UP 2015.11.16HRY
環境科 2015年11月野外活動
姫路 大塩ノジギクの里を歩く
■日時:2015.11.13(金) 10時〜14時 天気 曇一時雨
■集合:10:00山陽電車 大塩駅
■行先:姫路市大塩 日笠山ノジギク観賞
■案内:山本博昭さん(日笠山のじぎく園代表)
■参加者:環境科23名

≪兵庫県の花ノジギク≫
赤穂より前から塩づくりが行われてきた姫路市大塩町は、戦前に牧野富太郎博士が「日本一のノジギクの群落地」と称えた土地。街の北東部を走る日笠山連山には、地元の人たちの手で自生種のノジギクのお花畑が復活、播磨灘を見下ろす斜面を白い花が包んでいる。のじぎくのお世話をしているボランティアの案内で、歴史ある大塩の街とのじぎくの咲く日笠山を歩きました。

案内図

「大塩の街」
 大塩天満宮跡地に23名が集合し、のじぎくのお世話をしているボランティア山本さんの挨拶を受ける。昭和46年まで塩づくりが行われていた大塩の歴史ある家並みや、塩の商いで財を成した塩田主の山本家(初期)、梶原家(嘉永年間以降)の旧屋敷をめぐりました。 塩田廃止後、街は新しく区画整理されましたが、旧家は都市景観重要建築物等登録有形文化財としてそのまま保存され、今に大塩の歴史を伝えています。敷地を囲む黒塀の間を縫うように歩き、日笠山に続く道に出ます。車がやっと1台通れる幅の道は”大道”と呼ばれ、かつての本通りでした。

大塩駅前天満宮跡地で、ガイドの山本さんご挨拶

塩で財を成した旧屋敷街を歩く ”はんばた”通り

梶原家(都市景観重要建築物等登録有形文化財)

敷地を囲む黒塀

梶原本家の邸宅
 日笠山登り口にある菅原道真ゆかりの岩神社(日笠天満宮)に立ち寄る。天満宮のお祭りには、予定額以上の寄付が集まること、都会へ出て行った若い人たちも里帰りしてお祭りを盛り上げることなど面白おかしくお話いただきました。寿命が3年は伸びるといわれる延命地蔵を参拝し、道傍に現れ始めたのじぎくを観ながら、やがて山本さんら10数名が管理しているノジギク園に到着しました。散策路には行灯が置かれ俳句や短歌が書かれています。14日の夜にはろうそくの火が灯され、行灯祭りが行われるとのこと、風情があることでしょう。

菅原道真ゆかりの岩神社にて

延命地蔵 黒色の坐像

行灯には俳句が
「日笠山のじぎく園」
 眼下に塩田跡や播磨灘を見下ろす段々畑のノジギク園には自生種や地元の小学生によって植えられたのじぎくが見頃を迎えていました。しかし、今年は台風や猛暑で不作だったとのことでした。のじぎくの育成には乾燥した土地であること、適度の潮風があることが必要なのだそうです。のじぎく園の掲示板には、我々の訪問のこと、その他小学校や老人会の訪問予定や記念写真が掲示されていました。本日はNHK番組「牧野富太郎の足跡」の取材が行われていました。焼き芋、コーヒーの接待を受け、全員舌鼓を打ちました。

のじぎく園から塩田跡地の展望

焼き芋とコーヒーの接待

学校や老人会の訪問予定、本日はNHKの取材がありました

日笠山のじぎく園で 後列右端山本さん

日笠山のじぎく園を歩く。斜面は自生種、平地は植栽種

のじぎくの保全についてお話を聞く

自生種ののじぎく(マウスで拡大)

コウテイダリア

コウテイヒマワリ
園内を散策し、日笠山へ登る。頂上で早いお昼としました。午後、山本さんから、かつてはのじぎくで雪のように白かった日笠山や皇太子殿下(現天皇)のご訪問の写真、菊のご紋章と同じ(花弁16枚)のじぎくを探したこと等のエピソードを伺う。大塩には80種類のノジギクがあり、原種の花びらは細長く14枚、最近花弁のないボウズノジギクの発見もあった。怪しい空模様でしたがとうとう雨がぽつりぽつり。遊歩道からハイキングコースに変わった山道を傘をさして夫婦岩へ歩きます。

大塩には80種のノジギクがある
「夫婦岩」
 日笠山より標高の高い夫婦岩からは、六甲山や明石大橋、加古川の工業地帯、遠く播磨灘に浮かぶ家島群島、小豆島まで望むことができますが今日はくもり空にかすんでいます。眼下の塩田跡にはメガソーラーが並んでいます。何もない荒地に太陽光パネルだけが空を仰いで並ぶ姿はどこか違和感を覚えます。しかし、塩も電気分解法が発明されて、大塩8万坪の塩田から産出する塩は僅か50坪で生産できるようになったわけですから、これも時代の流れです。

夫婦岩から播磨灘の展望

夫婦岩

8万坪の塩田からの塩も今はたった50坪で生産できる
「馬坂峠」
 馬坂峠へ、山道が険しくなります。幸い、雨も上がってきました。数年前に台風で倒れた古木(アベマキ)が、1年半後自分で起き上がり息づいている「起上がり古木」を見ました。病に倒れた人には御利益があるかも知れません。馬坂峠へ下りてきました。ここは大塩でできた塩を、馬車で山陽線の曽根駅へ運んだ道です。山越えの過酷な労働に馬が倒れることもあったとのこと、近くに馬塚がありました。峠の播磨灘を望む広場には小学生の手で植えられたのじぎくが咲いています。日笠山南斜面は竹藪や林を伐採すれば今でもノジギクが芽生えてくるそうです。根が残っているんですね。

起上がり古木

馬坂峠で

馬坂峠ののじぎく
 峠を下ると、のじぎくの里公園があります。人っ子ひとりいない寂しい公園に輪をかけるようにのじぎくが無残です。天候不順の影響を最も受けたところで、開花は例年の1/3だそうです。一際きれいに咲いている花は、日笠山から移植したものだそうです。来年は株すべてを掘り起し、植え替えなければならないとのこと。森林もそうですが、人手を加えなければ荒廃してしまいます。山本さんたちの苦労が続きます。

不作著しい「のじぎくの里公園」のノジギク 例年の1/3の開花(右側)

自生種は花弁が外側に反っています

ノジギク

キバナノジギク
「終わりに」
 夕方から雨の予報に、予定のフルコースをあきらめて、ショートカットコースとしました。塩田の町として栄華を誇った大塩の歴史に触れるとともに、のじぎく再生に取り組む町の姿を見ることができました。案内の山本さんのおもしろおかしい話などにも接し、参加の皆さんのご協力を得て無事楽しいハイキングをすることが出来ました。最後にあらためてガイドをして頂いた山本さんはじめお世話になったお仲間の皆様にお礼申し上げます。いつの日か山一杯に咲くのじぎくを見たいものです。

野路菊の香り漂う峠道       良徳

文/平山、写真/大野・平山、俳句/加藤、編集/平山
企画:3班平山・加藤

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