鬼伝説の大江山縦走
作成 2005.9.27やまぼうし
■行先:京都府大江町 大江山(832.5m) 2.5万 大江山、内宮
■日時:2005.9.23(金) 曇りのち雨
■同行:ハナミズキ、ほかトッキーズ3名
丹波丹後国境にそびえ、鬼伝説で名高い大江山連峰を縦走する。ブナやクヌギの林と熊笹の草原の織りなす縦走路は快適で、めまぐるしく変わる天候にさまざまな山容を見せてくれた。後半は霧の中の山歩きとなったが、神秘的な森のたたずまいに、伝説の主に出会えそうな雰囲気であった■コース
舞鶴大江IC0920…航空保安施設(宮津VOR)0950…鬼嶽稲荷林道駐車地1020→鬼嶽稲荷神社(1050〜1100)→大江山(千丈ヶ嶽)1145→鳩ヶ峰(1230〜1300)→休憩所1315→鍋塚(1340〜1400)→鬼の岩屋1445→航空保安施設(宮津VOR)1510…鬼嶽稲荷林道駐車地1530…大江山グリーンロッジ(1545〜1645)…福知山IC1730
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鳩ヶ峰から千丈ヶ嶽を望む |
。
「鬼嶽神社」
トッキーズ仲間とともに鬼伝説で名高い大江山連峰を車2台での縦走を計画する。舞鶴大江ICから大江山スキー場を経て航空保安施設(宮津VOR)前の空地(標高740m)に駐車して、もう1台で鬼嶽稲荷神社手前の通行止め地点(標高約500m)まで車を乗り入れる。航空保安施設(宮津VOR)付近では霧に包まれ、おまけに雨が降り出し、前途が危ぶまれたが、神社に近づくにつれ天気は回復してきた。
赤鬼の出迎え
鬼嶽稲荷神社
身支度を整えてさあ出発。しばらく舗装の林道を進み、通行止め柵を乗り越えていくと、3箇所で路肩が崩壊している。昨年の台風被害だ。歩行はできるが、生活道路ではないので、補修は後回しのようだ。ツリフネソウやシラヤマギクを愛でながら進むと、道路開通記念碑(S37年)の隣で赤鬼のお出迎えだ。神社手前の道路が駐車場で大型車の転回場もある。鬼嶽稲荷神社(標高610m)は大江山の8合目に相当する。無人だが、休憩所やトイレがあり、展望デッキから正面の空山や日本海の青葉山が望める。
「千丈ヶ嶽」
安全祈願して、いよいよ登山道に入る。頂上まで1.1Km、近畿自然歩道の道標が立ち、ジグザグに木の階段が続いている。
登山口 |
トチの実が降ってくる |
登山道入口で、頭からばらばらとトチの実の洗礼を受ける。見上げるようなトチの巨木が数本、クリの実ほどの大きさがあるから、当たったら痛い。あたり一面に実が転がり落ちている。続いてブナの原生林となる。巨木も多く、感動ものだ。太平洋側ではなかなかお目にかかれない。
ブナの原生林を登る |
ブナの巨木 |
階段が終わり、なだらかな稜線にでる。アカマツ、リョウブ、クヌギ、コナラの林が続く。憩いの広場からの登山道が合流する。一度下って上り返すと、林がおわり、クマザサとススキの草原の道となる。すぐ千丈ヶ嶽(大江山)832.5mの頂上だ。誰にも会わなかった登山道だったが、若夫婦と続いて中高年の5人グループが上って来た。草原のベンチから展望が広がる。
草原の大江山(千丈ヶ嶽)山頂
「鳩ヶ峰」
一休みして、鳩ヶ峰に向かう。草原から再び雑木林に入り、急傾斜の階段道を下りる。700m付近まで下りてから、再び上り返す。千丈ヶ嶽の大きな山容を背に、小松の岩場を這い上がると鳩ヶ峰だ(標高746m)。大江山連峰の中で最も展望が優れている。
鳩ヶ峰から千丈ヶ嶽を振り返る |
眼下に加悦町、野田川町 |
南に千丈ヶ嶽が、西に赤石ヶ岳から丹後半島の山々が、北側は眼下に加悦町、野田川町の町並みと実りを迎えた田んぼのモザイク模様が、東側に鍋塚と酒呑童子の里が見える。足元にオミナエシ、カワラナデシコが咲く。日本海からの気流が山肌を駆け上がる。雲が湧き上がり、視界をさえぎる。めまぐるしく変わる天候に刻々と変わる風景を眺めつつ握り飯を頬張る。至福のひと時だ。我々以外に、2組の若夫婦とすれ違う。
鳩ヶ峰から鍋塚を望む |
「鍋塚」
目指す鍋塚の登りの道が遠望できる。さらに奥の管制塔方面は低い雲に覆われている。大休止の後、休憩所に向かって、熊笹の道を下る。小岩がごろごろして、歩きにくい。標高650mの鞍部には駐車場と東屋、バイオトイレがあったが、トイレは使用禁止の張り紙。これも台風の影響か?
