六甲 雪のシュラインロード
UP 2008.2.21 やまぼうし
■日時:2008.2.17(日) 晴れ時々雪
■場所:六甲山 シュラインロード〜地獄谷西尾根
     地形図 2.5万 有馬
■山名:水晶山710m
■同行:ハナミズキ
  ルートタイム:
  神鉄有馬口0905→逢山峡→シュラインロード入口1030→前ヶ辻1200→(昼食)→ダイヤモンドポイント(1245〜1255)
→地獄谷西尾根→水晶山(1320〜1345)→地獄谷分岐1455→神鉄大池1530

Route Mapはここ

六甲の古道であった唐櫃道は行者道と呼ばれ、道々には33体の石仏が佇む。神戸居留外国人がこれをシュラインロードと名づけた。江戸時代の唐櫃道は、北摂方面からは酒米や農産物が、灘方面からは海産物などが運搬され、神戸の海岸地方と内陸部を結ぶ経済の動脈であった。当時は牛の背に荷物を乗せて、物資を運搬していたという。石仏は道中の無事、商売繁盛を願って建てられたもので、西国33ヶ所になぞらえて、観音様を祀っている。どの観音も笑みをうかべ、今も昔も道行く人たちを暖かく見守ってくれている。往時を偲びつつ、雪のシュラインロードを歩く。
「逢山峡」
神鉄有馬口駅前の駐車場に車を置き、唐櫃の在を奥地に向かう。左手に逢ヶ山722m、正面に古寺山635mを見る。阪神高速の高架をくぐり逢山峡に入る。

唐櫃の古民家

阪神高速の高架をくぐる(正面古寺山)
奥山j川に沿って林道がゆるやかに上っている。時に、犬の散歩やウォーキングの人に出会うが、瀬音と小鳥の声だけの静寂の世界だ。道端のルリビタキも近寄ってきて愛嬌を振りまく。東山橋を過ぎると谷が深まり、堰堤が現れる。冷え込みで、しぶきが枯れススキに凍りつき、思わぬ氷のオブジェを見せてくれる。

氷のオブジェ(奥山川)

逢山峡

猪鼻橋
水場を過ぎて、瀬音が一段と高まる。猪鼻滝だが、立ち木に隠れてその姿が見えない。「いのはなこばし」を過ぎる頃から路傍に雪が現れる。左に仏谷、小川谷への道を分けて、やや傾斜を増す。鍋谷川にかかる「いのはなばし」で大きく曲がり古寺山すそを越えるとシュラインロードの分岐である。前ヶ辻まで2.0Kmの道標が立つ。ここまで歩行1時間半、すでに標高は550mである
「シュラインロード」
鳥居をくぐり、六甲ドライブウェイを跨いで、シュラインロードの登りにかかる。

シュラインロード鳥居

車道脇のシュラインロード登り口
鳥居の近くには、1番仏から10番仏がある。1番から8番と番外仏は車道脇に並んで立つ。旧唐櫃道沿いにあったものを、道路整備の都合で、強制的ここに移動させられたそうである。

9体仏・・・右端が1番仏
前ヶ辻まで標高差200m、道の両側に雪をかぶった野仏が佇む。往時に思いを馳せながら、雪の階段道を一歩一歩登っていく。登山道は、当時の峠越えの道とは違うところもあり、奥まったところの石仏をうっかり見過ごしてしまう。20番を過ぎる頃から、積雪が一段と増し、丸太階段も隠れてしまった。
雪の野仏たち(左から15番、24番、33番)
三角点(点名行者の東)727.9mに立ち寄る。登山道から少し外れて、クマザサを分けて僅かに登ったところにあるが、関心のないハイカーは通り過ぎてしまう。別に展望があるわけではない。

三角点(点名行者の東)

