但馬 しゃくなげのトンネル三川山
up 2009.5.6やまぼうし
■日時:2009.4.29(水) 天気 晴 ■山名:香美町 三川山(887.8m) 地形図 2.5万 神鍋山 ■同行:ゆずり葉メンバー3名 |
ルートタイム
・往路:宝塚0600・・・三田西IC・・・中国・舞鶴道・・・・春日IC・・・北近畿道和田山IC・・・R9・・・豊岡・・・R178・・・下岡・・・三川権現P 0900
・登山:三川権現P0915〜シャクナゲコース〜山頂(1155〜1235)・・・奥の院コース・・・三川権現P1500
・帰路:三川権現P1520・・・豊岡(こうのとりの郷公園)(1600〜1630)・・・北近畿道和田山IC・・・春日IC1800・・・三田西IC・・・宝塚1930
三川集落から三川山を望む |
三川山は日本海から10kmほど内陸に入った香美町香住の山。但馬妙見山から続く但馬中央山脈の北端にあり、シャクナゲで有名。少し時期が遅れたが、標高の高いところでは満開のアーチで出迎えてくれた。上り下りとも急峻で、休憩を含めてガイドブックの2倍の時間を要した。
「三川権現」
R178下岡から佐津川を遡り、三川権現まで9km。車幅一杯のくねくね道が続く。三川権現は修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が天武3年(674)に蔵王権現を勧請して開いたと伝えられている。大和の大峯山、伯耆の三徳山と並んで日本三大権現に数えられ、5月3日の例祭には全国から山伏や行者が集まり盛大に護摩供養が行われるという。
三川権現 |
駐車場 |
シャクナゲとヤマザクラが満開の駐車場(標高220m)に車をとめ、身支度をする。例祭の準備であろうか、境内には村人が出て清掃にいそしんでいる。村人と挨拶をかわし、安全を祈願してから出発する。先頭は播但の山に精通しているHさん、女性二人を挟んで私は最後尾を歩く。
「シャクナゲコース」
懐深く入ったため、ここから山の全貌をみることはできない。植林の中の遊歩道が堰堤まで続く。花の山といわれるだけあって、シャガ、ムラサキケマン、ハナイカダ、ニリンソウがもうお迎えだ。堰堤を右から乗り越えて二つの流れを飛び石伝いに渡り、しばらくで分岐になる。
スタートしてすぐに植林帯に入る
堰堤を右から越える
シャクナゲコース・奥の院コースの分岐
傍らに朽ちかけた営林署の看板があり、歩道が表示されている。左手の三川山Aと書かれた手製の案内板に従ってシャクナゲコースをとる。右手に進めば三川山Bの奥の院コースである。コース名は後から観光用に名づけたようで、どこの道標にもお目にかからなかった。
山頂までの距離表示板(350m付近)
シャクナゲのトンネル
東斜面の道を行く
いきなり急登が始まる。登山道は踏跡を少しひろげた程度である。ちらほらとシャクナゲが現れたと思ったら、そのうちに道を覆うようになる。張り出した枝は頑強で、払いのけるのに力がいる。このあたりの花はもう終わりに近い。三川権現の満開のシャクナゲは別品種かも知れない。
標高350m付近に頂上まであと2000mの看板が置かれている。この後100mおきにある。地形図では456Pを越えて稜線を辿るように破線があるが、実際の道は東斜面の山腹を進んでいる。時々受信するGPSがそれを示す。オオイワカガミが群生する。カタクリはもう花が終わっている。ゼンマイがたくさんある。Hさんからゼンマイの食べ方を教えてもらい、しばし山菜取りに集中する。きれいな声で囀っているのはオオルリかセンダイムシクイか。ツツドリのホーホーの声も聞こえる。
シャクナゲの登山道(400m付近) |
「ブナ林」
シャクナゲの群生地を過ぎてブナ林に入る。とこどころにトチノキの巨木がある。雪が深いのだろう、ほとんどは根曲がり木である。急斜面をつづら折れに登って稜線に出る。あと1000mの表示があり、GPSの標高は650mを示す。700〜750mは見事なブナ林である。今日はじめての人に出会う。長靴に袋を担いだ3人連れは山菜取りである。きけばウドを探しているという。
ブナ林を登る(600m付近)
トチとブナの競演
木の根道
稜線上のブナ林を行く
「山頂」
あと500m、スギの植林帯に入ったと思ったら、すぐに工事中の林道に飛び出した。行く手にいくつもの無線中継アンテナが見える。側道には土をかぶった残雪がある。林立するアンテナの脇を進み、西端の香住テレビ中継施設の前のスギ木立の中に三川山三角点(887.8m)があった。傍らに手製の表示板が転がっている。丁度12時で、登りに2時間40分を要した。休憩時間を多くとったためか、ガイドブックの2倍かかったことになる。
無線アンテナが多数あるということは見通しがいいということだが、地上からの展望はない。僅かに木立の間から日本海を望むことができた。無線施設といい、掘り返された林道といい殺風景な山頂である。兵庫50山ならもう少し手をいれたらと思う。シャクナゲが嘆きそうだ。建物の影で昼食をとる。二組のご夫婦に出会う。
工事中の林道と残雪
無線中継アンテナ
三川山三角点
無線施設の前で記念写真 |
「奥の院コース」
昼食後は奥の院コース(Bコース)を下る。スギの植林地帯を緩やかに下っていくと広い谷にさしかかる。奥の院の堂宇があってもいいような場所である。自然林に変わると急激に下り始める。ここからはずっと尾根筋の下りで、ほとんど地形図の破線どうりに進む。シャクナゲコースに比べるとブナは少ない。頂上までの距離を示す案内板の数値が徐々に増えていく。これから登るというシニアのグループとすれ違う。口々にシャクナゲの素晴らしさを教えてくれる。
あと1300mの表示。標高650mぐらいでシャクナゲの群生地に入る。標高が高いところにあるこちらのコースの方がきれいである。足元が滑り、シャクナゲの枝に掴まって体を支えなければならない。普通の山なら補助ロープがあって当然な激下りが続く。サポーターをつけた膝が痛み出す。枝を掴む腕も痛い。Hさんは身軽にスイスイと下っていき、最後尾の私を待っている。シャクナゲを観賞する余裕がない。奥の院はどこにあったのだろうか、そんなことまで忘れてしまった。ようやく谷川に降り立ち、往路の分岐点に戻ってきた。
奥の院コース(Bコース) |
スギの植林帯が続く |
激下りが始まる |
頭上に覆いかぶさるシャクナゲ(650m付近)
登山道のシャクナゲ
木立の間から頂上が覗く
「三川権現へ」
下りにも2時間20分かかる。シャクナゲコース(Aコース)から奥の院コース(Bコース)と時計周りに周回したわけだが、さてどちらがいいか。シャクナゲはどちらもあるが奥の院コース、ブナはシャクナゲコースだろう。
谷川に降り立つ |
分岐点に戻る |
三川権現に帰ってきた |
「出会い」
シャガ
ムラサキケマン
エンレイソウ
ハナイカダ
ニリンソウ
クサイチゴ
ガマズミ
オオイワカガミ
ゼンマイ
ウスギヨウラク
ユキザサ
ミヤマシキミ
クロモジ
ミヤマカタバミ
シャクナゲ
せっかくの機会ということで、コウノトリの郷公園に立ち寄る。放鳥したコウノトリが低空に舞う姿を見ることができたのはラッキーというほかはない。
石楠花の険しき道を隠しをり ハナミズキ