クリンソウの多紀連山 三嶽
作成 2013.6.9 やまぼうし
■山名:三嶽(793.4m)
■場所:篠山市、2.5万地形図 村雲
■日時:2013.5.16(木)天気 曇り
■同行:単独
 多紀連山の主峰御嶽793mの標高500〜550mの谷あいに、その数17万本ともいわれるクリンソウの群落が発見され、一般公開から4年が経つ。8年ぶりとなる三嶽(御嶽)登山かたがた、群生地を訪れました。

クリンソウ群落(2013.5.16)
コースタイム
みたけ会館9:30→(瀬利コース)→丸山コース分岐10:40→火打岩コース分岐11:05→鳥居堂跡11:40→クリンソウ群落地(11:50〜12:40)→大岳寺跡12:50→三嶽山頂13:25→(戻る)→クリンソウ群落地14:00→(黒岡川渓谷)→林道14:30→丸山集落15:10→峠越え→瀬利稲荷神社16:30→みたけ会館16:50。歩行約12km。
Route Map  自生地案内図
「瀬利コース」
 三嶽への登山ルートは、篠山側から丸山、火打岩(ひうちわん)、瀬利(せり)と3つのコースがある。クリンソウ群落地は黒岡川の源流でいずれも1時間以上山を登らなければならない。私は篠山市瀬利の「みたけ会館」に駐車して瀬利コースを登ることにした。火打岩からは数回登ったことはあるが、このコースは初めてである。シーズンの真っ最中とあって、平日でも、グループや団体のハイカーが押し寄せると聞いていたが、会館の駐車場は空きがあり、直後に3人組が来ただけであった。
 会館で留守番の女性に挨拶して、案内図をいただいて登山口を目指す。左手のピラミダルな山は八百里山(やおりやま)(442m)で、丹波篠山五十三次のひとつ八百里城跡がある。帰りに寄りたかったが結果的に時間切れで宿題となってしまった。
 先行する3人組が、取付きを誤ったか集落の中をうろついている。瀬利コースは人気がないのか道標も少なく、しっかり地図を見ないといけない。そういう私も、3人組を追い越したはいいが、次の分岐を誤って作業道に入り込み(地図中×地点)、30分ほどロスしてしまった。この間に抜かれてしまったようである。取付き付近のヤマフジがきれいである。
 丸山コースとの分岐にさしかかると、同コースから登ってきた30人ぐらいの団体に遭遇する。聞けば柏原(かいばら)の高齢者大学OB会の皆さんで、ガイドを務めるのは同窓生でクリンソウを守る会のメンバー。これ幸いと仲間に入れていただき、クリンソウ群落地までついていくことにした。

スタートはみたけ会館

八百里山(城跡)を西に見ての瀬利コース

瀬利コース登山口(右)

ヤマフジの瀬利コース登山路

丸山コースに合流
「クリンソウ群落地へ」
 火打岩(ひうちわん)コースが合流してきた。このコースが一番人気だが、尾根まで階段の連続で疲れるようである。丸山コースが最も近く、OB会の皆さんは自家用車に分乗してこられたよし。帰りに寄ってみよう。展望の馬の背、鳥居堂跡地を過ぎてしばらくで、クリンソウ群生地の道標があり、三嶽登山道から外れて黒岡川の源流に下りていく。早速、薄紫の花をつけたクリンソウの出迎えだ。一輪、二輪とその数を増やし、やがて谷を埋め尽くすように群落をつくっている。夫婦橋となずけた手製の橋を渡り奥地に進む。この辺りは3つの谷が合流しており、群生場所はその年によって変わるようである。最奥地には五輪塔が建てられていた。古くは吉野大峰山に対抗する修験道の山で、山中にあった五輪塔をここに集めたようです。
 クリンソウとは花のつき方が仏塔の先端にある九輪に見立てたネーミングだが、今日は3段ぐらいまで開花していて、ちょうど見頃といっていい。ここにはクリンソウを守る会のスタッフが常駐して、訪れるハイカーを案内してくれるからありがたい。発見者のおひとりで、クリンソウに魅せられて芦屋市から通っているというHスタッフ(生体研究家、画家)の説明を聞く。マツカゼソウを除去したらずいぶん増えたそうだ。しかし、いまクリンソウが増えてきているのを喜んでばかりいられない。鹿も食べない毒草(薬草:のどの薬)ゆえ、他の植物が食べられてしまって優位になったのです。鹿の食害がもたらした現象と見ることができるでしょう。なるほど、こういう見方があるんだ。京都美山で発見されているベニバナヤマシャクヤクと同じく、鹿が増殖している証拠である。

三嶽登山道から分かれてクリンソウ群生地へ(左)

群生地入口と案内板
 
ガイド氏の説明を聞く柏原OB会の皆さん

 群落をなすクリンソウ@

群落をなすクリンソウA

クリンソウ拡大

五輪塔(山中から集められたもの)
ここの谷にはクリンソウ以外には、オオカメノキ、イタヤカエデ、ツガ、カラスザンショウ、カナクギノキ、クマシデ、ヤマフジ、シロダモ、ヤブツバキ、エンコウカエデ、ヤブデマリなどがあり、樹木名板がつけられていた。
「三嶽へ」
 OB会の皆さんと昼食を共にしたあと、ひとり三嶽の山頂を目指す。元の道に戻ることなく、群生地を周回して三嶽登山道の大岳寺(みたけじ)跡地へ出られるように道がつけられいる。順路表示があるからその通り進んでいけばよい。大岳寺跡を過ぎると急登が始まり、岩場の道となる。展望も開けだしたが、曇り空で見通しがきかない。かすかに、辿ってきた尾根道と小金ケ嶽を認める。山腹を飾る白い花はマルバアオダモだ。平地よりも1か月ほど遅い。下ってくる3人組とすれ違う。やっぱり追い抜かれていた。

