宝塚 武庫川渓谷と桜の園
更新2009.4.18やまぼうし
 ■日時:2009.4.11() 天気 快晴
 ■場所:宝塚 武庫川渓谷、桜の園 25000地形図 宝塚
 ■同行:主催 エコグループ武庫川 参加者106名
 ■ルート
  JR西宮名塩0935→廃線跡→武庫川渓谷→親水広場(11401215)
  桜の園(12201305)→温泉橋1330→武田尾橋1350・・・JR武田尾駅1420
 Route map はこちら     桜の園案内図
エコグループ武庫川主催のエコハイク武庫川に参加。一般参加者105名とともに旧福知山線廃線跡から桜の園を歩く。市街地のソメイヨシノは散り初めながら、桜の園のヤマザクラは七分咲きで見頃であった。

桜の園のヤマザクラ

「名塩」
 エコハイク武庫川定番の武庫川渓谷ハイキングは春夏秋冬の年4回。ヤマザクラの季節が最も人気がある。西宮名塩駅に集合したのは一般参加者106名と最高記録。高齢者グループ、夫婦、子供連れまで多彩。エコグループ武庫川の代表であり、櫻守の会の事務局長でもある伊藤さんが自らガイドに立つ。櫻守の会員がサポートする。

名塩駅

くらがり街道へ、ソメイヨシノは散り初め
中国道の高架下を通り、今はR176となった旧くらがり街道(丹波街道)を20分ほど歩くと、武庫川堤の廃線跡へ下りる。桜見頃の週末とあって、ほかの団体や家族連れと合流し、賑やかになる。
「武庫川渓谷」
 旧福知山線は明治32年(1889年)に阪鶴鉄道として開通、明治39年(1906年)国鉄に移管、昭和61年(1986年)に名塩駅を含む新ルートが開通すると同時に廃線となる。武田尾駅までトンネル6つと鉄橋を含む7Kmがハイキングコースとなっているが、管理されたコースではなく、あくまでも自己責任でということでJRが黙認している。実は最近転落事故があったばかりである。

武庫川渓谷の始まり
武庫川が、渓谷から大きく屈曲して平地に入るこの辺は、2004年10月の台風23号で大水害に見舞われた。リバーサイド住宅は床上浸水し、全戸移転することとなった。支流の名塩川、どん尻川の鉄板橋を渡る頃から、清流岩を食む武庫川渓谷が始まる。武庫川渓谷は、今から約100万年前に六甲山地が隆起した時に、これに対抗し穿刻を続け、流路がそのまま残る「先行河川」なのだそうです。それが証拠に、渓谷を挟む山々はほぼ標高350mの台地を形成している。
「ダム建設予定地」
 最初のトンネル、北山第1トンネル(318m)が近づく。その手前がダム建設予定地である。別に看板が立っているわけではないので、関心のないハイカーは知らずに通り過ぎてしまうが、対岸の岩場に調査のための足場が残っているのでそれと分かる。下流の治水のための、天端標高120m、堰堤高73mの穴あきダムの計画だが、現在環境影響調査中である。足元の渓谷の巨岩は、渓谷最大の高座岩といい、雨乞いのための岩といわれている。トンネルに入らずに渓谷脇の回り道を歩く。数あるトンネルの中で、唯一のバイパス道である。

北山第一トンネルとダム計画地
「トンネルと鉄橋」
 第2のトンネルは北山第2トンネル(413m)だ。コースで最も長いトンネルで、S字にカーブしているため出入口が見えず、真っ暗闇だ。懐中電灯を取り出す。枕木などが立てかけてあるので真ん中を歩くこと。対向するハイカーのためにも電灯をつけないと危険である。

最長の北山第2トンネル

武庫川第2橋梁(溝滝尾トンネルと長尾山第1トンネルの間)
トンネルを抜けて、重次郎ヶ淵、溝滝(渓谷最大、雄滝、雌滝)を過ぎる。対岸の断崖上部に見えるのが天狗岩で近くにあった仙人岩は川に崩落してしまったとのこと。第3のトンネルは溝滝尾トンネル(149m)だ。出たところには武庫川第2橋梁長さ70mが掛かる。トンネルと赤さびたトラス構造の鉄橋は、廃線跡でも最も印象的な光景だ。橋の側道を通り、武庫川左岸に渡る。高所恐怖症の人は下を見ないこと。

すぐまた4番目の長尾山第1トンネル(307m)に入るが、このトンネルの入口に山と積まれている枕木は、トンネルを駆け抜けた洪水で流されたものである。ここも懐中電灯必須の真っ暗闇だ。出口付近は、道床がえぐれて水溜りとなっているから注意を要す。

