但馬 東床尾山・西床尾山
作成 2005.9.21やまぼうし

■行先:但馬 東床尾山(839.1m) 西床尾山(843m) 2.5万 直見、出石 
■日時:2005.9.17() 晴のち曇り
■同行:ハナミズキ
■コース
和田山…不動滝…西床尾登山口…駐車地1030→糸井大カツラ1100→東床尾登山口1105821P 1225→東床尾山1245→作業所(12551320)→西床尾山(14351450)→らかんの谷→西床尾山登山口1605→駐車地1610…不動滝…和田山
Route Mapはこちら

糸井川中流から見た西床尾山
東床尾山は兵庫50山の一つで、一等三角点の頂上からの展望はすばらしく、近畿自然歩道となっています。しかし2004年秋の台風以来、コースは様変わりしたようです。大荒れの沢歩き、尾根の激上りと激下りに疲労困憊。ガイドマップの時間を大幅に上回る厳しい山歩きとなりました。今年(2005)登山する方は、余裕を持ったスケジュールにすることお勧めします。
「不動滝」
 宝塚から約2時間。中国道福崎IC、播但道路を経由して和田山へでる。R9を鳥取方面へ進み2つ目の和田山トンネルを出たところで右折し、円山川に架かる糸井橋を渡る。彼岸花の咲くあぜ道の向こうに、丸い大きな西床尾山が姿を見せる。糸井川沿いの道路は車線ぎりぎりとなり、渓谷に分け入る。

不動滝

大カツラへの分岐
不動明王を祀る不動滝(標高340m)に差し掛かる。地形図に地名の記載があるが、小滝で、祠と幟がなければ通り過ぎてしまう。不動滝の少し上流で、沢の合流するところが西床尾山登山口だ。ベンチがひとつあるだけで何の標識もない。よく見れば赤い紐がぶら下がっているが、我々は見過ごしてしまい、大カツラへの分岐まで行ってしまった。帰りの都合を考えて、バックして西床尾登山口近くの道路ふくらみへ駐車する。

「糸井の大カツラ」
 駐車地点(標高360m)の脇にはブナの木が2本あり、ツリフネソウやツルニンジンの花が咲く。10:30、身支度を整えて、渓流沿いの林道を上る。苔むした絶壁から清水が滴り落ち、落石も多い。林道分岐には糸井大カツラへの大きな案内板が立ち、東屋がある。観光協会のガイドマップがおいてあるのでいただく。先行車が1台止まっている。大カツラへは左の道を進むが、右の出石に通ずる峰越林道は通行止めになっている。

登山道入口

糸井の大カツラ
この分岐から600m、道端に咲く綿毛のオオアレチノギクとともに15分で糸井大カツラに着く。来訪者が多いためかトイレがある。カツラはロープで囲われ中へは入れない。樹齢2000年、樹高35m、枝張り30m、主幹は枯れ果て、80本のひこばえが取り巻いている。

「大荒れの渓谷」
 裏側の橋を渡って山に取り付く。東床尾山頂まで1.7kmの近畿自然歩道の道標が立つ。杉の植林地帯を上り、すぐに渓谷沿いとなる。左岸に渡り、再び植林地帯を行く。右岸に助右衛門の桜の巨木ありの表示があるが、周りの樹が茂っている今の時期はよくわからない。

柔らかな落葉を踏んでスギ林を登る

衣谷精錬所跡

登り始めて20分、衣谷精錬所跡地に着く(標高530m)。ベンチが置かれ、説明板がある。この辺一帯は金鉱脈が縦横に走り、かつて竹之内鉱山と呼ばれていた。左に小滝を見ながらの急斜面の上りとなる。岩肌が黒々しているのは鉱石のためだろう。

大荒れの沢
道は岩ゴロの沢に降りる。巨岩と倒木、流木が行く手をふさぐ。目印も途切れがちで、このまま進んでいいやら不安になる。増水したら歩行困難だろう。近畿自然歩道の道標が渓流に押し倒されている。山頂まで900mとあるが、どっちの方向か分からない。山肌にテープ類も見えないのでどんどん上流へ進む。

