丹波 毘沙門山・雨石山・櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)
2014.12.27改/2009.5.24やまぼうし

≪毘沙門山から雨石山・櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)を望む≫
■日時:2009.5.20(水) 天気 晴
■山名:毘沙門山(630m) 、雨石山(611m)、櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)(582.1m)
     地形図 2.5万 村雲
■同行:ハナミズキ
篠山市北東部、京都府との府県境にあり、分水嶺をなす毘沙門山〜雨石山〜櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)を歩く。厳しい岩稜もあるが、緑したたるたおやかな森の散歩道であった。
ルートタイム:
・宝塚0915→篠山市小原1040
・小原自然公園1040・・・毘沙門洞1110・・・展望台1130・・・512P1150・・・鉄塔甲64(1210昼1235)・・・毘沙門山1245・・・雨石山1305・・・595P1330・・・小野峠1345・・・546P1410・・・櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)(1455〜1505)・・・峠1515・・・宮代1550・・・小倉1620・・・峠1630・・・小原自然公園1645→宝塚1810

Route Mapはここ

「小原自然公園」
 R173の福井交差点を過ぎると、前方に雨石連山が見えてくる。2系統の送電線がこの山系を南北に横断している。12年前(1997年)に毘沙門山へ登った記憶がよみがえる。あの時は毘沙門洞を見過ごしてしまったのである。しばらくして右折し、藤坂川にかかる毘沙門橋を渡ると小原自然公園で、忠霊塔と新しい墓地の奥に公園案内板がある。ここが登山口である。車が数台置ける草むらに駐車して身支度を整える。三つの滝、毘沙門洞、展望台までの遊歩道の書かれた禿げかけの案内板は昔と変わらない。毘沙門山、雨石山、櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)の表記はない。
目の前に山に分け入る道があるが、轍のある滝への道を直進する。道端にギンリョウソウがある。小広場で行き止まりとなり、祠のある一ノ滝を見る(標高280m)。この奥に二ノ滝、三ノ滝があるようだが、左手の鳥居のある毘沙門天の参道をのぼる。杖が10数本置いてあるのは参拝者のためだろう。

登山口の案内板

一ノ滝

毘沙門天参道
「毘沙門洞」
 ジグザグに急登していく。送電線巡視路を見送り、巨岩の下を巻いて進んで行くと、右への分岐(380m)がある。ここには何の表示もないが、これが毘沙門洞への道で、前回はうっかり見過ごしてしまったのである。5分ほど登った標高410m付近の行き止まりにぽっかりあいた三角錐の洞窟が毘沙門洞である。間口3m、内部高さ10m、奥行き10mは県下最大級の洞窟だろう。

毘沙門洞

洞内に毘沙門天を祀る
この洞窟には毘沙門天が祀られている。毎年の1月の初寅の日には、地域の人々がお参りする「初寅さん」が行われているそうで、6時半ごろの日の出には一筋の光が丁度毘沙門天像に当たり、神秘的な光景になるという。エジプトのアブシンベル神殿を思い出す。
「毘沙門山」
 さて、洞窟の左手には踏跡が登っているのでこちらを辿ろうとしたが、途中の岩場で道が怪しくなり結局もとの分岐に戻る。後でネットを調べると尾根まで直登できるようだ。鎖で囲まれた展望台からは立ち木が邪魔して何も見えず、R173を走る車の騒音だけが響く。ここから512Pまでの登りが最もきつかった。ようやくフラットな雑木の尾根歩きとなり息を吹き返す。

稜線580P付近

鉄塔 丹波甲64
580Pで右手から上がってくる分岐を見る。大きな岩を乗り越えると送電線の鉄塔丹波甲64に出て見晴らしが開ける。ここまでかなりの時間を費やしたので、鉄塔近くの木陰で昼食とする。小高いところに立つと、歩いてきた稜線の向こうに八ヶ尾山が、行く手に鉄塔乙64と毘沙門山を望むことができた。

