京都 伏条台杉群生 片波川源流域を歩く
更新2006.11.18やまぼうし
■日時:2006.11.8() 快晴
■場所:京都府京北町 25千 上弓削
■同行:シニア自然大学14+ガイド
■ルート
JR長岡京0855→ウッディ京北(101525)→林道駐車地1100→観察路入口(121545)→観察路周回(12451500)→林道駐車地1515→ウッディ京北(15451600)JR長岡京1715
Route map はこちら観察路MAPはこちら
立冬。近畿各地は冷え込み、内陸部で初霜のたよりが相次ぐ。終日、雲ひとつない天気のもと、京都府京北町の片波川源流域の巨大杉群落を訪ねる。ここには800年の時を越えた巨大な伏条台杉(ふくじょうだいすぎ)が今も自然のままに残っている。
―伏条台杉
片波川源流域一帯の森は、平安の時代から御杣御料(みそまごりょう)として守られてきた森で、御所や都造営のための膨大な建材を切り出していたところです。鎌倉・南北朝には林業技術が発達し、一本の木から多くの材が取れる台杉仕立てが盛んになりましたが、その後の品種改良で、挿し木による一本植に代わりました。そのため台杉仕立ては見捨てられ、巨樹となって今日まで残されたものと思われます。
伏条台杉は日本海側に分布するウラスギの一種の「アシウスギ」です。枝を長く伸ばしたものが毎年雪に押さえられているうちに地面に着き、根を出して枝が幹となり、新しい株に成長する伏条更新(ふくじょうこうしん)により繁殖していきます。ひょっとしたら森全体が根で繋がっているかも知れません。

「片波川」
 京都市内から車で1時間あまり、周山街道を北上して京北町の中心ウッディ京北に着く。ここで自然観察インストラクターと落ち合い、先導を受けて、桂川に沿うR477を花背方面に向かう。約17km地点の片波口から林道に入り、支流の片波川を遡る。3軒の家が残る片波集落を過ぎると、やがて東谷・西谷の出合です。左手の西谷に入り、約800m進むと右手北側に林道片波広域線の入口がある(標高415m)。

片波林道から環境保全区域を望む、右奥が伏条台杉群生地
車幅ぎりぎりの急勾配の悪路を上り、展望がきくようになった標高600m付近で一般車通行止めのチエーンゲートです。この手前は道幅が広く、Uターンができるようになっています

「林道歩き」
 ここは京都府自然環境保全地域です。林道からは、天然スギと色づき始めた落葉広葉樹の山肌が輝いて見えます。所々茶色に変色した樹木はクマハギにあったスギ。今年は山にクマは少なく、里に下りているとのことです。クマに何回も遭遇したガイド氏によれば、目の前でクマに出会ったら@大声で脅すAクマの目をにらんだまま後ずさりすることだそうですが、実際大声など出せないでしょう。もっとも危険なのは出会い頭で、死んだふりは、好奇心の強いクマのおもちゃにされるそうです。

ミズナラ、イヌブナ、コシアブラの林道を歩く

観察路入口
林道沿いは、ミズナラ、イヌブナ、コシアブラの黄葉とウリハダカエデ、ハゼの紅葉が青空に映えています。ガイド氏から、四季折々の動植物や、この地域の歴史や人々の生活・文化との関りなどのお話しを伺いながら、標高670m付近の観察路入口に到着する。ひとまずここで昼食タイムとします。
「観察路」
 踏跡のような観察路を進むと、まずは樹齢400年の「迎えの大栗」の歓迎です。続いて一の峰(678m)の小広場に園内の案内図があります。

6種の木が宿る宿杉

窓杉
隣にあるのが「宿杉」で、枯れ死した台杉の上に6種の木(リョウブ、ソヨゴ、コシアブラ、ネジキ、ノリウツギ、スギ)が宿っています。「窓杉」「大櫓杉」を経て二の峰(685m)に至る手前に樹齢300年のアセビがあります。大きいというより、曲がりくねった幹が妖怪のように覆いかぶさってくるようです。

貫禄の大主杉
二の峰を下ると斜面に大主杉」が鎮座しています。この辺りから、古株の根を踏まないように柵と木道が設けられています。伏条とわかる3本杉」を眺めつつ箕毛谷を下ります。この谷は暗く、水分の多い土壌で、マムシやヤマヒルの住処で、夏は歩行注意です。ここから上を眺めると、個性的な巨樹が並んで見えます。まるで歌舞伎の顔見世のようです。

自然観察路

高さ最大32mの谷守杉
谷の下方にあるの最も背の高い「谷守杉」を観ながら東尾根に向かう。尾根別れから一の峰へ戻ることができますが、我々は急階段を下り東尾根に進みます。

樹齢800年以上、最大幹周りを誇る平安杉
100mほど下ったところが東尾根広場で、ここに片波源流域最大の「平安杉」があります。幹廻り15.2m、根本から幾つにも分かれた幹がアシウスギの特徴を表し、観るものを圧倒します。保全区内には幹廻り3mを越える杉が250本以上あり、さらに東尾根終点の大留杉」まで往復し、全コースを周回したいところですが、4時間はかかるということで、ここから元に戻ることにしました。
「帰途」
 素晴らしいガイドに恵まれ、感動のうちに観察路を後にする。ガイド氏は植物学者の父親の影響を受けて、小さい頃から京北の山々を歩いていたそうです。西日に輝くススキの林道を下る。ウッデイ京北で、平安時代から続く京の納豆をお土産に帰途に着く。

林道を帰途に着く
*本文は京北町役場発行「片波川源流域自然観察ガイドウォーク」を参照しました。

関連ページ:片波川源流域伏条台杉群生地の自然観察2013.10.4
片波川源流2007.10.12


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