宝塚 武庫川渓谷と桜の園
更新2007.4.10やまぼうし
 ■日時:2007.4.7() 曇時々小雨
 ■場所:宝塚 桜の園 2万5千 宝塚
 ■同行:主催 エコグループ武庫川 参加者約25名
 ■ルート
  JR名塩1000→廃線跡→親水広場(120020)→桜の園(12201320)
  →温泉橋1340→JR武田尾駅1410
 Route map はこちら
エコグループ武庫川主催のエコハイク武庫川に参加。一般参加者約25名とともに旧福知山線廃線跡から桜の園を歩く。市街地のソメイヨシノは満開ながら、桜の園のヤマサクラはまだ三分咲きであった。寒の戻りで、満開は平年の月15日頃のようである。

展望広場から桜の園の展望(2007.4.7)

「名塩」
実に10年ぶりに廃線跡を歩く。過去の記録にあるのは武田尾から生瀬駅へと逆方向だった。名塩駅に集合したのは一般参加者約25名。高齢者、子供連れまで多彩。櫻守の会のI事務局長のガイドで、世話役を仰せつかる。生瀬駅から歩き始めること多いが、危険な国道R176を渡らなければならないので、名塩駅からがお勧めとのこと。

名塩駅からくらがり街道を行く
中国道の高架下を通り、今はR176となった旧くらがり街道(丹波街道)を20分ほど歩くと、武庫川堤の廃線跡へ下りる。桜見頃の週末とあって、生瀬方向からやってくる団体や家族連れと合流し、賑やかになる。
「武庫川渓谷」
旧福知山線は明治32年(1889年)に阪鶴鉄道として開通、明治39年(1906年)国鉄に移管、昭和61年(1986年)に名塩駅を含む新ルートが開通すると同時に廃線となる。武田尾駅までトンネル6つと鉄橋を含む7Kmがハイキングコースとなっているが、管理されたコースではなく、あくまでも自己責任でということでJRが黙認している。

武庫川渓谷の始まり
武庫川が、渓谷から大きく屈曲して平地に入るこの辺は、2004年10月の台風で大水害に見舞われた。リバーサイド住宅は床上浸水し、全戸移転することとなった。支流の名塩川、どん尻川の鉄板橋を渡る頃から、清流岩を食む武庫川渓谷が始まる。武庫川渓谷は、今から約100万年前に六甲山地が隆起した時に、これに対抗し穿刻を続け、流路がそのまま残る「先行河川」なのだそうです。それが証拠に、渓谷を挟む山々はほぼ標高350mの台地を形成している。
「ダム建設予定地」
最初のトンネル、北山第1トンネル(318m)が近づく。その手前がダム建設予定地である。別に看板が立っているわけではないので、関心のないハイカーは知らずに通り過ぎてしまうが、対岸の岩場に調査のための足場が残っているのでそれと分かる。下流の治水のための、天端標高120m、堰堤高73mの穴あきダムの計画だが、現在環境影響調査中である。足元の渓谷の巨岩は、渓谷最大の高座岩といい、雨乞いのための岩といわれている。

ダム建設予定地と手前の高座岩
「廃線跡」
枕木と石ころ道を避けて、トンネルに入らずに渓谷脇の回り道を歩く。小雨がぱらつき始めるが、傘をさすほどでもない。第2のトンネルは北山第2トンネル(413m)だ。コースで最も長いトンネルで、S字にカーブしているため出入口が見えず、真っ暗闇だ。

最長の北山第2トンネル

天狗岩付近
懐中電灯を取り出す。リーダーから、真ん中を歩くこと、枕木、石ころ、水溜りに注意の指示。今日はハイカーが多く、先行するグループの灯がちらちらみえるので安心感がある。しかし対向するハイカーのためにも電灯をつけないと危険である。トンネルを抜けて、重次郎ヶ淵、溝滝(渓谷最大、雄滝、雌滝)を過ぎる。対岸の断崖上部に見えるのが天狗岩で近くにあった仙人岩は川に崩落してしまったとのこと。