順路にあるアンケート箱とオオカメノキ

岩場から登山路を振り返る(左:火打岩、右:丸山)

小金ケ嶽の遠望
 三嶽は役行者を祀っている石室のある東ピークと、三角点、方位盤、西紀町の無線中継施設のある西ピークがある。南と北の展望が開け、天気が良ければ日本海側の大江山、床尾山、天の橋立まで見えるように方位盤に書いてあるが、海まで見えるかどうか?である。方位盤には「三嶽」と記されているが、国土地理院は「三岳」、案内図は「御嶽」である。ほかに大岳もあり、いろいろ呼ばれていたようなので、麓の会館名は「みたけ」としている。
 
役行者を祀っている石室

東のピークから西のピークを見る
 
三角点、方位盤、無線中継施設のある西ピーク
「黒岡川支流」
 雲行きが怪しくなり、展望もないので早々に下山にかかる。クリンソウ自生地の分岐まで降りてきたが、往路を下るのも能がないので、地形図に破線で示されている黒岡川支流の谷を下り、丸山へ行ってみたくなった。自生地周辺はロープが張られて谷に下りられない。少し戻ってから谷に下りる。渓流を右や左に渡渉し、倒木を乗り越え、藪をかき分けて下っていくのであるが、こちらの谷にも随所にクリンソウが群生している。いずれ管理区域になるであろう。踏みつけないように慎重に歩く。幸い滝などに会うことなく林道に飛び出した。このルートは荒れており、あまりお薦めできない。

渓谷進入口付近

渓谷のクリンソウ

林道合流点
「丸山」
 林道を下る。平行する黒岡川の河原にもクリンソウが見える。カメラマンが熱心に撮影中だ。池が見えてきた。丸山水源地だ。ゲートを開けて人間世界に戻る。すぐわきに丸山コースの登山口があった。少し下ったところに水道施設があり、その下手が旧キャンプ場で、今は広い駐車場となっていた。柏原OB会の方たちはもう帰られたようで、2,3台の車が残っているだけだった。

丸山水源地

丸山コース登山口(右へ)

旧キャンプ場(駐車場)と水道施設
 民家が見えたと思ったら保養所のような洒落た建物である。駐車場があり、ガラス越しに人影が見える。不審に思いながら下って行き、屋根で仕事をしている民家の人に道を尋ねた折に聞いてみたら、蕎麦屋という。こんな山奥に・・・。さらに下っていくと丸山集落である。茅葺屋根の民家に鯉のぼりがあがり、なかなかの絵になる風景である。和服姿の若い女性に出会う。なんでこんなところに?じつはここには古民家を改造した宿泊施設とフランス料理の店があるという。傍らの看板を見たら、「ひわの蔵」と「ろあん松田」とある。先ほど通り過ぎたところが「ろあん松田」という蕎麦屋、ここはフランス料理の「ひわの蔵」ということが分かった。いずれも予約制だという。

びわの蔵

丸山集落
「峠越え」
 さて、スタートのみたけ会館に戻るには、山越えしなければならない。丸山水源地へ戻って三嶽登山道丸山コースからは確実だが、昔の学童が瀬利の畑小学校へ通ったという山越えの道があるはずである。地形図にも破線が峠を越えて瀬利まで伸びている。和服女性の話では、もう廃道となって通れないという。こういわれると、歩いてみたくなるのが人情で、止めるのも聞かずその取付きまで行ってみる。
 はたして、あぜ道のような踏跡が山に分け入っている。標高差200mの峠越えだ。学童が通ったほどの道だから面影はあるはずと踏み込む。すぐに鹿除けのゲートである。閂を外して山に入り込む。もちろん元通りにする。谷筋にそれとわかる踏跡が続いているが倒木が多く、道だか谷だかよくわからない。100mほど登ったところで、少しおかしいことに気付く。こんな急な登りを学童が歩けるはずがない。時間も遅くなってきたので、あきらめて下山の途中、山を巻くように上がっていく道を発見する。登りでは気付かなかったが、上から見るとわかるものだ。気を取り直して、こちらを進む。倒木や横枝がうるさいが、昔は牛馬が通ったであろう道である。峠を越えたところで、下りの道を見失い、谷に迷い込んでは戻りして時間をロス。かろうじて受信できるGPSに助けられて、下りの道を発見する。竹藪だ。里が近い。

丸山取付き

倒木だらけの道(迷走)

切り開きの峠 八百里山城堀切?

八百里城跡案内板

畑小学校(2013.3廃校)  左端みたけ会館
再びゲートを開けて人間世界に戻ってきた。往路の分岐点に到着、ほっと一息。右手に見える八百里山はあきらめて、次の機会に備えて麓の登山口まで行ってみる。稲荷神社横から薄暗い道が奥に続いているのを確認して、みたけ会館に急ぐ。女性に帰着のあいさつをする。駐車場にもうほかの車はなかった。
やまぼうし
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