トンネルを抜けると桜の園が遠望する
トンネルを抜けると、前方はるかに桜の園(亦楽山荘)の森が見える。武庫川に落ち込む緑の稜線をバックにヤマサクラが白く輝く。トンネル、はるかに続く廃線跡、武庫川の流れ、ヤマザクラと、写真家には絶好の構図を提供してくれる。
「親水広場」
 廃線跡に大きな石の転がる展望広場を通り、桜の園入口の親水広場に到着、昼食タイムとする。多くのハイカーが河原で弁当を広げている。広場には荘川ザクラ、西宮権現平サクラ、ササベザクラなどが植樹されているが、ササベザクラが満開。二重となった花弁の内側のものは旗弁(きべん)といって珍重されているのだそうである。唯一のソメイヨシノは散り初めである。

親水広場

親水広場のササベザクラ
桜の園(亦楽山荘)は面積40ヘクタール、笹部新太郎博士(18871978)の桜の演習林で、最盛期にはヤマザクラ、サトザクラが30種5千本が植えられていたという。現在は宝塚市の里山公園で、ボランティア櫻守の会が手入れを行っている。亦楽山荘とは建物ではなく、演習林全体をいう。

もみじの道を登る

育樹の丘
昼食もそこそこに、桜の園に入る。いろいろな周回コースがあるが、桜の季節は、右から周回するのがお勧め。もみじの道を登り、ロックガーデンから育樹の丘、さくらの道を下るのが良い。歩行が楽なことと、さくら道を下りながら、上から桜を見下ろすように観賞できるからだ。反対コースだと、上を見上げながら登らなければければならないことと、逆光に花びらが透けてしまう(モミジは綺麗ですが)。道標はしっかりしているが、遊歩道は、自然環境を損なわないように伐採木を使って階段などを整備している。

さくら道を下る
園内のサクラは現在約1000本。樹齢100年を越え、老木が目立つ。ちなみにソメイヨシノは一本もない。笹部新太郎博士に言わせれば、ソメイは亡国の花なのだそうだ。さくら道のサクラは七分咲きぐらい。3月の寒波で満開まで足踏み状態となったが、ここ数日の夏日を思わせる天気で一気に開花が進んだ。上から見下ろすヤマザクラは、黒々とした森を背景に白い花びらと褐色の葉が浮かびあがり、なんともいえない趣がある。
「武田尾」
 親水広場に戻り、第5番目の長尾山第2トンネル(147m)、ついで第6番目の長尾山第3トンネル(91m)を抜けると武田尾の民家が近づく。名塩駅を出てから、ようやくトイレのある広場に着く。ここのオオシマザクラはいま満開である。僧川(ぼうさんがわ)をわたって車道へ、ここで廃線跡ともお別れだ。

武田尾側から桜の園を振り返る
歓迎アーチの温泉橋を右岸に渡り、武田尾温泉への道を進む。旧武田尾駅のあった温泉橋付近の民家は水害で軒並み床上浸水した。対岸に武田尾駅を見る地点の川では泳ぐ人の姿が見える。清流とはいえないこのあたり、ちょっとどうかな。JR鉄橋の下を潜ると、朱塗りも鮮やかな武田尾橋(赤橋)が見えてくる。台風で流失したものが2006年に架け替えられた。エコハイクは一応ここで解散する。

武田尾駅と上流

武田尾橋で解散
武田尾温泉には4軒の旅館がある。流失後5年ぶりに一部営業を開始した紅葉館の足湯に浸かっていこうということで仲間と一緒する。10mの高さの木の枝に、この旅館の椅子が引っかかっていたことを思い出す。
日帰り温泉入浴は1300円だが、足湯は無料である。順番待ちの行列について疲れた足を休ませる。1間四方の小さな東屋という感じで、お互いの大根足?を眺めながら混浴?する。

紅葉館の足湯

武田尾駅ホームから下流を見る
第7番目のトンネル(番外)を抜けて武田尾駅に戻る。駅前のソメイヨシノが満開だ。
注:廃線跡閉鎖か
JR西日本は、武田尾渓谷の廃線跡を閉鎖したいと、西宮、宝塚両市に申し入れたそうです。20数年間ハイキング道として市民に親しまれた廃線跡が閉鎖されることは誠に残念なことです。今後の推移を見守って行きたいと思います。(2009年9月)
JR西日本と西宮市は協議の結果安全対策を講じて一般解放することになりました。(2016.11.15解放)
*本ページをご覧の方は是非武庫川エコハイクもご覧ください。

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