更新2017.11.22/作成2013.11.6やまぼうし
比叡山(きらら坂〜坂本)
◇日時:2013.10.31(木) 曇り
◇場所:京都市・大津市
◇山名:比叡山 四明岳(838m)、大比叡(848.1m)
◇同行:単独
 思い立って比叡山へ。バスツアーで訪れたことはあっても、山登りは初めてだ。コースはいろいろありそうだが、法然、親鸞、日蓮などの高僧も行き来し、千日回峰行が行われたという京都雲母坂(きららざか)から登り、大津坂本へ横断することにする。比叡山という山名はなく、大比叡(おおびえ)と四明岳(しめいがだけ)の双耳峰である。同様に、延暦寺というお寺もなく、比叡山そのものが延暦寺を表している。
行程:
叡電修学院駅1005…雲母坂口1030…京都トレイル分岐1110…ケーブル比叡駅1215…四明岳1245…大比叡1305…阿弥陀堂(1335〜1350)…根本中堂1400…本坂口1415…ケーブル坂本駅1505…京阪坂本駅1525 歩行13km
全体ルート図 比叡山中心部

修学院からの比叡山(四明岳)
「雲母坂」
 叡電出町柳駅の観光案内所で比叡山ハイキングマップはないかと尋ねたが、ないという。雲母坂登山口の修学院駅で下車したが、ここは無人駅で、案内もなければトイレもない。マイカーや観光バスで行くことはあっても山に歩いて登ろうという人は少ないのだろう。近くのスーパーでトイレを借りて、山と高原地図を頼りに雲母坂を目指す。

白川通りから音羽川の橋を渡り、右岸を上流に向かう。民家の屋根越しに比叡山が見えてきた。どんよりとした曇り空で、見通しがよくない。左岸に渡り、まっすぐ進んで行くと砂防学習ゾーンの堰堤に行き当たる。車止めと「きらら坂登山口」の道標(140m)があり、雲母坂の所以を書いた立札がある。平安の昔から比叡山と都を結ぶ主要路で、勅使が通ったことから「勅使坂」とも呼ばれた。法然、親鸞、日蓮などの高僧も行き来し、千日回峰行が行われた道でもある。信長の命令で後に山中越えが開かれ利用されなくなったという。
修学院駅
修学院駅

音羽川を遡る

雲母坂登山口(左の橋)
 雲母橋を渡るといきなりの急登である。雨が降ったら水路となるようなU字溝の道で、ところどころで側壁が白く光って見えるのは花崗岩に含まれる雲母で、雲母坂(きらら)と呼ばれるようになった所以であろう。左手に続く鉄条網は、宮内庁が管理する修学院離宮なのであろうか。約30分、一汗かいて稜線上に出ると傾斜が緩み、道も広がる。右手の谷から音羽川の瀬音が響く。
右手から瓜生山からの京都一周トレイルの道が合流してきた(380m)。道標が立ち、東山69とある。以降比叡山まで要所に同様の道標が現れ、現在地を示してくれる。傍らに水飲対陣碑がある。後醍醐方の公卿「千種忠顕」戦死の地であることを示している。上から若いグループが下りてきて、雲母坂と赤山禅院に分かれて下りて行った。この地点から少し上、送電線の下から初めて京都市街が展望した。雲母坂唯一の展望地である。宝ヶ池の向うに愛宕山が霞んでいる。

雲母坂

雲母が光る

京都一周トレイル分岐 右:水飲対陣碑

京都一周トレイル道標 東山69
 
宝ヶ池・愛宕山が展望
「ケーブル比叡」
 緩やかではあるが登りが続く。東山73(620m)はヒノキ林の十字路で、千種忠顕碑、ケーブル比叡(旧ルート)、ケーブル比叡(新ルート)に分かれる。千種忠顕碑に立ち寄り、新ルートを登る。東山73-3(680m)で比叡山とケーブル比叡の分岐となるがケーブルの道を行くと、ヒノキ林から抜け出し無線中継アンテナのある広場に飛び出した。比叡ビュースポットの看板があり、眼下に京都タワーや京都御所など市街が展望する。延暦寺へ40分、ガーデンミュージアムへ30分とあり、ケーブル、ロープウェイ駅は近い。
 ケーブル比叡駅に到着。ひと気もなく、廃屋と間違うような老朽化した建物である。運休中かと思ったがケーブルの巻き上げ音が聞こえるから動いているようだ。建物内の千日回峰行写真館を覗く。広場を挟んでロープウェイ乗場があり、比叡山頂(四明岳)へ直行できる。ここはまだ標高685mなので、歩くと150mほど登らなければならない。京都一周トレイルは東山74から北山1に変わる。到着したケーブルから5,6人の観光客が降りて、そのままロープウェイに乗りついでいった。

