大岩岳 道場から武田尾へ
UP2024.3.14/2004.9.20 やまぼうし
■日時:2004.9.19() 晴れ後雷雨 暑し
■場所:大岩岳(384.3m)2.5万武田尾
■同行:ハナミズキ
■コース:道場駅(1030)→千苅ダム→西登山コース→大岩岳山頂(1230)→東大岩岳→馬の背→東尾根→丸山分岐→丸山湿原→川下川ダム→武庫川渓谷→武田尾駅(1730)
Route Mapはここ
大岩岳は低山ながら奥深く、山頂からの千刈ダムや北摂の山々の展望はなかなか趣がある。道場から千苅ダムを経て大岩岳に登り、川下川ダム、武庫川渓谷を経て武田尾駅に出る。このコースは長距離ながら駅からハイキングに丁度いい。北摂山歩きの歩多楽氏推奨の東大岩岳の馬の背は、知る人ぞ知る秘境であった。

東大岩岳から大岩岳を望む

「道場から千刈ダムへ」
 道場駅へ降り立ったのは10時30分で、もうハイカーの姿はなかった。連休のなか日、朝食を終えてから急に思い立った。東大岩岳と川下川ダムから武田尾への道が前から気になっていた。もう彼岸というのに朝から暑い。日中は30度を越えるという天気予報だが、いつまでも秋を待っているわけに行かず、シーズン行動開始となった。

道場から不動岩の下を歩く 右武庫川

取付きから千刈ダム放水路を振り返る
不動岩下の車道を千苅ダムに向かって歩くが、最近は自然観察モードだ。道端の草花の写真を撮ったり、ドングリやクリを拾ったり、なかなか前進しない。稲刈りの済んだ田んぼにヒガンバナが咲き乱れている。河原で釣りを楽しむカップルがいる。
「大岩岳へ」
 ダム放水路下の橋を渡ってから、少し下流へ戻り、左手の山へ入る。分岐にはテープがあるだけで、案内表示はない。大岩岳周辺は、枝道が沢山あり、2.5万地形図はあまり信用出来ない。この先もハイキングコースとしての公式の道標は一切ないので、テープなど手製の目印が頼りである。

フェンスの横を登る

コース途上から千刈ダムを見る
フェンスの横を、水路に従って登ると、渓谷沿いとなる。「神水」と書かれた石柱で左に谷を渡る。ジグザグに登ると明るい高台に出て、左に千苅ダムの湖面が覗く。木陰で一服する。道は下り、谷を巻くように迂回して再び登り返す。家族連れが休憩中である。もう一度下って登り返すと大岩岳分岐の手製表示があった。

手前のピークから大岩岳南尾根を望む
砂地が多くなり、小松の疎林の向うに2つのピークが見えている。奥が大岩岳である。シダと露岩の道をピークへ登る。ここから見ると大岩岳の左手に岩場の山が見えるが、これが東大岩岳だろう。一度下って急登する。行く手に迫る巨大な岩を巻くと山頂に出た。

大岩岳山頂

山頂から東大岩岳を望む
12時30分、道場から汗だくの2時間だった。眼下に緑の湖面の千苅ダムが、また霞んではいるが、六甲から三田の有馬富士、羽束山、大船山、宝塚の古宝山、大峰山まで一望である。握り飯をほおばり至福のひと時を過ごす。隣には大阪から来たという男やもめ3人組が、鍋を囲んで酒盛りをやっている。下山が心配だ。
「東大岩岳」
 前回失敗した東大岩岳を目指す。大岩岳頂上からは南、西、北への下山道があるが、北の道を急降下する。台風の影響か、倒木が一層ひどくなっている。小峠へ下りる。ここは5叉路でややこしい。やたらに手製の板やテープがぶら下がっているが、千苅ダム、丸山方向へは行かずに、前方左手のトラバース道を行く。前回は前方の道を登ってしまった。
意外にも赤や白のテープが沢山巻きつけてある。分岐だ。テープは鞍部を過ぎて谷に向かっているが、左手の尾根筋に荒れた踏跡がある。何回も倒木に遮られながら直登すると、前方に巨岩が現れた。右手を巻いて、東大岩岳のピークに立つ。前方に大岩岳が、眼下に千刈ダムを望む絶景だ。

東大岩岳へ倒木を潜りながら登る

東大岩岳のピーク
北方眼下に露岩帯が見えているので、恐る恐る岩場の稜線を下る。ウメノキゴケに覆われた黒い露岩が5〜60mにわたって馬の背となり、向うのピークに続いている。西谷の黒岩以上の迫力である。馬の背をわたり、ピークの一本松に到達する。

馬の背
「雷雨」
 雲行きが怪しいと思っていたが、突然雨が降り出す。すぐ近くで雷も鳴る。近くのゴルフ場から雷警報のサイレンの音が響く。一本松は雷の標的になりやすい。落雷にあわないことを祈りながら、馬の背を急いで東大岩岳に引き返す。松の大木から少し距離を置いた雑木の影でうずくまり、雨宿りする。カッパを着るのが面倒なので、折りたたみ傘で辛抱したが、大粒の横殴りの強雨で全身ずぶ濡れとなってしまった。

