up 2014.1.15HRY
京都 新春の大文字山・如意ヶ岳(山科〜蹴上)
山科〜如意ヶ岳〜大文字山〜哲学の道〜南禅寺〜蹴上
日時:2014.1.12(日) 天気 晴
行先:京都 如意ヶ岳(472m)、大文字山(465.4m)
    1/25000地形図 京都東北部
参加者:山歩会20名
ルートタイム:
山科駅9:30・・・毘沙門堂(9:50〜10:00)・・・林道入口10:15・・・京都トレイル44-2 11:20・・・如意ヶ岳12:08・・・大文字山(12:35〜昼食〜13:00)・・・火床13:25・・・霊鑑寺14:10・・・大豊神社(14:25〜14:40)・・・南禅寺15:00・・・インクライン15:15・・・蹴上駅15:20   (歩行約13km)
ROUTE MAP
「山科」
 快晴無風。朝は冷え込んだものの絶好のハイキング日和だ。JR山科駅に集合したのは20名、山歩会では今までで最も参加者が多い。日曜日で、昼特切符利用者が多く、大阪から¥530である。JRの高架を潜り、毘沙門堂へ続く一本道を歩く。途中の安朱橋で琵琶湖疏水を渡る。20分ほどで毘沙門堂*に到着。毘沙門天を祀る本堂にお参りし、道中の安全を祈る。ふと見上げると屋根越しにタマミズキの赤い実が鮮やかだ。H氏の音頭で軽く準備運動をして山道に入る。

毘沙門堂

本堂に参拝
*毘沙門堂:703年創建、平安遷都以前から続く数少ない京都市内の門跡寺院、毘沙門天(秘仏)を祀る。高い寺格と鄙びた山寺の風情を持つ。四季折々の花、秋の紅葉が有名。
「如意ヶ岳」
 最初の分岐点、後山階陵*にかかる。道標の大文字山方面は、台風18号の影響で通行止めの貼り紙がある。やむなく南禅寺方面へ直進する。回り道だが、いずれ京都トレールに合流するはずである。少し歩いたところで作業中の男性に道を尋ねると、地図にはない林道から堰堤を越える道を教えてくれた。間もなく右手に車止めゲートがあり、その先に林道が続いている。ゲート横から入り込み、登っていくとやがて教えてもらった通り堰堤に行き当たった。安祥寺山国有林防火貯水池の案内板があり、林道のルートが書かれているが大文字山へのルートはない。しかし、堰堤を乗り越えていく踏跡道を発見、手製の小さな板切れに大文字山へと書かれている。沢筋を登る。黒っぽい岩は丹波層群の岩石であるとJさんの解説である。やがて尾根筋に到着一息入れる。どうやら地図上の破線に合流したようである。尾根を急登すると京都トレイル東山44-2に合流した。
*後山階陵:左大臣藤原冬嗣の娘、文徳天皇の母順子(809〜871)の陵、女御から皇太后にまで昇った初例、伊勢物語に出る。仏教に帰依、安祥寺建立。この一帯は製鉄(たたら)遺跡(6,7世紀)多く、如意ヶ岳南麓遺跡群といわれる。

林道を歩く

堰堤で(安祥寺山国有林防火貯水池)

沢筋を登る

ロープを掴んで尾根を急登、やがて京都トレイルへ 

京都トレイル東山44-2 

如意ヶ岳直下の雨社
 如意ヶ岳方向に向かう踏跡道があったのでここを右折する。あまり歩かれた様子がない道であったが、実はもっと先に明確な道があったのである。日陰に雪が残る植林の中を歩くこと40分、途中工事中の林道を跨ぎ、雨社*を左手に見て登る。行き当たったところはフェンスに囲まれた航空無線施設(大津VOR)であった。この場所が東山連峰最高峰の如意ヶ岳*472mで、朽ちたプレートが転がっていた。立入禁止で、右回りに踏跡道が続いている。地図で見ると、車道に出て大津へ抜けるようである。

