ヒカゲツツジの筱見四十八滝
作成2013.4.23やまぼうし

■行先:篠山市上笹見 筱見四十八滝、峠山(630.6)  2.5万村雲
■日時:2013.4.22() 晴れ
■同行:MNC山歩会13名
交通:阪急宝塚駅前0810→(R176)→(R173)→上笹見キャンプ場0940 (車 55km/1.5H、NMR、NIK、HRY)

筱見四十八滝は多紀連山の東端に位置しており、始終(しじゅう)水がかれることのない滝が8つあるところからこの名がある。その昔修験道行者達は、この滝で水行をして出発したという。今は、多紀連山県立自然公園で、兵庫県森林浴場50選に選ばれている。この時期、滝道から見る岩稜に群生するヒカゲツツジは圧巻である。いくつもの鎖場があるが、スリルと感動の山歩きを楽しむことができる。
・登山コース
キャンプ場1000→滝めぐり(手洗滝→弁天滝・肩ヶ滝→長滝→シャレ滝→大滝→二の滝・一の滝)→最上段1150八ヶ尾山分岐(1200〜昼〜1230)→周回路→峠山1310→周回路分岐1325→キャンプ場1415
地図はこちら 滝案内図

岩稜のヒカゲツツジ(四十八滝最上段の岩場から)

「上筱見・キャンプ場
 今朝の篠山地方は氷点下の冷え込みだが、今年はサクラをはじめとして1週間から10日ほど開花が早い。ヒカゲツツジは1週間前に満開を迎えたとの情報である。待ってて下さいと心に祈りながら宝塚から3台の車を飛ばす。葉桜となった桜並木の続くR173を小田中で左折して篠山川を渡り、上筱見(かみささみ)の集落に入る。古戦場で筱見観音のある百万石酒造の角を曲がると、正面に峠山630mと筱見無名峰600mが見える。すぐにキャンプ場(標高280m)に着く。ここは多紀連山アルペンルートの東登山口にあたる。
 県立公園の案内看板と東屋があり、先行車が2、3台停まっている。案内板には、四十八滝とは8つの滝が始終流れていることから名づけられたことと、装備を整えてから登ることの注意書きがある。一番下の手洗滝までは散歩がてらにいけるが、その上へは巨岩・奇岩の渓谷や鎖の岩場が続くので登山装備が必要だ。私は2度目だが、ほかの皆さんは初めてなので、しっかりと足場を固めて歩くこと、リュックの紐を締めて体のバランスを崩さないようお願いする。トイレをすませ、足腰のストレッチをして出発する。

キャンプ場広場でミーティング

滝めぐりコース 
「四十八滝」
滝は下から順に「手洗い滝」5m→「弁天滝」8m・「肩ヶ滝」5m→「長滝」33m→「シャレ滝」8m→「大滝」20m→「二の滝」3m・「一の滝」8mと標高差約200mの間に8つある。その昔修験道行者達は、この滝で水行をして出発したという
 
出発

幽玄な雰囲気
 
木の根道
流れを左に見て谷あいに入ると、鬱蒼とした杉木立と苔むす岩の道となり幽玄な雰囲気が漂う。すぐに「手洗い滝」である。落下するというより、岩を滑るように流れる。滝道は、道標がつけられていて迷うことはない。木の根を掴んで登っていくと、「弁天滝」「肩ヶ滝」が並んでいる。滝つぼには弁天が祀られている。

手洗い滝 5m

「弁天滝」8m・「肩ヶ滝」5m
登山道もだんだん険しくなってきた。2日前の雨で、岩がぬれ、浮き出た木の根も滑りやすい。道から少し外れて、8つの滝で最長の「長滝」の滝つぼに下りる(標高350m)。落差33mの見上げる岩壁にクリーム色のヒカゲツツジが見える。初対面だ。

長滝 33m


滝口を見上げて

 滝口のヒカゲツツジ
もう半分の滝を過ぎたが、まだ先は長い。トラロープや岩場の鎖を伝って五番目の「シャレ滝」へ。篠山城主が名づけたという。名前に惹かれるが、こちらはスリット状の滝である。