溝滝尾トンネルと武庫川第2橋梁
第3のトンネルは溝滝尾トンネル(149m)だ。出たところには武庫川第2橋梁長さ70mが掛かる。トンネルと赤さびたトラス構造の鉄橋は、廃線跡でも最も印象的な光景だ。橋の側道を通り、左岸に渡る。高所恐怖症の人は下を見ないこと。すぐまた4番目の長尾山第1トンネル(307m)に入る。ここも懐中電灯必須の真っ暗闇だ。出口付近は、道床がえぐれて水溜りとなっているから注意を要す。トンネルを抜けると、前方はるかに桜の園(亦楽山荘)の森が見える。武庫川に落ち込む緑の稜線をバックにヤマサクラが白く輝く。トンネル、はるかに続く線路跡、武庫川の流れ、ヤマザクラと、写真家には絶好の構図を提供してくれる(表紙写真)。
「桜の園」
廃線跡に大きな石のある展望広場を通り、桜の園入口の親水広場に到着、昼食タイムとする。約2時間の枕木と小石を踏んでの歩行で足首が疲れる。多くのハイカーが河原で弁当を広げている。広場には荘川ザクラ、西宮権現平サクラ、ササベザクラなどが植樹されているが、唯一のソメイヨシノはほぼ満開。ササベザクラは植樹後初めて花をつけていた。

桜の園入口の親水広場
桜の園(亦楽山荘)は面積40ヘクタール、笹部新太郎博士(18871978)の桜の演習林で、最盛期にはヤマザクラ、サトザクラが30種5千本が植えられていたという。現在は宝塚市の里山公園で、ボランティア櫻守の会が手入れを行っている。亦楽山荘とは建物ではなく、演習林全体をいう。

もみじの道を登る

ロックガーデン
昼食もそこそこに、桜の園に入る。いろいろな周回コースがあるが、桜の季節は、左廻り(時計と反対)に周回するのがお勧め。もみじの道を登り、ロックガーデンから育樹の丘、さくらの道を下るのが良い。歩行が楽なことと、さくら道を下りながら、上から桜を見下ろすように観賞できるからだ。反対コースだと、上を見上げながら登らなければければならないことと、逆光に白い花びらが透けてしまう(モミジは綺麗ですが)。道標はしっかりしているが、遊歩道は、自然環境を損なわないように伐採木を使って階段など整備しているので、すぐ腐ってしまう。

ヤマサクラを見下ろしながら、さくらの道を下る
さくら道のヤマザクラはまだ三分咲きぐらいで少し早かったようだ。暖冬とはいうものの、3月の寒波で、見ごろは平年の4月中旬になりそうだ。ちなみに園内にはソメイヨシノは一本もない。笹部新太郎博士に言わせれば、ソメイは亡国の花なのだそうだ。
「武田尾」
親水広場に戻り、第5番目の長尾山第2トンネル(147m)、ついで第6番目の長尾山第3トンネル(91m)を抜けると武田尾の民家が近づく。名塩駅を出てから、ようやくトイレのある広場に着く。ここのオオシマザクラは開花したばかりである。僧川(ぼうさんがわ)をわたって車道へ、ここで廃線跡ともお別れだ。

温泉橋

新しい武田尾橋
歓迎アーチの温泉橋を右岸に渡り、武田尾温泉への道を進む。4軒の旅館があるが、1軒は休業中。一帯の民家は水害で軒並み床上浸水した。流失した武田尾橋(赤橋)が朱色も鮮やかにつけかえられ、休業中の紅葉館へのアクセス道路は現在工事中である。10mの高さの木の枝に旅館の椅子が引っかかっていたことを思い出す。

武田尾駅ホームから
第7番目のトンネル(番外)を抜けて武田尾駅に戻り、本日のハイクは終わる。駅前のソメイヨシノが小雨に映えている。
注:廃線跡閉鎖!
JR西日本は宝怐E西宮両市に武田尾渓谷の廃線跡を閉鎖したい旨の申し入れをしたそうです。20数年間ハイキング道として市民に親しまれた廃線跡が閉鎖されることは誠に残念なことです。今後の推移を見守って行きたいと思います。(2009年9月)
→JR西日本と西宮市は協議の結果安全対策を講じて一般解放することになりました。(2016.11.15解放)

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