如意ヶ岳472mは航空無線施設(大津VOR)
*雨社(雨社大神):創祀は不明、如意寺の鎮守として龍王宮とも謂う。現存する祠の場所に大きな池があった由、三方を山に囲まれ自然に埋没したものか。1300年頃、後二条天皇の勅により祈雨祈祷が行われた記録あり。
*如意ヶ岳:標高472m、比叡山を除いて東山の最高峰、京都市内からは見えない。頂上には大阪航空局の構築物があり、頂上には立てない。京都市と大津市の市境、県境、鹿ヶ谷→雨社→池谷地蔵→園城寺の道は「如意越」と呼ばれ京〜近江間の近道、以仁王が平氏に謀反がばれて脱出した道。
「大文字山・火床」
 予定時間を大幅に過ぎてしまったので、急ぎ折り返して大文字山に向かう。ハイカーの行き来する京都トレールに合流すると間もなく、三等三角点のある大文字山*465.4mに到着、京都市街を眼下に見ながら昼食とする。醍醐、山科盆地、東山連峰、岩清水八幡宮、西山連峰が展望する。吹きつける風が冷たく、早々に出立する。霜解けの道を下っていくと前方がぱっと開け、大文字火床のトップに出てきた。「大」の字の一番上のポイントである。今度は京都市街地の北部、嵐山、愛宕山、北山、比叡山が展望する。少し下ったところが大の字中心部の火床「金尾(かなわ)」で、前に弘法大師堂があり、この灯明から点火するという。火床は全部で75基、一画80m(19床)、二画160m(29床)、三画120m(27床)であるが、この場所からは大の字がどうなっているかわからない。火床を囲んで記念撮影をして、三画に沿って鹿ケ谷の霊鑑寺へ下山する。二画に沿って銀閣寺へ下りる予定であったが、行程遅れのため近道のルートに変更する。

大文字山三角点465.4m

大文字山山頂から京都市街を望む

登山道の霜柱
 
火床を囲んで記念撮影

 火床トップからの景観
 
大の字の三画を下る

火床下からの眺め 
*大文字山と火床:俗に如意ヶ岳とも言われるが、本当の如意ヶ岳の西方1.3kmにある支峰で標高465.4m、三等三角点あり、8月16日の五山の送り火の筆頭、園城寺の末寺「如意寺」の大伽藍遺構あり、如意ヶ岳城址もある。
「哲学の道」
 あまり歩く人がいないのか荒れて、ロープもある厳しい山道で、約40分を要して霊鑑寺上の円重寺の小路に下りてきた。塀に沿って下りると哲学の道である。沿道にはナンテン植栽の家々が大変多く、赤い実もたわわについていてきれいである。山科毘沙門堂を出てから4時間余りトイレを我慢してきたが、もう限界。観光トイレのある大豊神社に立ち寄り休憩する。サービスのお神酒をいただきやっと落ち着く。神社は草花を楽しめるように沢山植栽されている。ロウバイがほころびはじめ、見上げる裏山には真っ赤に色づいたタマミズキがひときわ目立っている。毘沙門堂といい、京都東山には多いようだ。

霊鑑寺への下り、ロープを頼りに

 下山したところ、電柱に手製の標識あり

霊鑑寺横を下る

哲学の道を歩く 

大豊神社

お神酒をいただく
「南禅寺・インクライン」
 若王子神社を経て永観堂前から観光客の多い南禅寺境内に入り、水路閣から疏水を遡ってインクラインへ。ここで解散。GPSは歩行13kmを示すが半数以上のメンバーが四条河原町まで歩くという。元気組を見送り地下鉄蹴上駅に向かう。
 
南禅寺三門

南禅寺水路閣

疏水に沿ってインクラインへ

インクラインで本日のハイキングは終了
本日は思わぬ通行止めで、ミステリアスなコースを歩いたり、たくさんの赤い実に出会ったり、お神酒に預かったり、新春の京都ならではのハイキングとなりました(了)。


◇◇◇自然観察◇◇◇
Mさんの観察メモから。
<赤い実
・アオキ ・アリドオシ ・カキ ・カナメモチ ・カマツカ? ・クロガネモチ ・ザクロ  ・サネカズラ  ・センリョウ  ・ソヨゴ  ・タマミズキ  ・タラヨウ 
・ツルウメモドキ ・トベラ ・ナナカマド ・ナナミノキ ・ナンテン ・ヒヨドリジョウゴ ・ピラカンサ  ・フユイチゴ  ・マユミ  ・マンリョウ  ・ヤブコウジ   
<その他の花や実
・ヤツデ゙(花) ・ヒサカキ(花・実) ・ムラサキシキブ(実) ・トウネズミモチ(実) ・ナギ(実) ・ロウバイ(つぼみ)
・フジ(実) ・キブシ(つぼみ) ・アセビ(つぼみ) ・サザンカ(花)  ・ツバキ(花) ・サカキ
・ヒイラギ ・コシアブラ&タカノツメ(落葉) ・スギ゙&ヒノキ(実) ・ミヤマシキミ ・イズセンリョウ ・どんぐり:アベマキ・アラカシ・イチイガシ・コナラ・シバグリ
アカガシ・スダジイ(ツブラジイ?) ・シロダモ ・イヌツゲ ・ミツマタ(つぼみ) ・テイカカズラ ・ハリエンジュ、イチゴの仲間

タマミズキ(毘沙門堂・大豊神社)

ナギ(大豊神社)

ミツマタ(哲学の道)

ロウバイ(大豊神社)
文・資料/三橋・村瀬・平山、写真/平山・日笠・笠間
企画:三橋

武庫ネイチャークラブ

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