UP 2018.3.16やまぼうし

丹波 武庫川起点から藍本までを歩く

■日時:2007.10.13(土)
■場所:武庫川上流域(篠山・三田)
■参加:48名
■主催:エコグループ・武庫川
武庫川は全長65km、7市1町(篠山市、能勢町、三田市、神戸市、西宮市、宝塚市、伊丹市、尼崎市)を流れる兵庫県有数の人口・資産を抱える2級河川である。今回は、エコグループ・武庫川の主催するエコハイクに同行し、武庫川起点から藍本まで約8Kmを歩く。河川一面に輝く銀色のススキに、秋の風情を感ずる一日でした。
ルート
JR南矢代9:45→武庫川起点10:00→船瀬橋10:20→古森公民館11:40→JR草野(12:20昼12:55)→摂丹国境13:20→日出坂洗いぜき(14:05〜14:30)→JR藍本14:50

Route Mapはここ   古市地区案内図


武庫川起点
「武庫川起点」
JR南矢代駅に集合したのは老若男女48名。エコグループ・武庫川代表のI氏と女性スタッフHさんによるミーティングを行う。武庫川縦断ハイクも回を重ねるごとに参加者が増えて、用意したガイド資料が足らないほどの盛況です。I氏が自らガイドに立つが、地元油井の郷土史研究家Sさん、日出坂の環境保全活動家のMさんも同行するのでガイドが楽しみだ。

南矢代駅

田松川(上流の分水界方面を望む)

曙橋と真南条川
福知山線の踏切を渡るとすぐに田松川に架かる田松橋を渡る。田松川は武庫川水系と加古川水系の谷中分水界(標高195m)となっており、一本の流れの中に分水界がある極めて珍しい河川です。JR篠山口付近で加古川水系の篠山川と水門でつながっている。ついで橘橋がある。ここは真南条川で、上流で龍蔵寺川と名前を変え、摂丹国境の愛宕山648mを水源とする。武庫川水系の東の源流です。

田松川と真南条川が合流

武庫川起点標石
田松川と真南条川の合流地点が武庫川の起点で、一面の田んぼの風景の中に標石が立っている。昭和40年9月に2級河川の指定を受けて設置されたものだそうですが、武庫の文字は剥げ落ちてしまって見えない。武庫川全長65Kmとはここからの距離だそうで、真南条川の源流から数えると70Kmは越すでしょう。
「当野」

岩鼻橋から上流(未改修)

岩鼻橋から下流(改修済み、曲折とワンド形成)

一面のススキ
デカンショ街道と呼ばれるR372の船瀬橋の袂をとおり、当野の集落へ入る。西から波多野川が合流する。岩鼻橋に立ってみる。このあたりは貴重な生物の生息・生育空間なので専門家や住民を含めて「自然を生かした治水対策」が行われている。下流を見ると、流れが微妙に屈折し、ワンドをつくるなど生物の保全に配慮していることが分かる。
右岸に山が迫り、山口橋にかかる。このあたりは蛍の名所で、季節には蛍狩りで賑わうが、群舞する蛍をバキュームで一網打尽にし、ホテルなどに売り込む業者があるとMさんが嘆く。古森にかけての河原はススキの銀波が見事です。
「古森から油井」
古森(こおもり)で松尾山・白髪岳を源流とする「天神川」が合流する。このあたりも慢性的な洪水被害地域で、古森公民館裏手には「治水済民」と書かれた昭和10年建設の記念碑が立つ。
少し南下して北緯35度線が通るあたりは油井(あぶらい)集落である。昔、油が出たわけではなさそうだ。伏流となった武庫川が、このあたりで湧き水となってあふれ出すところから、「溢れ井」から「油井」になったのではとS古老の説明です。対岸(西)の2つの小山は油井城跡と油井西城跡、東に目を転ずると三角点のある海見山(519.0m)がある。地元では海見の辻(うみのつじ)といったが、三角点を設置した国土地理院が勝手に「うみみやま」に変えてしまったと古老が怒る。

天神川が合流、右の小山は油井城跡

「治水済民」と書かれた治水記念碑と海見の辻(海見山)
油井から小野原へ抜ける峠を「オロ峠」という。かつて筆者も虚空蔵山を縦走して降り立ったことがあるが、源平の戦いで平家追討の義経軍がオロオロしたからと今田町史にある。しかし「オロ峠」は「ほろ峠」がなまったもので、源氏の武者が鎧の上からかけて流れ矢を防いだ「母衣」に似た峠ではないかなど諸説紛々である。
「草野
神橋から草野駅に向かう。行く手に虚空蔵山が近づいてくる。山系の北端に山上山という山があり、油井の里を見下ろすように役行者と不動明王が祀られているが、奈良大峰山の山上岳を模しているという。振り返ると白髪岳と松尾山がきれいに並んで見える。

白髪岳と松尾山(右)

草野は星の駅
草野は洪水常襲地で、開墾もできないところから「草野」といわれていた。今は、夜空が綺麗な星の駅として駅前にモニュメントが立ち、歩道に星座模様が、欄干には流星の飾りがついている。駅前広場で弁当タイムとする。
「舞鶴若狭道」
草野大橋の袂から武庫川右岸を歩く。ススキの原を蛇行する流れの向こうに舞鶴若狭自動車道の丹南武庫川橋の高架が見える。自然と人工がマッチして絵になる風景だ。

若狭舞鶴道と武庫川
「摂丹国境」
宮前橋を渡り、左岸を進み高架を潜ると、R176の細田橋に掛かる。最近架け替えられたのか、青色も鮮やかな橋梁がよく目立つ。近づいてみると、太い鎖で橋脚にしっかりつなぎ止められている。流れ橋ではあるまいが、流出防止策なのだろう。
摂丹国境を越え、篠山市から三田市に入る。左岸に国境の石碑が、右岸には国境の一本松があるが、もう枯れかけている。

橋脚に鎖で繋がれた細田橋

摂丹国境碑

国境の松
「日出坂洗いぜき」
武庫川は緩やかにカーブして、丁子(てこ)淵跡から日出坂峠を越える。
白坂橋、前田橋から高井橋にかかる。橋上から下流を眺める。ここは平成17年に完成した日出坂洗いぜきだ。ここは武庫川の中でも最もカーブのきついところで、洪水時は氾濫を繰り返していた。住民、専門家、県、市などが、生物の生息環境を生かしながらの治水工事のあり方を検討。
河床を掘削して川幅を広げ、自然石のブロックを使った床止工や護岸工など多自然型川づくりの手法が取り入れられた。ブロックの間にできるだけ隙間をつくり、植物が生え、魚が隠れることのできるようにしている。今、地元の「日出坂せきもりの会」が保全活動をしている。地元M氏のガイドに熱がこもる。

日出坂洗いぜき全景(左奥が床止工、右は流れをコントロールする木枠水制工)

「せきもりの会」M氏のガイドに熱が入る
「くらがり街道を藍本へ」
R176を横断してJR福知山線の高架を潜り、くらがり街道に合流する。またの名を丹波街道、古民家が軒を連ね、丹波杜氏が通ったであろう昔を偲ぶことができる。無人駅藍本は虚空蔵山の登山口であり、立杭焼の里今田町へのアプローチでもある。

くらがり街道(丹波街道)を藍本へ歩く
本文は武庫川エコハイクおよび古市地区まちづくり協議会のページを参考にさせていただきました。
関連リンク:
        ・武庫川源流(2005.12.10)
        ・武庫川もう一つの源流(2007.8.4)
        ・南矢代から藍本まで(2015.4.11)

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