UP 2023.7.18/2011.2.16 改定 やまぼうし
虚空蔵山 酒滴岩から北尾根
■日時:2010.12.28(火) 天気 晴のち雨
■行先:虚空蔵山(596m)
     1/25000地形図 藍本
■同行:櫻守の会 6名
摂丹国境の虚空蔵山は丹波富士ともいわれ、三田市相野側から眺めると優美な形をしている。例年お正月には初日の出登山が行われ、中腹の虚空蔵堂では餅やお酒が振舞われる。今回は酒滴岩から登り、頂上から北尾根を草野へ下りる。兵庫ふるさと50山に選定されハイカーの人気が高い。

<相野からの虚空蔵山>
コースタイム:
藍本駅0945〜酒滴岩1010〜虚空蔵堂1110〜虚空蔵山(1200〜1240)〜八王子山1315〜山上山1435〜油井バス停1500〜草野駅1520
Route Map
2月に行われる武庫川エコハイクの下見ということで、櫻守の会スタッフ5名と女性2名で、虚空蔵山に登る。一般的には表参道を往復するが、由緒ある酒滴岩を経由して山頂へ、更に北尾根を八王子山、山上山を経て油井へ下山する予定である。天気予報は午後3時過ぎから雨なので急がねばならない。(*酒垂岩ともいわれるが、三田市の表記に統一した)
1.酒滴神社
 酒滴岩への取り付きはいくつかあるようだが、17年前(1993年)の記憶では民家横の竹やぶから入った。ここと思われる場所に当時の民家(Mさん宅)はなく、広場となっていた。今は黄色い家のIさん宅が目印になる。

 山に入る前に酒滴神社にお参りする。素戔鳴尊・春日大神・八幡大神を祭神とし、9世紀中頃疾病が蔓延した時、スサノオミコトと名乗る童子が神のお告げによって、山中に滴り落ちる霊水を飲むことをすすめ、病から人々を救い信仰を集めたことが始まりという。三田市重文で随身門に掛る算法額をはじめて見る。線路を挟んだ田んぼの中に県下最古の石鳥居(県指定文化財)がある。神社前に転がる巨岩(転石)は、虚空蔵山の裏側の大川瀬から飛来したといわれ、また住吉神社と酒滴神社が喧嘩して住吉神社が投げた石とのいわれもある。その後大川瀬との往来が絶えていると言われる。酒滴神社はヘビの神様、住吉神社はカエルの神様。
*江戸時代に数学者が難問題を解いた時に、神仏の加護によるものとして、計算方法を書いた額を奉納する習慣があった。この額は「文化8年(1811年)波田村寅年の男」「下垣内市左衛門正矩」の墨書があり、県下最古の算法額。扇図形の応用問題の回答を載せている。

石鳥居

酒滴神社

算法額
2.酒滴岩
 取り付きから竹やぶの小道を上がる。ハイキングコースではないから目印は何もない。左手下に酒垂川の砂防堰堤を見て、右手の森を上がっていく。まもなく愛宕山と書いた灯篭と小さな社が祀られているところに出る。裏手に踏跡道がついている。行く手に巨大な岩場が現れる。これが酒滴岩だ。左から回り込んで岩の前に立つ。どこから霊水が湧き出ていたのだろうか。岩をよじ登ることもできそうだが、神聖な場所であり、左すそを回って最上部にでる。眼下には蛇行する武庫川と田園風景が広がる。酒滴神社は見えないが、田んぼの中の鳥居が見える。尾根を西進し、岩辻山359m(道路公団基準点)を越えて裏参道に合流する。

酒滴岩取り付き

愛宕山

酒滴岩

酒滴岩のピークで

酒滴岩から武庫川の展望

岩辻山への急登

岩辻山ピーク
3.虚空蔵堂〜虚空蔵山
 裏参道との合流点は十字路になっているが、ここは左折して、参道を登る。程なく表参道と合流するが、もう虚空蔵堂の階段下である。近畿自然歩道の道標が立ち、藍本駅まで表参道、裏参道ともここから2.5kmとある。標高370mにある虚空蔵堂は山形県の虚空院、京都嵐山の法輪寺とともに日本三体虚空蔵といわれており、嘗ては毘沙門堂、薬師寺、仁王堂などの伽藍があったとされる。戦国時代の天正7(1579)年明智光秀の丹波攻めの際に兵火に会い焼失、その後再建されたが残念ながら往時の面影を残すものはわずかである。近隣の村々では、かって13歳になった女の子は、十三参りといって必ずこの虚空蔵寺に参って守り札を受けなければ、嫁入りできないといわれ、現在でも4月13日の法会には多くの人々が参詣するという。境内には慶長年間の復興時に用いられたという鯱瓦(しゃちほこがわら)が置かれている。お正月の初日の出登山には、ここでお餅やお酒が振舞われる。