「尾根の激登り」
 テープに誘導され、山肌に取付く(標高580m)。激登りで四つんばいにならないとザックの重みで転落しそうだ。杉の根っこが頼りで、つかまる木立もない。難所を通り過ぎた後は、ジグザグに植林地帯を急登する。左から小道が上がってきて合流する。ガイドマップ記載の分岐とは違うようだ。GPSは深い樹林のため受信不能で、まったく役に立たない。コンパスは西へ、時に南へ振り始める。直登コースのつもりが、どうやら床嶺の家を目指しているようだ。思い出したように、近畿自然歩道の道標が立っているから誤ってはいない。
「東床尾山」
 上空が明るくなって尾根に飛び出した(標高800m)。目の前に道標があり、東床尾山まで0.6kmの地点であった。尾根上の821Pピークと作業小屋を越えて東床尾山頂(標高839.1m)に立つ。

稜線から東床尾山頂を望む

東床尾山頂
誰もいない一等三角点の頂から360度の展望が広がる。眼下に出石の町と遠くに豊岡の市街が、日本海は霞んで見えないが、アンテナの粟鹿山、大江山は同定できる。氷ノ山はどれだろうか。このあたりの地理は勉強不足だ。

東床尾山頂上

山頂からのパノラマ
頂上は低いキンシバイに覆われている。この木は、庭木としてよく植えられている外来種だ。町の公園を持ち込んだようで、この山には不似合いだ。

「避難小屋は倒壊」
 日差しを遮るものがないので、作業小屋(標高825m)まで戻って昼飯とする。小広場には重機が置かれているが、人の気配はない。出石側の小滝への道標が立つ。眼下に峰越林道が鉄鈷山の鞍部を越えて出石方面に伸びている様子が見える。

東床尾山直下から西床尾山を望む

倒壊した避難小屋(床嶺の家)
もう一度821Pに戻り、稜線から少し外れた避難小屋「床嶺の家」へ寄って見ると、なんと小屋が倒壊しているではないか。これも昨年の台風の被害だろう、雨宿りもできない。

「西床尾山へ」
 西床尾山への稜線を歩く。アカマツ、クヌギ、コナラ、リョウブ、クリの疎林が続く。道の真ん中におもちゃのようなきのこが顔を覗かせている。後で調べるとタマゴタケという。途中、ヤマボウシの赤い実がたわわになっている。甘い。781Pはクヌギ林の中だった。西床尾山が近づくと腰の曲がったスギ、ヒノキが多い。中には幹が割れているものもある。積雪の重みと熊の被害だ。こうなったら商品価値はない。

西床尾山への稜線を行く

腰曲がりの杉

西床尾山山頂

西床尾山の頂上(標高843m)はアカマツの疎林で、展望はいまいちだが、はるかに東床尾山と、今たどって来た稜線が見える。今日はじめての中年夫婦のハイカーに出会う。なんという奇遇か同じ宝塚から来られたと。こちらの方は2回目だそうだが、沢が大荒れで、誤って東床尾山へ直登してしまったそうだ。われわれが正規のルートであったことを知る。

西床尾山から東床尾山を振り返る

「らかんの谷」
 下山にかかるが、方向がよくわからず、中年夫婦の後を追うことにする。杉の木に巻きつけてある古いテープが頼りである。いきなり激下りが始まる。30度以上もあるような急勾配の尾根を北北東に向け一直線だ。念のためひざにサポーターをつけ、靴紐を締めなおす。沢に降り立つまで、標高差200m以上を一気に下る。こちらから登らなくて良かったと顔を見合わせる。

激下り

らかんの谷、何度も渡渉する

らかん谷の沢下りが始まる。倒木、流木、巨石のごろつく大荒れの谷で、幾筋もの沢が合流してくる。何度も流れを渡る。増水したら無理だろう。逆にこちらから遡るときは、支流に入り込まないように注意する必要がある。下流には鉱山跡、精錬所跡がいくつかあるようだが、ほとんど気づく余裕がなかった。標高490m付近で「らいでんの滝」の案内があったがパス

林道が近づく

標識もない西床尾山登山口
倒木の間を潜り抜けてようやく車道(標高350m)に降り立った。ここが西床尾登山口だった。ツリフネソウの群落を見ながら駐車地点にもどる。予定を1時間以上オーバー、思った以上に厳しい山歩きとなった。

<出会ったお友達>


ツルニンジン

オオアレチノギク

テンナンショウ

タマゴタケ

ヤマボウシ

ナナカマド

ツリフネソウ

ヒガンバナ


秋蝶の連れ飛ぶ東床尾山 ハナミズキ


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