ヒノキ林の十字路 東山73

比叡ビュースポット

ケーブル比叡駅

比叡ビュースポットからの展望 中央の森は京都御所
「四明岳」
 すでに12時を回ってしまったが、山上の車道を四明岳に向かう。四明岳直下の人工スキー場跡を左手に見る。広場のレストラン、休憩所は廃屋と化し、その前の広場では幼稚園児がにぎやかにお弁当を広げていた。東山73-3で別れた道が合流してきた。
ロープウェイの終点比叡山頂前に到着。この辺りが四明岳(838m)のはずだが、無線中継アンテナと「ガーデンミュージアム比叡」の入口があるだけであった。受付で尋ねると、園内に最高点があるらしいが三角点のようなものはないとのこと。園内からは琵琶湖が展望するようである。それにしても入場料¥1000は高すぎる。代わりに、大比叡への道順を書いたメモをもらう。四明岳はレジャー施設になってしまった。

人工スキー場跡

ロープウェイ比叡山駅

四明岳はガーデンミュージアム比叡

四明岳(駐車場からの展望)
「大比叡(おおびえ)」
 比叡山頂バス停・駐車場の向うにこんもりとした森があり、車道が登っている。車道はNTT中継アンテナで行き止まりだが、メモどおり途中から近道を登るとテレビ局中継地があり、その横に、大比叡一等三角点点名比叡山(848.1m)があった。立ち木に囲まれた高台で展望はない。四明岳は京都市だが大比叡をはじめ比叡山延暦寺は大津市である。3人の先行者があった。
*「大比叡」のよみは”おおびえ”です。比叡山延暦寺には大比叡848mと横高山767mの2つの峰があり、歴史的にはそれぞれ”おひえ”と”こひえ”と呼んでいたそうで近年では”おおびえ”と呼ぶことが多くなったとのことです(比叡山延暦寺総務部)。三角点名は比叡山です。
 
大比叡(駐車場から)

テレビ中継局と三角点の森

一等三角点比叡山
「根本中堂」
 NTT中継アンテナ横を東に向かう山道に入る。少し下ると分岐がありそのまま直進すると智證大師廟を経てドライブウェイに下りてしまう。左折してジグザグに下っていくと法華総持院東塔と阿弥陀堂の間に出てきた。大比叡を仰ぐ阿弥陀堂前(720m)で遅い昼食を摂る。観光客とともに、大講堂から根本中堂へ下る。折角の機会なので靴を脱いで比叡山の総本堂にお参りする。本尊は伝教大師最澄自作の薬師如来、1200年ともり続けるという不滅の法灯を拝し、病気治癒のお守りをいただく。

大比叡のNTT中継アンテナ

法華総持院東塔と阿弥陀堂 背景は大比叡

根本中堂に参拝 病気治癒を祈願

根本中堂
「本坂」
 さて、社務所で坂本への下山口を尋ねたところ、こちらを見向きもせずに地図を持たんのか、あっちだにはムカッと来た。もちろん地図は持参しているが、境内まで詳しく書いてないし、路上の案内図には山道などない。ムカッと来た自分の修業が足らないのか不愉快な思いであった。雑踏の根本中堂前から延暦寺会館前を過ぎると急下りとなり、そこに本坂(至坂本)への看板が出ていた。あとは一本道である。本坂は舗装道路から地道に変わる(600m)。参道の面影を残す広い道を下っていく。玉垣の残る山道は途中杉木立の間からわずかに琵琶湖を望むところがあるが、展望もなく暗い。送電線鉄塔山城北線#61(330m)からやがて比叡山の里坊のひとつ、南善坊まで下りてきた(220m)。ここから車道となり、ケーブル坂本駅の高架を潜り、比叡山高校前(160m)に降りる。こちらが表参道だ。根本中堂から約1時間の道のりであった。

坂本へ

本坂口
 
荒れた参道

参道から琵琶湖が覗く
 
送電線鉄塔山城北線#61
 
南善坊脇に下山
「坂本」
 坂本は日吉大社の門前町として繁栄してきた。地図を見ると大社の周りに多数の寺院があるが、これらは比叡山の隠居した僧侶が住む里坊とのこと。穴太積み(あのうづみ)と呼ばれる石垣が寺院や街路を形成して美しい。日吉大社に立ち寄り、参道を下って京阪坂本駅に向かう。比叡山中学の生徒が参道の掃除をしていた。駅舎も趣のあるものだった。

比叡山高校

日吉大社参道

京阪日吉駅
やまぼうし
関連ページ:新春の比叡山(2018.1.15)

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