 名前に惹かれる

長いアプローチ

シャレ滝 8m
次の大滝までの距離は長い。鎖場が続く。途中で展望が開け、岩場に群生するヒカゲツツジ、コバノミツバツツジ、谷には葉桜となったヤマザクラが見える。先行グループが休憩中だ。狭い張出尾根で集合写真を撮る。

大滝への道しるべ

左は絶壁だ

しっかり鎖を掴んで

シャレ滝・大滝間のビューポイントで
再び沢歩きが始まる。谷あいにピリーリー、ピールリ、ピールリとオオルリのさえずりが響く。頭上を圧倒する巨岩は丹波層群で、砂岩、泥岩の互層とチャート、石灰岩などでできている。1億数千年前は海底であったことを物語っている。
 
後続を待つ

大滝20mを背景に

渓谷を形成する丹波層群の岩
「大滝」から沢を直登して、登りつめたところが「二の滝」「一の滝」だ。一本の流れで、どこからが二の滝だろうか。

一の滝 3m

二の滝 8m

滝つぼで 
最後の鎖場は、垂直に近い20m以上の岩壁を登る。足場をしっかり確保して、鎖に頼る。傍らに咲くヒカゲツツジを愛でる余裕がない。

最後の難関

ヒカゲツツジに
 
見守られて岩壁を登る
標高480mの岩場のトップに立つ。谷を挟んだ向かいの岩稜にヒカゲツツジが群生、ヤマザクラが孤高を誇る。心地よい風に疲れを癒し、しばし展望を楽しむ。本日のベストポイントだ。

岩場トップから

の景観
 
 岩場トップで
「癒しの森」
谷あいに下り、緩やかになった流れに沿って歩くと源頭だ。カラスザンショウが群生する。谷が広がり、新芽をつけたばかりのコナラやリョウブの林に入る。あたり一面に栗の実が落ちている。カナクギの樹の下で弁当を広げる。至福のひと時だ。

新芽の林を歩く

カラスザンショウ

ヤマナラシ

一面にクリの実
「峠山」
昼食後は600m無名峰を回り込むようにして多紀連山縦走路を峠山に向かう。沿道にはナツツバキ、クロモジ、実生のウリハダカエデが多い。北風が稜線を吹きぬける。峠山への登山道にヒカゲツツジを発見。北斜面のためか、ちょうど見頃だ。

峠山の

ヒカゲツツジ

峠山三角点
「周回路」
40分ほどで峠山(630.6m)に着く。スギの植林地と自然林の間に三等三角点がある。展望には恵まれない山頂だが、南側の木立ちの間から深山、弥十郎ケ岳など北摂の山々が覗く。この先は多紀連山縦走コースで小金ヶ岳、三岳に続く。元の周回路に引き返して、林道をキャンプ場に向けて下る。小岩の転がるジグザグの周回路は歩きにくいが、カエデ、ヤマザクラ、コバノミツバツツジを鑑賞しながらゆっくりと進む。シャクナゲがピンクの花を咲かせている。
 
林道を下る

シャクナゲ
峠山から約1時間で元のキャンプ場へ降りてきた。ヒカゲツツジといえば向山だが、岩稜のヒカゲツツジは筱見四十八滝が一番だろう。ヒカゲツツジは今や絶滅危惧種で、丹波や但馬の一部に残っているだけだ。大切に見守っていきたい。

出会い


ヒカゲツツジ

コバノミツバツツジ

アセビ

シキミ 

シャクナゲ

ウリハダカエデ

アカシデ

 ミズキ

                    データ
       ヒカゲツツジ(日陰躑躅) ツツジ科ツツジ属
   常緑低木(樹高1〜2m)・互生(輪生)・単葉・不分裂葉・全縁
   本州(関東以西)、四国・九州に分布。
   岩尾根や岩壁に生える。サルの旬の食べ物、別名:サワテラシ

トップ表紙へ戻る

inserted by FC2 system