UP 2024.3.26/2010.2.20 やまぼうし

丹波 武庫川源流を歩く

■日時:2010.2.13(土) 晴
■場所:武庫川上流域(篠山)
     地形図 1:25000篠山
■参加:41名
■主催:エコグループ・武庫川
武庫川は全長65km、7市1町(篠山市、能勢町、三田市、神戸市、西宮市、宝塚市、伊丹市、尼崎市)を流れる兵庫県有数の人口・資産を抱える2級河川である。その源流は摂丹国境の愛宕山648mである。今回は、エコグループ・武庫川の主催するエコハイクに同行し、JR篠山口から武庫川源流の龍蔵寺川源頭までを歩く。
ルート
JR篠山口9:40→谷中分水界10:00→初田八柱神社10:15→真南条10:55→龍蔵寺(11:45昼12:15)→龍蔵寺川源頭12:40→龍蔵寺13:00→二村神社1330→真南条川13:50→武庫川起点14:25→JR南矢代14:50

Route Mapはここ


武庫川源流の龍蔵寺川
「谷中分水界」
 JR篠山口駅に集合したのは老若男女41名。エコグループ・武庫川の主催する武庫川ハイクも35回を重ねる。厳しい寒さにも関わらず武庫川源流の魅力か、多数の参加者である。駅舎から眺める源流の愛宕山は雪化粧しており、はたしてどこまで遡れるか。スケジュール説明のあと、谷中分水界に向かう。

谷中分水界の説明版

第一水門(向こう側は篠山)

第二水門に向かう
篠山口駅付近の田松川には標高195mの谷中分水界がある。北は篠山川(加古川水系)、南は武庫川で第1水門、第2水門と2つの堰で仕切られている。一本の流れの中に分水界がある極めて珍しい河川です。第1水門の篠山川側は水路というよりアパートの裏を流れる下水路に近く、武庫川側は次の第2水門まで流れのない運河のようである。地形図では第2水門を分水界としており、この先はゆっくりと武庫川起点に向かう流れがある。

初田から峠越え

初田の氏神 八柱神社
「真南条」
 舞鶴若狭自動車道を潜り、初田の集落から峠越えの林道を登る。荒れた竹やぶと植林地の中に初田の氏神様八柱神社が祀られている。峠を下りたところでハンターに出会う。本日は一頭しとめたが猟犬がイノシシの牙に突かれて重傷を負ったと話していた。真南条の集落で小休止する。民家の土蔵越しに雪の愛宕山を仰ぐ。

真南条からの愛宕山648m

龍蔵寺参道 ここから1.6km
R372デカンショ街道を横切り、龍蔵寺参道を行く。昔は小さな棚田の連続であったが、今は一枚が大きな田んぼに整備されている。大きなため池は田口池といい、篠山藩主青山忠裕公が村民のためを思い、寛政12年(1801)〜文化6年(1810)にかけて改修した由緒ある池なのだそうだ。その後何回か改修を重ね今の姿となった。横に改修記念碑が建っている。

田口池と愛宕山

田口池改修記念碑
「龍蔵寺」
 ここまでは真南条川、田口池から先は龍蔵寺川と名を変える。二面張りの龍蔵寺川は、コンクリートは使わず自然石を使って地下水絶やさない、魚道を設けて生物の生息環境に配慮するなど工夫したつくりである。この辺りで愛宕山も見納めで山懐に入りこむ。障害者施設のある農場を過ぎて龍蔵寺の山門、そして境内に入る(標高300m)。本堂横の社務所はまだ新しい。

龍蔵寺

龍蔵寺住職 大平山(愛宕山)の自然について
龍蔵寺は大化元(645)年法道上人が開祖、太平山天台宗の寺。多紀三山(高仙寺、文保寺、龍蔵寺)の中で最も隆盛を誇った。全盛期には修験道の道場として72 の寺坊があったという。一説に太古多紀郡一体が沼地で大龍が住んでおり、諏訪明神が開拓された際、この龍を退治された。そのとき龍は十一面観音になり、この地に祀られた。今は観音堂のみ。丹波の古刹十五ヶ寺の第一番。

愛宕堂を経て愛宕山まで0.9km(近畿自然歩道)

龍蔵寺川を遡る
昼食の間に住職が、この付近の山と自然についてのお話しをされる。愛宕山、中尾の峰に囲まれたこの谷はトガの原生林であった。クスノキの北限でもあり、スギ、ヒノキの植林は200年を経ている。林床にはシャガ、フユイチゴ、ヤブコウジ、ミヤマシキミ、ミツマタ、アジサイの原種が自生。ところどころに見られるお茶は修行僧の生活の名残りという。自生の山野草を大切に、皆さんで楽しんでくださいと結ぶ。

ミツマタの群生

スギ・ヒノキの植林地へ入る
「龍蔵寺川源流」
 龍蔵寺から先は渓谷と山腹の厳しい登りがつづく。健脚者だけということであったが、全員が登るという。愛宕堂・愛宕山への直登道を左に見て、龍蔵寺川を遡る。ミツマタが群生している。渓谷の危なっかしい丸木橋を2回わたり植林地へ入る。人出が入り、間伐した材がきれいに並べられている。ジグザグの作業道を上りだす。スギの落葉がクッションとなり歩きやすいが、隠れた小岩に躓きやすい。大丈夫かなと思われる高齢のおばあちゃんもついてくる。標高460m付近の支谷で折り返すことにする。流れはもうなく、この先は倒木が谷を埋め尽くし、雪もうっすら積もっており危険。40人が折り返すのも容易ではない。

植林地を登る

龍蔵寺川源頭を覗く 標高460m
「武庫川起点」
 龍蔵寺に戻り、真南条集落へ下る。途中二村(ふたむら)神社に立ち寄る。広い田んぼの中を流れる真南条川の堤防を下る。生活用水が流れ込むのか、白くにごり泡立っているところもある。桜の並木となる。兵庫県が日本海と瀬戸内海を結ぶさくら回廊を作ったが、武庫川では舞鶴若狭自動車道の東側の真南条川から始まり、河口まで続く。しかし植林時の添え木がそのままとなっており、かわいそうに幹に食い込んだものもある。

田松川(左)と真南条川の合流点

武庫川起点標石
舞鶴若狭道を潜ると右手から田松川が接近してくる。合流点が武庫川の起点であり、そこに標石が立つ。昭和40年9月に2級河川の指定を受けて設置されたものだそうですが、石に刻まれた文字は1級河川、これは誤りである。おまけに「武庫」の文字がえぐられて見えない。対岸にも標石が見えるので帰り際に川を回りこんでみるとこちらは正しい。なんともお粗末ではある。ここから河口まで武庫川65kmが始まる。真南条川、龍蔵寺川を含めると長さは70数kmはあるだろう。JR南矢代駅は近い。
本ページは一部武庫川エコハイクの資料を参照させていただきました。
2010.2.20 やまぼうし
関連リンク:
        ・武庫川源流(2005.12.10)
        ・武庫川もう一つの源流(2007.8.4)
       ・愛宕山と中尾の峰(2011.11.3)
       ・一目1万本ミツマタの愛宕山(2012.4.7)
       ・武庫川源流を歩く(2012.10.25)

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