| 宝塚 武庫川渓谷と桜の園 |
更新2007.11.14やまぼうし
| ■日時:2007.11.10(土) 曇のち晴れ ■場所:宝塚 桜の園 2万5千 宝塚 ■同行:主催 エコグループ・武庫川 参加者約30名 ■ルート JR名塩駅0950→廃線跡入口1010→(廃線跡)→展望広場(1215昼食1300)→ 親水広場1305→桜の園隔水亭1330→親水広場1405→温泉橋1420・・・JR武田尾駅 |
武庫川渓谷を歩き、V字谷の景観、自然環境、伝承などを知り、桜の園をたずねるという、エコグループ・武庫川主催のハイキングに参加する。一般参加者約30名とともに旧福知山線廃線跡から桜の園を歩く。いつまでも高温の続く今年は、紅葉の色づきが遅いようだ。
![]() 武庫川渓谷の景観 |
「名塩」
春に続いて秋の廃線跡を歩く。名塩駅に集合したのは一般参加者約30名。エコグループ・武庫川代表であり櫻守の会事務局長のIさんのガイドによる、源流から始まって第4回目の武庫川歩きである。。
![]() 名塩駅からスタート |
![]() 中国道高架下を行く |
![]() くらがり街道 |
中国道の高架下を通り、今はR176となった旧くらがり街道(丹波街道)を20分ほど歩くと、武庫川堤の廃線跡へ下りる。くらがりとは丹波杜氏が通った道で、暗がりに出て暗がりに着くということから名づけられたとのこと。沿道には茅葺屋根やその頃のおもかげが残る民家がある。
「廃線跡」
旧福知山線は明治32年(1889年)に阪鶴鉄道として開通、明治39年(1906年)国鉄に移管、昭和61年(1986年)に名塩駅を含む新ルートが開通すると同時に廃線となる。武田尾駅までトンネル6つと鉄橋を含む7Kmがハイキングコースとなっているが、管理されたコースではなく、あくまでも自己責任でということでJRが黙認している。
![]() リバーサイド住宅付近。右は撤去中の住宅 |
![]() 武庫川渓谷の始まり |
武庫川が、渓谷から大きく屈曲して平地に入るこの辺りは、2004年10月の23号台風で大水害に見舞われた。リバーサイド住宅83戸は2段の堤防を越える洪水に見舞われ床上浸水、全戸移転することとなった。水道橋も流失したという。支流の名塩川、どん尻川の鉄板橋を渡る頃から、清流岩を食む武庫川渓谷が始まる。
「武庫川渓谷の成立ち」
武庫川は上・中流は緩やかだが、下流が渓谷で、傾斜がきつくなる全国でも稀な川である。武庫川渓谷の地質は、凝灰岩等を主体とする流紋岩類からなる有馬層群で、1億年前の白亜期に火山噴出物が堆積したものと考えられている(兵庫県地質Cランク)。渓谷の成り立ちは、今から約100万年前に六甲山地が隆起した時に、この地域も隆起したが、これに対抗し穿刻を続け、流路がそのまま残る特異な「先行河川」が形成されたという(兵庫県地形Bランク)。それが証拠に、渓谷を挟む山々はほぼ標高350mの台地を形成している。武庫川に岩が多く、隣の猪名川に少ないのは、女神同士の喧嘩で猪名川の女神が石をすべて武庫川に投げつけたからとの伝承があるそうです。
「ダム建設予定地」
最初のトンネル、北山第1トンネル(318m)が近づく。その手前がダム建設予定地である。天端標高120m、堰堤高73mの穴あきダムの計画だが、現在は環境影響調査中ということになっている。地盤調査抗の跡があり、対岸の岩場には足場が残っている。足元の巨岩は、渓谷最大の高座岩で、竜宮につながるといわれ、雨乞いのための岩であった。よく見ると岩の割れ目に植物が着生しているが、洪水にも生き延びる岩上植物である。
![]() ダム建設予定地と高座岩 |
「渓谷を歩く」
ダム計画地の対岸は見方によっては人や動物の顔に見えるので人面岩という。北山第1トンネルに入らずに回り道を歩く。第2のトンネルは北山第2トンネル(413m)だ。コースで最も長いトンネルで、S字にカーブしているため、真っ暗闇だ。懐中電灯を取り出す。
![]() 人面岩、ライオンに見える? |
![]() 北山第一トンネル |
