UP 2017.4.2やまぼうし
丹波 愛宕山ミツマタの群落を歩く
(武庫川源流)
母子〜愛宕山〜ミツマタ群落〜龍蔵寺〜南矢代
◇日時:2017.4.1(土) 曇→晴
◇行先:篠山市 愛宕山(648m)
     2.5万地形図 篠山
◇同行者:武庫川エコハイク48名
武庫川源流の愛宕山には一目10万本といわれるミツマタの大群落があります。母子から近畿自然歩道で愛宕山へ登り、龍蔵寺への下山途中にあるミツマタを鑑賞する。
行程:
三田駅9:46…(神姫バス)…母子バス停(10:31〜10:40)→稲荷神社(11:13〜11:19)→愛宕山・龍蔵寺分岐11:30→愛宕山(11:55〜昼〜12:27)→愛宕山・龍蔵寺分岐12:45→ミツマタ群落(12:55〜13:05)→龍蔵寺(13:30〜14:00)→(京街道)→武庫川起点15:20→JR南矢代駅15:30
地図はこちら 歩行11km
「母子」
 三田駅に集合したのはスタッフ含めて48人。母子行のバスに乗り切れないことを想定して増発をお願いしてあったので全員がゆったり座ることができた。想定より少なかったのはぐずつき気味の天候のためか、はたまた選抜高校野球の決勝戦のためか。乗車45分(¥800)で三田のチベットといわれる母子に到着する。
 母子と書いて”もうし”と読む。この珍しい地名は、約千三百年前、舒明天皇の寵臣がこの地を訪れた時、野原一面に「ははこ草」(春の七草の”ごぎょう”)が咲いていたことによるという。母子は母子茶の産地として知られている。約六百年前、近くの永澤寺(ようたくじ)の僧が中国から伝えたお茶が”母子茶”の始まり といわれている。標高500mの高原は昼夜の寒暖差が大きく、お茶の栽培に適している。
また母子は摂丹国境に位置し、バス停から北へ美濃坂峠を越えれば丹波篠山である。龍蔵寺〜愛宕山〜母子〜篠山城南へと続く近畿自然歩道(丹波朝霧の道)が通る。
 さて、スタートの挨拶をして、近畿自然歩道を愛宕山に向けて歩きはじめる。山裾に古民家が点在、茶畑が続く。人っ子一人いない。製茶工場の茶香坊「きらめき」はまだ眠ったままである。

母子バス停

母子の古民家

自然歩道沿いの愛宕山と金比羅さんの石灯篭

母子から愛宕山(右)を望む

茶畑の道を行く
母子バス停から約30分、集落のはずれに稲荷神社がある。オーバーハングした巨岩の真下に二つの社が祀られている。その起源は定かでないが、古代の祭祠跡の磐座であったと思われると案内板にある。天狗岩ともいわれている。

稲荷神社参道

巨岩の下に二つの社が並ぶ
「愛宕山」
 近畿自然歩道が林道から山道にかわる間もなく、愛宕山・龍蔵寺分岐がある。小休止して本隊は愛宕山へ向かうが、スタッフ数人はミツマタ散策路の整備に龍蔵寺方面に下る。事前情報で、今冬の大雪でミツマタが通路に倒れこみ、通行困難な状態であると聞いたためである。愛宕山頂まで標高差130mだが、落ち葉に濡れた道は滑りやすい。頂上直下は立木に掴まりながらの急登である。山頂は細長く狭いが、北の切り開きから正面に三嶽を主峰とする多紀連山が、眼下に篠山の街が展望する。雨上がりで空気が澄みわたり、千ヶ峰等白雪を頂いた東播磨の山々までよく見える。風が冷たい。寒さに震えながら昼食を摂る。

愛宕山山頂648m

愛宕山から篠山盆地、多紀連山の展望
「ミツマタ群落」
 元の分岐に戻り、龍蔵寺方面に向かう。ふかふかの杉林の道を下っていくと林間に真っ白な花畑が広がって見えた。ミツマタの群落だ。辺りに花の香りが広がる。高さ2、3mあるミツマタのトンネルに入る。先行したスタッフのおかげで散策路は通行できるようになったが倒れかかったミツマタの枝の下を中腰で歩く。昨夜の雨で足元が悪くずるずるである。全員が通り抜けるのに10分ぐらいかかっただろうか。降り立った林道終点の広場から見上げる群落は黄金色に輝き圧巻である。開花が遅れたようでまだ白色のものもある。ただ、倒木が目立ち、まだら模様であるのは仕方ない。

上段から見るミツマタ群

ミツマタのトンネルに入る

中腰でトンネルを抜ける

ミツマタ群落(林道終点広場から、まだ7分咲き)

林道終点広場で

林間のミツマタ

林道を下る
「龍蔵寺」
 しばらくミツマタ群落を鑑賞し、つづら折れの林道を下る。路傍に佇むミツマタや谷筋に広がるミツマタも風情がある。高度を下げていくと黄色が増すのは満開に近いのだろう。龍蔵寺山門まで下りてきた。トイレ休憩のためお寺の境内に入る。予め知らせてあったためか、住職が本堂を開放して待ち受けてくれていた。住職からお寺の由緒や愛宕山の自然についてお話をお聞きする。境内の草木はまだ眠りから覚めたばかりだがトサミズキは芽を膨らませていた。

龍蔵寺山門

ご詠歌で龍蔵寺の由緒を説明する住職

ご詠歌 「雲深く龍も蔵れて護るらん利生も高き法の御山を」

龍蔵寺の由緒はこちら(龍蔵寺提供)

「京街道」
 龍蔵寺を後に参道を下り、デカンショ街道(R372)に沿った旧京街道を古市方面に歩く。隊列から離れてツクシとりに夢中の人もいる。篠山城の石垣に使われたという石が残る栗栖野残石公園で京街道と分かれる。遠くに南矢代駅の陸橋が見えてきた。真南条川と田松川が交わるところが武庫川起点である。2級河川武庫川の標石が立っている。河口まで65kmであるが、真南条川、龍蔵寺川を合わせた最大長は70km以上だろう。南矢代駅で解散する。

京街道を歩く

栗栖野残石公園

武庫川起点(左:真南条川、右:田松川)
今年(2017年)のミツマタは開花が遅く、群生地では白が目立っていた。今冬の大雪で倒れた幹もあり全体的に荒れた印象を受けた。夏には樹勢を回復し、来年は再び見事な姿を見せてくれるだろう。大阪・京都の桜の開花は昨年より1週間遅れであった。(了)
                    ミツマタ
   ジンチョウゲ科ミツマタ属 落葉低木・中国原産(室町時代に渡来)
夏頃枝の端が3つに分岐する。枝先に小さな花が30〜50個つく。両性花で、花弁はなく、長さ8〜15mm萼筒があり先が4裂する。開花時に萼筒の内面は鮮黄色、外面には淡黄色の絹毛が密生、観賞用または和紙(紙幣)の原料となる。

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