「向山三角点」
 さきほどから気になっていたが、尾根道に張り出す木々は鋸の跡も生々しく、ばっさばっさと切り倒されている。切り株に樹液が滲み出ている様子はなんとも痛々しい。ハイカーへのサービスかも知れないが行き過ぎだ。六甲山のように何の障害物もない歩道にしてほしくないものだ。

遠く五台山を望む

ツツジが岡展望所
皆の待つ、向山三角点(569.0m)に遅れて到着する。林の中で展望はないが、三角点を囲んで全員で記念撮影する。昼飯は少し先の、連山最高峰の五ノ山(591m)とする。展望はないが明るい林の広場に座り込む。途中で追い抜いていった二人ずれのお姉さんがお休み中だ。ヒカゲツツジを目の前に、握り飯を食う。お神酒持参のKさん。至福のひと時である。

向山三角点

最高峰五ノ山
「清水山」
 皆さん元気だ。ショートカットの必要はなさそうなのでフルコースへ進もう。これから先は起伏を繰り返しながらの下りだ。先導は山ちゃん、雑木の落葉道は滑る。蛙子(がえるご)展望所から東に春日の町を、行く手に清水山の反射板を望む。だんだんヒカゲツツジは少なくなる。

蛙子峰付近
蛙子峰(562m)を過ぎて、譲葉山への分岐を右手にとる。このあたりから杉、桧の植林帯に入る。珪石山手前で再び分岐があり、右手は水分れ公園口へ、左手は清水山に至る。清水山への道は珪石山の南を巻く。途中、赤茶色の砂地や巨大な窪地を通るが、これが採石跡なのだろうか。清水山(542m)の関電反射板の後ろに出てきた。眼下に柏原の町と水田が光る。小休止して、これからの下山に備え靴の紐を締めなおす。

清水山

イルカ岩
「鳳翔寺へ」
 急降下が始まる。体を支える杖が有効だが、立ち木を掴んだ方が楽だ。杉、桧の林を下っていくが、こちらのコースはあまり手が入っていない。残置テープが頼りだ。林の中の巨岩には、イルカ岩、博打岩、亀岩等の案内標識がある。再び展望が開け、地形図にない剣爾 (けんじ) 山(416m)の標識が立つ。今まで辿ってきた峯々がぐるり見渡せる。よくぞ登ってきたもんだと自分を褒める。

剣爾山から振り返る
少し下ると、天狗岩(270m)があり、いそ部神社の岩座となっている。最後の展望を楽しみ、激下りに入る。突っ張る足が痛む。尾根筋の植林帯から谷筋の岩ゴロ道に変わる。落ち葉に隠れた小岩は歩きにくい。やがて猪鹿よけの柵の扉を開き、再び人間世界に戻ってきた。鳳翔寺(ほうしょうじ)の駐車場に飛び出た。
5時間半の道のりであったが、万歩計は10000歩しかカウントしていないとテッチャン。アップダウンが厳しいものの歩行距離は5,6kmのようだ。
「水分れ公園」
 鳳翔寺の境内でツガの巨木に見入る。Nさんが克明にメモしている。リタイアしてから日記を欠かさないそうだ。鐘楼に腰かけて汗をぬぐう。重い腰を上げて、連山を振り返りながら、れんげ、タンポポの花咲く野道を水分れ公園へ。

ヒカゲツツジ

れんげ畑を行く
いそ部神社に無事帰還のお参りをし、分水界の道を駐車場へ戻る。団体さんに会うこともなく、静かで感動の山歩きだった。
事前にいろいろとご教示いただいた地元丹波たぬきさんに感謝いたします。

満開のヒカゲツツジをり行き     ハナミズキ

追記:人の手の届かない崖に咲くヒカゲツツジの花は、猿にとっては旬の食物となるそうである。

関連ページ:ヒカゲツツジの向山(2012.4.28)

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