鉄塔丹波乙64と毘沙門山

毘沙門山から鉄塔丹波甲64と八ヶ尾山
鉄塔甲64から鉄塔乙64を経由して毘沙門山までヒカゲツツジの群生地を行く。一ヶ月早ければ花のトンネルとなっていただろう。垂直に落ち込んだ岩場にヒヤリとしながら山系最高峰の毘沙門山(630m)へ到着。このあたりの岩は赤紫色をしているが、これはチャートという堆積岩で、もと海底であった証拠だというから驚く。狭いピークからは歩いてきた稜線の向こうに八ヶ尾山が、東に回り込んだところからはこれから行く雨石山や櫃ヶ嶽が望まれる(トップ写真)。
朽ちかけた毘沙門山のプレートが落ちていたが、12年前(1997年)には雨石山の表示もあった。地元の八が尾クラブWEBページによると、毘沙門山と呼ぶ山は今登ってきた稜線上の2つのピークの総称で、630Pは岩尾峰というらしい。また雨石山も定かでなく山系一帯をそう呼んだと書かれている。ここは篠山市ホームページの呼称に従っておくことにする。
「雨石山」
 雨石山へはじめは狭い岩稜を歩くが、やがて広く、緩やかな林に入る。北側(京丹波)はスギ、ヒノキの植林地、南側(篠山)はクヌギの多い自然林である。頂上は緩やかな林の中でどこがピークか定かでないが、山名プレートの多い辺りを頂上(611m)と決める。

毘沙門山から雨石山〜櫃ヶ嶽を展望

雨石山へ岩尾根の道

やがて林の稜線に変わる(北:植林、南:自然林)

広く緩やかな雨石山
雨石山から緩やかに下り、再び上り返したピークが595Pである。こちらもフラットな頂で、依然として植林地と自然林の境界にある。植林地も間伐、枝打ちが行き届き、まっすぐ伸びたスギ林もきれいである。自然林の中に、キツツキの巣穴を見つける。しかも6つも縦に並んでいる。遠くでツツドリの鳴き声がする。

キツツキの巣穴?

595P

小野峠
再び下る。標高差150mの急激な下りだが、稜線がはっきりせず、踏跡も定かでないが、テープに救われながら小野峠(430m)に下りる。テープがなかったら方向をあやまりそうなところである。ここは京丹波の小野と篠山の小倉を結ぶ十字路となっている。木の幹にみちしるべがくくってあったが、考えてみると今まで全く道標らしいものはなかったし、これから先にもない。再び急登して546Pに至る。振り返る595峰はどっしりとした大きな山である。サンショウの群生地があり、木立の間に櫃ヶ嶽が覗く。
「櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)」
 いよいよ櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)の登りにかかる。踏跡は再び定かでなくなり、テープも見失う。クヌギの疎林を直線的に登っていくと、切り開きの道に遭遇し、すぐに頂上にでた。一度東に振って、南側から取り付くようである。
頂上は三角点(582.1m)を中心に10m四方ぐらいの小広場で、「窯」の刻印のある杭が2本立つ。コナラなどの雑木に囲まれ展望はない。タニウツギが咲き、アゲハ蝶が舞う。櫃ヶ嶽は別名羊ヶ嶽ともいい、干支の年には大勢のハイカーが訪れるそうである。2015年はひつじ年、地域のコミュニティサイト大芋ふるさとネットによると頂上の木々が刈り払われて、展望を楽しむことができるようになったとのことです。

櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)を仰ぐ

頂上直下、自然林の登り

櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)山頂

山名プレート   
一服して東へ切り開きの道を下る。雑木林から植林地に変わり、10分ほどで峠(480m)に到着。宮代への道をとる。左に流れを見ながら植林の谷を下るとやがて広い林道となり、里に下りてきた。


薄暗い林道を下る

宮代の集落が見えてきた
「宮代〜小倉」
 田植えの終えたばかりの水田の向こうに宮代の集落が見える。トタン覆いされているが茅葺屋根の民家は風情がある。小学生が飛び出してきた。通っている大芋(おくも)小学校は新型インフルエンザで休みだそうで、こんな山奥の学校まで休校とは驚きだ。宮代公民館「ひつがだけの里」の掲示板にも注意書きが張られていた。

宮代集落と櫃ヶ嶽(羊ヶ嶽)

左から八ヶ尾山、毘沙門山、雨石山(小倉から)
宮代から小倉へ田園風景を行く。歩いてきた山々を振り返る。岩稜あり、緑あり、久しぶりにいい山歩きだった。
「出会い」

キンラン(絶滅危惧種)

ギンリョウソウ

リンドウ

フタリシズカ

ガマズミ

初蝉や毘沙門洞へ攀じ登る     ハナミズキ

トップに戻る

inserted by FC2 system