トンネルを抜けると重次郎ヶ淵である。岩上植物を見るために、トラロープを伝って、河原に下りる。Iさんの指差す対岸の岩壁に張り付いて見えるのはツツジのようだ。注意してみると、立っている岩陰にもツツジが咲いているではないか。他の植物が流されてしまう中、洪水があるからこそ生き延びられる希少な植物なのだそうだ(兵庫県植物群落Aランク)。人と自然の博物館ではここでツツジの移植実験をしており、番号札の掛かった若木がいくつもある。これが成功すると、ダム推進派の追い風になるとのこと。
![]() 対岸の岩上植物 |
![]() 岩の割れ目に咲くツツジ(希少種) |
溝滝(渓谷最大、雄滝、雌滝)を過ぎる。かつては武庫川に鮎が昇り、駅弁の淡路屋は生瀬駅で鮎寿司を販売していたという。対岸の断崖上部に見えるのが天狗岩で近くにあった仙人岩は川に崩落してしまったとのこと。
![]() 溝滝(雄滝、雌滝) |
![]() 天狗岩 |
第3のトンネルは溝滝尾トンネル(149m)だ。出たところには武庫川第2橋梁(長さ70m)が架かる。トンネルと赤さびたトラス構造の鉄橋は、廃線跡でも最も印象的な光景だ。橋の側道を通り、左岸に渡る。高所恐怖症の人は下を見ないこと。
![]() 武庫川第2橋梁と溝滝尾トンネル |
すぐまた4番目の長尾山第1トンネル(307m)に入るが、ここに積まれている枕木は、洪水でトンネル内から流されたものであるとのこと。濁流のすざましさが想像される。そう言えばトンネル内はえぐれており、枕木が一本もない。ここも懐中電灯必須の真っ暗闇だ。
![]() トンネルから流れ出た枕木 |
![]() 桜の園遠望 |
トンネルを抜けると展望が広がり、前方はるかに桜の園(亦楽山荘)の森が見える。武庫川に落ちる稜線は春はヤマザクラ、今は紅葉に輝く。大きな石の転がる展望広場で昼食タイムとする。渓谷一の紅葉の名所、親水広場は一部が紅葉しているだけだが、大勢のハイカーが弁当を広げ、団体が通行するスペースがないほどである。
![]() 親水広場の賑わい |
![]() 親水広場の紅葉 |
「桜の園」
桜の園(亦楽山荘)は面積40ヘクタール、笹部新太郎博士(1887〜1978)の桜の演習林で、最盛期にはヤマザクラ、サトザクラが30種5千本が植えられていたという。現在は宝塚市の里山公園で、森林ボランティアの櫻守の会が手入れを行っている。亦楽山荘とは建物ではなく、演習林全体をいう。
親水広場から桜の園に入る。いろいろな周回コースがあるが、もみじの道を登り、ロックガーデンから育樹の丘、さくらの道を下るのが良い。案内板のあるさくらの道から入ると、きつい上り階段がこたえる。山道は、ハイカーのために、櫻守の会が自然に優しい伐採木などを使って整備しているが、2〜3年しかもたないのが難点だ。
![]() もみじの道を登る |
![]() 隔水亭 |
もみじの道の紅葉は少し早かったようだ。カツラの甘い香りただようロックガーデンを経て隔水亭へ到着する。ここは博士が研究の拠点としたところである。谷川から引いた水場が出来上がり、おまけに神棚まで出来上がっていた。名物のオオモミジはまだ色づいていない。
![]() 育樹の丘への途上から俯瞰するモミジ |
しかし、隔水亭から育樹の丘へ至る道から俯瞰するモミジは見ごたえのあるものであった。東屋で休憩し、さくらの道を下る。珍しいオハツキイチョウを見つける。
「武田尾」
親水広場に戻り、第5番目の長尾山第2トンネル(147m)、ついで第6番目の長尾山第3トンネル(91m)を抜けると武田尾の民家が近づく。名塩駅を出てから、ようやくトイレのある広場に着く。僧川(ぼうさんがわ)をわたって車道へ、ここで廃線跡ともお別れだ。歓迎アーチのある温泉橋前で解散する。本隊は対岸を回って武田尾駅へ、のどを潤したい人はUターンする。ハイカーで満員のH商店で疲れを癒して武田尾駅へ向かう。4軒の温泉旅館のうち、洪水の直撃を受けた1軒はまだ休業中であった。(了)
(注)本文の一部はエコグループ・武庫川のガイド資料から引用させていただきました。