武庫川源流探訪
作成 2024.3.26/2005.12.20やまぼうし
■行先:武庫川源流 2.5万篠山
■日時:2005.12.10() 晴れ
■同行:櫻守の会6名、ハナミズキ

■コース
JR篠山口0945→第一水門0955→第二水門1015→初田→真南条1110→満場川→田口池→龍蔵寺(11451220)→龍蔵寺川→源流(13101325)→戻る→龍蔵寺1400→参道→真南条川→武庫川左岸起点1520JR南矢代1535
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武庫川源頭付近
武庫川の上流は緩やかです。JR南矢代付近で田松(たまつ)川と真南条(まなんじょう)川が合流しますが、ここが武庫川の起点となります。田松川はJR篠山口付近で加古川水系の篠山川と水門でつながり、真南条川は龍蔵寺川と名前を変え、愛宕山648mを水源とします。今回は櫻守の会の皆さんと、真南条川を遡り、武庫川源流を訪ねました。

「谷中分水界」
 JR篠山口に下車する。駅前には谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)を示す案内板が立つ。分水界は山稜がその役を果たすことが多いが、平地にある場合は谷中分水界という。田松川は武庫川水系と加古川水系の谷中分水界(標高195m)となっており、一本の流れの中に分水界がある極めて珍しい河川です。平地に降った雨が川の中で右と左に分かれるとは面白いですね。

谷中分水界
「田松川水門」
 車道を東に300mほど歩くと、田松川に架かる小畑橋がある。その隣が水門となっている。篠山側はアパートや民家の中に溝状のコンクリート水路が続き、南矢代側は田んぼの中、幅5mほどの川となっている。流れはない。

第一水門

篠山側の水路
田松川に沿って南矢代方面に歩く。依然として流れはないが、川原のススキは篠山方向になびいているので加古川水系に向かうようだ。次の水門に着く。地形図で田松川に左右の矢印がついているのでここが谷中分水界なのだろう。あたり一面田んぼである。

田松川を南へ

第二水門(地形図上の分水界)
「龍蔵寺」
 田松川に別れを告げ、若狭舞鶴自動車道を潜って、初田集落に入る。かやぶき民家の屋根越しに、たわわに実をつけた柿の木の様はふるさとの風景だ。峠道に差し掛かる。道端にはフユイチゴが赤い実をつけている。口にすると甘くておいしい。標高300mの峠を越えて真南条集落(230m)に下る。湿地に群生しているガマの穂を手にした隊長さん、穂をたたくや、タンポポのように綿毛が舞い上がる。無邪気な笑顔がほころぶ。

初冬の風景

ガマの穂の綿毛を飛ばす
デカンショ街道を横切り龍蔵寺参道に入る。廃屋となった民家の前で、若奥さんが山と積み上げられた素焼きの鉢を貰ってくださいと呼びかけてくる。車があれば戴きたいところだが残念。民家を抜けて、薄氷の張った田んぼの中、真南条川を遡る。田口池には仲間からはぐれてしまったのか、キンクロハジロが1羽だけ泳いでいる。ここから上流は龍蔵寺川となる。

龍蔵寺参道口

真南条川を遡る(向こうは田口池)
標高300m、龍蔵寺の山門が近づく。見上げれば、おっぱいのような愛宕山648mが聳え立つ。龍蔵寺は千手観音を本尊とし、修験道の道場として栄えた天台宗の寺院です。かつて文保寺、高仙寺と共に多紀三山の筆頭格として隆盛を誇っていたそうです。

愛宕山

田口池
日陰に雪の残る山門を潜り、境内に入る。参拝者のための天幕と椅子が並べられているが、人影はない。陽だまりを見つけて、早い昼食を摂る。名木のサルスベリは荒縄の腹巻をつけ、とろろ昆布のような地衣類のサルオガセが幹にぶら下がっている。相当の老木だ。

龍蔵寺山門

龍蔵寺本堂

境内で昼食
「源頭へ」
 左手に愛宕山への登山口をやり過ごして、龍蔵寺川を遡る。川の両壁や底は防災のため石や岩で固められているが、コンクリートは一切使っていない。石の隙間から水が地中に浸み込み、地下水を絶やさないためだ。また川床は魚が遡上できるよう段差をなくすなど生態系に配慮した構造になっている。やがてスギの植林地に入り込む。もうGPSは役立たない。丸木橋を渡り、左岸を登る。流れがなくなる。沢が深くなり、山の斜面をトラバースしながら高度を上げていく。伐採された木が残雪の斜面に並べられているから人手が入っていることがわかる。

龍蔵寺川

コンクリート橋を渡る

杉林に入る

丸木橋を左岸に渉

杉の傾斜地を登る

右か左か
450m付近で沢が2つに分かれる。左の沢方向に踏跡とビニール紐が見えるが、源流は直進のようだ。しかし倒木数本が沢を塞ぎ、行く手を遮る。ハイキングといえど、メンバーはいつものように鋸と鉈をしっかり装備している。幹を切断、枝を払いのけて道を切り開く。足元の岩は苔むし、ぐらつく。落石に注意しながら一歩一歩すすむ。
カラスザンショウの密集地を登りきったところが源頭であった。標高約500m、龍蔵寺住職の言うようにそこは滝の様相を示していた。切り立った岩壁の下から武庫川最初の一滴がしたたる。水筒のキャップにしずくを受けて口に含む。甘い香りだ。

倒木を切り開いて沢登り

滴る源流水

滝の様相

武庫川源頭で
感慨に浸ったあと、慎重に下る。沢の分かれ目まで戻ってきた。踏跡が続く隣の沢筋は何処まで行くのか。宿題を残すこととなった。
*本源流は龍蔵寺川の支流の一つで、最長の源流は沢を渡って直進し、母子との境界にある。
「武庫川起点」
龍蔵寺で小休止して、龍蔵寺川を下る。真南条の集落からは西日に向かって真南条川の堤を歩く。植樹した桜並木のところどころが抜けているのは、昨年の台風で川が氾濫したためだそうだ。

真南条川を下る(金毘羅橋)

真南条川の桜並木

武庫川起点(左岸)
田松川との合流点に達する。武庫川起点の標石が建つ。ゆっくりと南下していく武庫川を背に南矢代駅に向かう。


冬蔦や回し飲みする源流水     ハナミズキ

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        ・武庫川もう一つの源流(2007.8.4)

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