UP 2024.3.16/2007.11.26やまぼうし

北摂 大岩岳

道場〜千刈ダム〜大岩岳〜川下川ダム〜武田尾

■日時:2007.11.23(金) 快晴
■山名:大岩岳384.1m
■場所:宝塚・神戸境界 2.5万地形図 武田尾
■同行:トッキーズ9名、ハナミズキ
ルート:Route Mapはここ
道場駅0900→千刈ダム0930→西コース→大岩岳1100→東大岩岳(1120〜1200)→丸山湿原1230→車道1315→川下川ダム1340→武庫川渓谷1355→岩場超え1415→武田尾駅1500
大岩岳は低山の割りに奥が深い。枝道が多く、道標も整備されていないうえ、地形図の破線は全く当てにならない。行く度に迷い込み、新しい道を発見したなどの話を良く聞く。紅葉の季節、トッキーズとともに道場から大岩岳・東大岩岳を経て武田尾までを歩く。山あり、川あり、ダムあり、湿原あり、渓谷ありの12kmのロングコースは変化に富む。

大岩岳(東大岩岳から)

「千刈ダム」
 今年の紅葉は遅いのか、列車から見る武庫川渓谷は黄葉・紅葉に鮮やかさがない。道場駅前広場に集合したのはトッキーズ現役組ばかり9名。9:00と少し早かったか、ほかにはロッククライミングスタイルの若者が数人だけ。大岩岳往復ならゆっくりでもいいが、今日は武田尾までのロングコースなので、早めにスタートする。
ロッククライミングのメッカ、不動岩の下を回り込み千苅浄水場の角から羽束川を遡る。千刈ダムは放水を止めているようで、流れがない。駐車場の広場から近畿自然歩道の看板に従ってダム直下まで進む。

千刈ダムで一行
近畿自然歩道とわかれて、大岩岳へは千苅橋を渡る。少し戻ったところから、導水路のフェンスにそって暗い谷間を上っていく。やがて左の斜面に取り付き、高台に出ると視界が開け、眼下に千苅ダムが見えるようになる。小休止して、着込んでいたジャンバーを脱ぐ。周囲は松茸山のようで、道の両脇には白いぼろぼろのテープが延々と張られて見苦しい。すぐに大岩岳への分岐があるが、テープが遮断している。

コースから垣間見る湖面

大岩岳分岐からニセピーク
湖面から5、60mの高台の道をアップダウンしながら北上する。ところどころで木々の間から眼下のダムが覗く。黄葉・紅葉に染まる山々と深緑の水面のコントラストが見事である。大きく坂道を上ったところに手製の大岩岳分岐表示があった。正面に大きな2つのピークが現れる。これはニセピークで、大岩岳とよく間違う。急登が始まる。ようやく登山らしくなってきた。ぐんぐん高度を上げると展望が開け、背後に三田盆地が広がる。
「大岩岳」
 二つ目のピークから正面に錦の甲をかぶったような形の大岩岳384mの山頂が見えてきた。すでに先客があり、我々の姿を発見したのかおーいと叫ぶ子供の声が聞こえる。

黄葉・紅葉に染まる大岩岳
一度下ってから、岩場の急登が始まる。立ち木を掴みながら、最後の大岩を這い上がるといきなり頂上に飛び出る。誰もいない頂上で展望を独り占めする。まれに見る好天で空気が澄み渡り、眼下の千苅ダムから遠く三田市街や周囲の山々がくっきりと見渡せる。

大岩岳山頂からの展望

大岩岳山頂で
六甲連山から、大阪湾を隔てて淡路島が、東播磨の三草山、御嶽山、西光寺山、三田の虚空蔵山、有馬富士、千丈寺山、ダムを挟んで向山、羽束山、布見ヶ岳、その奥には大船山、大野山、剣尾山、西谷の山々の向こうに能勢妙見山が覗く。
遮るものもない山頂の風は冷たく、記念写真を撮影して、東大岩岳に移動する。大岩岳には3ヶ所の登り口がある。登ってきたのは西口だが、東口をズルズルと急降下し5叉路に下りる。3つの方向を示す公の道標が立っているが分かりにくい。右は谷川に沿って千苅ダム放水路方面、左は千苅ダム東湖畔へ、直進の登りは南東尾根、直進の緩やかな下りは境野および東大岩岳方面である。直進下りの境野方面へ進むと分岐に再び道標がある。境野・丸山方面へ下らないで、荒れた道を直進する。東大岩岳という道標はない。
「東大岩岳」
 立ち木を掴み、倒木を跨いだり潜ったり、突き当たった巨岩を右から回りこむと稜線に出る。左側に進むと東大岩岳365mで、眼前に大岩岳と千苅ダムが見える。なかなか全貌を見せない大岩岳だが、ここからは唯一、ダムからせり上がった山容を見ることができる。

東大岩岳から大岩岳の展望

馬の背
風を避けるように南斜面に陣取り、昼飯とする。昼休みを利用して、馬の背を往復する。ここを訪れるハイカーが増えたのか、あるいは大気汚染が進んだのか、露岩一面に着生しているウメノキゴケが汚れ、減ってきているようだ。