休憩所へ下る、向こうは鍋塚
バイオトイレ
鍋塚への登り
再び登り始める。雲行きが怪しくなり、背後に見えていた鳩ヶ峰と千丈ヶ嶽が雲に隠れる。標高があがるにつれ霧が発生してきた。711Pを越える頃にはまったく視界が利かなくなり、鍋塚山頂(763.0m)ではついに雨が降り出す。一同やむなく雨具をつける。道は広いので足元を見ていれば迷うことはないが、分岐には注意が必要だ。霧の中ではGPSが役立つ。
「熊か」
再び急降下の道になり、草原から雑木林の中に入る。霧の中にナナカマドの赤い実がひときわ映える。雨でぬれた急坂はすべり易い。道端で黒い蛇がとぐろを巻いてこちらをにらむ。今日これで3匹目だ。
ナナカマドが映える |
酒呑童子供養碑 |
しばらく進むと、突然前方の藪でがさごそと獣の動く気配。すわ!熊かと一瞬緊張する。「熊に注意」の看板を思い出す。多勢にはかなわないと見たのか、音がゆっくり遠ざかっていくのでほっとする。ひょっとしたら鬼だったかも。霧の中、姿が見えないだけに不気味だ。誰も鈴を持ち合わせていないので、わいわい言いながら歩くことにする。
鞍部に降り立つ。温江との分岐に酒呑童子の供養碑が立つ。さらに下ったところが池が成公園との分岐で(標高600m)、ここで初めて、航空保安施設の道標に出会う。あと1.1Kmだ。
「航空保安施設」
神秘的なクヌギと熊笹の道 |
鬼の岩屋? |
鬼の岩屋展望台、右に洞窟 |
今日4回目、航空保安施設まで最後の登りになる。再び霧が立ち込める。道幅2mはあるような熊笹とクヌギの林を歩く。よく手入れされている。鬼の岩屋(標高690m)に立ち寄る。ちょっとした洞窟で、中へは入れない。さしずめ蛇の住処といったところか。すぐ隣の広場に新しいスチール製の展望台がある。上ってみたが視界ゼロで、展望図絵から想像するしかない。ここから日本海が見えるはずなのだが。
階段の急坂を上がり、航空保安施設(宮津VOR)の広場に出る(標高740m)。円形の大きな屋根が霧にかすんでいるが全貌は良く見えない。敷地を回りこむと、霧の中に車が見えてきた。熊の爪あとはなかったようだ。
霧の航空保安施設(宮津VOR)
「酒呑童子の里」
車を回収して、酒呑童子の里にある大江山グリーンロッジで休む。この辺一帯は昭和40年まであった銅山の跡地を、鬼伝説をテーマに再開発したところだ。3連休初日だが、閑散としている。林道崩壊でツアー登山客が来てくれないと管理人さんが嘆く。
平成の鬼瓦
鬼博物館
300円の温泉で汗を流したあと、お隣の鬼博物館に入場する。世界中の鬼面が展示されていて、興味を引く。時間が許せばゆっくり見学したいところだ。霧が里まで降りてきた。日本海が見えなかったのが心残りだが、日を改めてまた訪れたい。
<出会ったお友達>
ツリフネソウ |
ヨメナ |
シラヤマギク |
ツリガネニンジン |
スミレ |
カワラナデシコ |
オミナエシ |
リンドウ |
ナナカマド |
霧 奥 へ 獣 隠 る る 大 江 山 ハナミズキ
関連ページ:鬼伝説の大江山 2013..10.28
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