東大岩岳から雨上がりの湖面
14時30分まで、約30分間辛抱した甲斐があった。雨上がりの山ひだや湖面から霧が湧き上がり、墨絵の世界を現出した。刻々と変わる風景に時を忘れる。
「川下川ダムへ」
 先ほどの分岐に戻り、テープに導かれて谷へ下る。杉林に入り込む。台風の影響か、または間伐で払い落としたものか定かでないが、青い葉のまま落ちている杉の小枝を踏み越えていく。思い出したようにテープが現れるので道は間違いない。やがて流れに沿うようになり、最後に笹薮を掻き分けると、いつか見た境野から丸山への道に合流した(丸山第1分岐)。大岩岳への分岐(丸山第2分岐)を右に見て丸木橋を渡る。U字に掘られた道に雨水が流れる。雨でしなだれた小枝で、またまたびしょ濡れになる。

基準点砂山

馬ノ背
丸山を左手に見て、川下川ダムへの道を進む。この辺一帯は兵庫県の立入り禁止看板がやたらに多い。バブル時に住宅供給公社が一帯を買い占めたのだ。東山橋への分岐を右にみて進むうち関電火の用心標識が現れる。左手に砂山があり、しばし休憩して体を乾かす。3等基準点が埋まっている。視界が開け、大峰山や古宝山が見える。

岩場の激下り

丸山滝?

鉄橋を渡る

川下川ダム車道に降り立つ
再び戻り、川下川ダムへの道を下るが、突然予期していなかった痩せ尾根岩場の激下りに遭遇する。緊張しながら、一歩一歩慎重に下りる。鎖の柵が現れ、それに掴まりながら、谷川に下りる。大きな瀬音に振り向くと滝がある。新発見だ。丸山滝とでもいっておこうか。鉄製の橋を渡ると、巡視路の分岐点だ。ちょっと迷ったが、火の用心標識のない右手を川に沿って下る。正解で、やがて車道に下りてきた。ここには兵庫県の立入り禁止看板が立っていた。出るのはいいだろう。

渇水の川下川ダム
長い車道歩きの末、16時15分、川下川ダム口に着く。ダムの水位が5mぐらい下がっている。ずぶぬれの上着を着替えて一服する。
「難所の岩場」
 車道を下ると、福知山線の鉄橋が近づく。この辺から河原に下りなければならないが、何の目印もない。ガードレールの曲がり角の向うに踏跡を発見する。果たして河原に下る踏跡道があった。福知山線の鉄橋を潜り、水のない川下川を対岸に渡る。放水中はどうなるのか心配だが、武庫川の増水時は無理だろう。背丈レベルに流れのゴミがかかっているところがある。

鉄橋を潜る

干上がっている川下川

岩場へ続く道
対岸はヤブで、しばらく橋脚下を道探しする。川土手に踏跡を発見して、渓谷沿いを歩く。何箇所か岩場を回り込むが、岩が滑りやすい。ついにハナミズキが滑りしばらくうずくまっている。尾てい骨をしたたかに打ったようである。増水時は通行できない。
最後に、大きく川に突き出た岩場が難所だ。5、6mの高さだが、ここには乗り越えるための補助ロープが垂れ下がっている。軽登山靴では、足場の岩がつるつるで、ロープに頼らざるを得ない。慎重を期したつもりだが、私もついに足をはずし、ロープにしがみついて助かる。運動靴のほうがよさそうである。自分を支えるだけの体力のない方はやめたほうがいい。

岩場を渡る

渓谷に突き出る難所の岩場

岩場直下

岩場を乗越える
「武田尾」
 武庫川の流れを右手に見ながら、幅1mほどの笹薮道が続く。岩のゴロゴロする川は屈曲し、早瀬と渕をつくる。清流といいたいところだが、渕は生活用水で泡だち、道まで洗剤の香りがする。ガードレールがあり、武田尾方面から軽四程度の車がここまで入れるようである。馳渡山(かけわたりやま)を大きく迂回する。道脇の背丈ほどの石垣は砂防の擁壁だろうか。杉林を抜けて、テニスコート横に出る。ここから舗装道路となる。

渓谷に沿って笹薮がつづく

馳渡山を迂回する

武田尾へ続く道
紅葉館を過ぎて、武田尾橋(2004.10台風23号で流失)北詰から廃線跡の草山トンネルを抜けると武田尾駅まですぐである。駅に着いたのは17時30分であった。万歩計が25000歩を越えた。直ったはずの左膝が少し痛む。電車を待つ間、しばし駅前駐車場の管理人さんと話しこむ。武庫川ダム建設はもう無理だろう。しかし温泉旅館ではすでに高台に土地を確保しているそうである。

草山トンネル武田尾橋側

草山トンネル出口(武田尾駅側)

草山トンネルを振り返る(流失前の赤橋)
電車に乗ろうとして、歩行記録のメモ帳がないことに気付く。紅葉館付近で記録したのが最後なので探しに戻るが、日没で発見できずがっくり。本ページは記憶を頼りに書いたので、時間など不正確なところがあることをお断りしておきます。

ヘクソカズラ

ツユクサ

ヒガンバナ

夫と見る霧立ち上がる水源池     ハナミズキ

大岩岳関連ページ
(1)宝塚西谷から大岩岳と丸山 2003.5.1
(2)大岩岳(東山橋ルート) 2004.6.10
(3)北摂 大岩岳・東大岩岳 2006.1.11
(4)宝塚 丸山湿原から大岩岳2006.9.14
(5)北摂 大岩岳2007.11.23
(6)大岩岳自然観察ハイキング2010.10.18
(7)大岩岳・丸山湿原2015.10.12

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