東大岩岳水準点から、丸山と大峰山の展望
東大岩岳のもう一方のピーク(基準点)からは、南方に錦の絨毯となった丸山325mや大峰山553mが展望する。南東方向に伸びる砂山の尾根を下る。夏場は蜘蛛の巣だらけの踏跡道だが、さすがに今の時期には全くない。振り返って仰ぐ東大岩岳は双耳峰と分かる。
「丸山湿原」
 疎林を潜り、羊歯を掻き分けながら下って行くと、麓から猟銃の音が鳴り響いた。もう漁解禁となったようだ。2発、3発とこちらに近づいてくる様子に急ぎ足となる。ヤブ山の中は危険だ。ようやく境野方面からの道に降り立った。案内板のある丸山第一分岐を過ぎて、次の案内板の丸山第2分岐を過ぎると丸山湿原である。

湿原を迂回する遊歩道

丸太の柵が湿原に続く
湿原を迂回するように丸太階段の遊歩道が設けられ、丸太の手すりで囲って湿原に立ち入らないようにしている。丸山湿原には「ハッチョウトンボ」や水生昆虫「ヒメタイコウチ」といった希少種の生物が生息しているが、今の時期は枯れ草が生い茂るだけである。
「迷い道」
 案内板に従って、西回りで湿原を迂回する。鉄塔#181の下にやってきたが、湿原の東回りとの合流点へはどちらへ進むかわからない。新しい立て看板があり、ハイカーは「右」へと書かれているが、その上から「左」へと張り紙がしてある。表示どおり右へ行ったら道がなくなり、迷い込んでしまったと、先日知人から聞いたばかりである。

迷いの鉄塔#181の立ち看板

東回り・西回りの分岐点(正面が西回り)
我々は鉄塔を左に回り込むような広い道を選んで進んだ。5分ほどで砂山状のところに出たが、道は不明瞭となった。高圧線の位置からしてどうも方角がおかしいことに気づく。鉄塔に戻る。高圧線の伸びる方向に沿った別の小道を下る。道標もなく頼りないが、階段が付けられているので間違いなさそうである。東回りとの合流点に出てきた。案内板が立っているのでやっと安心する。
この鉄塔には湿原を訪れたハイカーが迷わないように、しっかりした道標が必要である。今ある立て看板は、ハイカーをどこへ誘導しようとしているのか行く先表示もなく意味不明である。(2010.10現在、左へと書き直された)
「川下川ダム」
 小さな流れに沿って、川下川ダム方面に下る。高圧線の下を潜ると、やせ尾根の激下りとなる。慎重に歩を進める。鎖の手すりを伝って岩場を回りこみ谷川に降り立つ。

やせ尾根を激下りする

激下り

鎖場

やせ尾根から下りてきた谷川
渓谷沿いに下っていくと車道に飛び出た。県住宅供給公社の立入り禁止看板が横倒しになっている。車道側からの取り付きは見過ごしそうである。
川下川ダム沿いの車道を歩き、川下川ダム表示のある堰堤で小休止する。宝塚市の水がめだが渇水で、水位が5m以上下がっている。

水位の下がった川下川ダム

川下川ダム取水堰堤
「武庫川渓谷」
 眼下に福知山線の鉄橋を渡る電車が見える。堰堤から車道を下り、道場へ向かうカーブでガードレールを乗り越える。近道して土手を滑り降り、福知山線鉄橋下に下りる。これから最後の行程の武庫川渓谷歩きが始まる。

福知山線鉄橋下から武庫川渓谷歩きが始まる
川下川を渡る。岩ゴロの川岸歩きは捻挫注意。川に飛び出した岩壁を回り込みながら、飛び石伝いに進む。増水時は通行不能である。難所の岩場に差し掛かる。古びたロープがかかっている。高さは5mほどだが、足場が悪く、ロープに体重を預けるので、体力に自信のない方は危険だ。

飛び石伝いの道(左岸)

難所の岩場を乗り越える

ロープを必死に掴んで

乗越えた岩場
全員の無事通過を確認して、歩を進める。流れを下に見ながら土手の斜面を進むうちに、軽4が通れるような林道に上がる。ガードレール横に花束が添えられているのは、絶壁となっているこのポイントから武庫川に転落死したものか、はたまた自殺したものか。覗き込むと吸い寄せられそうで怖い。

崩落危険
広い道を武田尾に向かう。対向してくる一人歩きの女性は、これから道場まで行くという。双眼鏡を持っているからバードウォッチングのようだ。

武田尾への道

架け替えられた赤橋(武田尾橋)
武田尾温泉の旅館が見えてきた。平成16年(2004年)の台風23号の大水害で直撃を受けた温泉だが、今は橋が架け替えられ、トンネルや道路が整備されて、風景が様変わりしてしまった。しかし、旅館4軒のうち左岸にあった紅葉館は依然として閉鎖のままである。(2010.10現在開業、通り道に無料足湯あり)
15:00予定通り武田尾駅に到着する。無人駅の自動改札に並ぶハイカーの長い行列を尻目に、なじみの畑熊商店で囲炉裏を囲み乾杯。

冬山の日溜りで食ぶ握り飯     ハナミズキ

大岩岳関連ページ
(1)宝塚西谷から大岩岳と丸山(2003.5.1
(2)大岩岳(東山橋ルート) 2004.6.10
(3)大岩岳 道場から武田尾へ (2004.9.19
(4)北摂 大岩岳・東大岩岳 (2006.1.11
(5)宝塚 丸山湿原から大岩岳 2006.9.14
(6)大岩岳自然観察ハイキング(2010.10.18)
(7)大岩岳・丸山湿原(2015.10.12)

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