虚空蔵堂下で表参道と合流

虚空蔵堂

鯱瓦
 山頂へはここから800m、標高差230mである。かなりきつい登りが続く。標高440m付近の役行者像前で一服、尾根まで急登すると陶の郷からの道が合流する。南の展望が開けてくる。送電線が続く彼方は三本峠だろう。露岩が目立つようになってきた。このあたりの岩石は非常に特徴的で、板状に縦割れしている。兵庫県の山頂の岩石を解説しているウェブページで調べると、今からおよそ7000万年前の激しい火山活動によってできた溶結凝灰岩から成っている板状節理であることが分かった。

役行者像

陶の郷自然遊歩道と合流 あと300m
 頂上直下、板状節理の丹波岩から南面の展望を楽しむ。千丈寺山、大船山、羽束山、六甲山系、丹生・帝釈山、オッコ・メッコ、立杭の里を挟んで上山、和田寺山、御嶽山など霞んではいるがそれと分かる。ご来光を仰ぐ絶好のポイントだろう。すぐ上が山頂である。596mと書かれた頂上標識は折れて転がっていた。風を避けるように昼食をとる。

板状節理の丹波岩

虚空蔵山頂596m
4.北尾根・八王子山
 地形図の592Pを越えて尾根を北へ向かう(頂上標識は592Pより南のピーク)。途中の岩場から北側の展望が開ける。眼下にこれから向かう八王子山、山上山、はるかに白髪岳、松尾山を望む。雑木のプロムナードを下っていくと、左(西)から、陶の郷から登ってくる道が合流する。やがてY分岐は左のプラ階段を下る。関電巡視路を下ったところが鉄塔#14である。再び上り返すが、またY分岐。これは左にとる。右は草野駅方面である。オロ峠への看板は今も健在だ。
 登りきったところが八王子山(545m)だが、気づかずに通り過ぎてしまいそうだ。次の小ピークを過ぎて下り、再び登ったところが三角点のある八王子山だが、正式には点名草野(496.1m)という。ヤブの中で展望はない。右に下る道は恐らく鉄塔#16へ続くのだろう、ここは左に進む。

北尾根から八王子山、山上山を見る。遠方にとんがり山、白髪岳、松尾山

オロ峠の看板が目印

鉄塔#14

八王子山(545m)

八王子山三角点(496.1m)
5.山上山〜草野
 尾根をはずさないよう北進する。途中で左(西)の展望が開け、立杭の里が覗く。東へカーブした尾根は小さな露岩に出る。ここからは南に、いま辿ってきた八王子山三角点や虚空蔵山が、西から北にかけて西寺山、とんがり山、白髪岳、松尾山、多紀連山を望む。黒雲が天を覆いはじめ、暗くなってきた。
 露岩を急降下すると鉄塔#17である。右後方は鉄塔#16へ、左は鉄塔#18への道がある。正面の417Pに向けて登る。途中右へ分岐する道は草野駅方面である。417Pは小さなスペースで、東に向かう道は木の枝で通せんぼしてある。草野駅へ向かうようであるが、途中からヤブとなってしまうようである。尾根を北へ向かう。

360度展望の露岩

鉄塔#17と417P峰

417P
 ゆるく下って上り返したところが山上山(395m)である。どこが頂上か分からない。テレビの中継アンテナがあり、ここから海見山や眼下に草野駅を見る。下りにかかる。岩場にさしかかったところで雨が降りだす。岩場の最上段には役行者と地蔵さんの2体の石仏が油井の里を見下ろしている。岩場には長い鎖がかかっている。何人かは鎖を伝って降りたが、私は手荷物があり迂回路を下る。雨が激しくなってきた。

 ここから油井まで、NHKアンテナケーブル線に沿って一直線の下りだが、急勾配で傘をさせる状態ではない。カッパを取り出すのが面倒なので、皆より先に早足で下る。やや勾配がゆるくなったところで傘をさす。民家(Sさん宅)横から車道の油井バス停へ下りてきた。オロ峠の東麓にあたる。

北尾根を振り返る(左から虚空蔵山、八王子山、三角点山)

山上山から海見山と草野駅

山上山頂

油井の里を見守る石仏

鎖場

鎖場を下る
 皆が出揃ったところで車道を草野駅に向かう。雨がやんだ。草野駅から八王子山、山上山を振り返る。北尾根は思った以上に変化のあるコースで健脚向けには面白いが、レベルのまちまちな50人もの団体を引率するのは無理だろう。

民家横に下山

民家と油井バス停

草野駅からの展望
関連ページ:2011.2.12 武庫川エコハイク 酒滴神社から虚空蔵山 

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