行者堂

役小角を祀る祠
27番近くに行者堂がある。トタン屋根の休憩小屋の奥の祠には、役小角、前鬼、後鬼、不動明王が祀られている。行者堂からは、道はやや平坦となり、やがて山荘地帯の車道に繋がる。石仏は前ヶ辻近くの33番で終わるが、番外を含めると37体ある。
「ダイヤモンドポイント」
前ヶ辻の車道に出てシュラインロードは終わる。ここからアイスロードが灘へ下る。この間行き会ったハイカーは2、3人、車道に人影はない。雪がちらつき始める。記念碑台の六甲山自然保護センターで昼食と思っていたが、ゆっくりペースだったので、予定時間をオーバーする。このままダイヤモンドポイントを経て地獄谷を下ることにする。

民家のツララ

丁字ヶ辻付近

ダイヤモンドポイントへ
丁字ヶ辻から少し入ったノースロードの駐車場脇の木陰で雪を避けながらおにぎりタイムとする。轍のあとが凍りつき歩行が危険になってきたので、アイゼンを装着してダイヤモンドポイントに向かう。ストックの深さから、積雪は30cm以上はありそうだ。

ダイヤモンドポイントの展望
前方が開けてダイヤモンドポイント740mに到着する。眼下に阪神高速や大池の街が、丹生山系の彼方に、北摂、丹波の山々が時雨に霞む。
「水晶山」
ダイヤモンドポイントからの下りは、石楠花谷、地獄谷、地獄谷西尾根コースがあるが、積雪の谷へ下るのは危険と判断して尾根道を行くことにする。

水晶山を正面に

水晶山?
急降下して登り返したピークに兵庫山岳会の水晶山710mのプレートがかかる。地形図の水晶山と位置が違うし、標高720mも違う???。いずれが正しいのか。もう一回登り返したピークが地形図の水晶山710mで、どっしりとした感じの山である。どちらも展望はない。

地形図の水晶山で雪宿り

雪中下山
雪が激しく降りだした。視界不良、瞬く間にあたりは真っ白になる。目も開けられそうもないので、時雨が通り過ぎるのをじっと待つ。足の先から冷え込んでくる。20分ほど雪宿りしていたが、止みそうもないので、カサをさしてそろそろと下りにかかる。風がないのが幸いだ。
「地獄谷西尾根」
先行者の足跡が雪で消えてしまったが、立ち木の隙間を尾根をはずさず行けば間違いはない。右手が絶壁となったところを通過する。すべり落ちたら文字通り地獄行きである

地獄谷西尾根

晴れ間から地獄谷東尾根が覗く
雪が小止みになって、右手に地獄谷と東尾根が覗けるようになってきた。阪神高速を走る車の音も聞こえてくる。アイゼンの歯に雪がだんごのように張り付き、歩きにくいことこの上ない。晴れ間が広がり、積雪も少なくなってきたので、標高580m付近でアイゼンをはずす。
「大池」
これがすこし早すぎた。直後に雪に隠れた木の根に乗り、ステーン。左太ももをしたたかに打つ。幸い負傷はなかったが、しばらくはウーンといったまま動けず。立ち木に掴まりながらそろそろと歩く。尾根道は、右(地獄谷)や左(石楠花谷)に枝分かれして行く。現在地をGPSで確認しながら、最後まで尾根筋をはずさずに進むと、右手から立派な階段道が合流してきた。すぐ下が案内板のある小広場であった。

地獄谷コース案内板・・・右手

高架下を潜り神港高校グランドに出る
ここは地獄谷コースの起点で、案内板にはコースの図が書いてあるが、我々が下りてきた道は点線表示で、「危険」と注意書きしてある。知らぬが仏とはこのことで、そういえば立ち木の中の踏跡道で、公式の道標はなかった。谷川を渡り、高架を潜って車道に出る。

大池・地獄谷登山口からの水晶山とダイヤモンドポイント(右奥)
神鉄大池駅まであと2km。地獄谷登山口から振り返ると、高架の彼方にダイヤモンドポイントと水晶山が、西日に輝いていた。

栗鼠走るシュラインロード春深雪     ハナミズキ


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