2020.12.15改定/2020.12.2 やまぼうし
摂丹国境 海見山・柏野山に登る
■日時:2020.11.8(日) 曇り(雨上がり)
■山名:海見山519m、古森山550m、柏野山573m
■場所:篠山市 2.5万篠山・藍本
■同行:武庫川エコハイクスタッフ6名
2009年以来4回目の海見山・柏野山である。本文は武庫川エコハイクで摂丹国境の山歩きとして提案したコースの下見記録である。

ルートタイム

JR草野駅9:35/9:48→古森10:08→舞鶴若狭道10:17→(林道)→登山口10:34→地蔵峠11:20/11:24→水路11:45/11:54→ピーク(12:05昼12:50)→古森山13:20/13:25→柏野山13:33/13:39→うら山池14:11/14:23→水路14:41/14:44→地蔵峠14:52→海見山15:08/15:20→尾根分岐15:35→(激下り)→露岩帯15:56→(シダ林)→ザレ場16:14/16:18→(シダ林)→鉄塔16:40→新池16:50→道標16:58→摂丹国境碑17:09→細田橋17:12→丹南武庫川橋下17:17→JR草野駅17:27

歩行11km、Route Mapはここ


草野駅前からの海見山(奥)

「草野駅から古森へ」
 無人の草野駅には数十人のハイカーが集まっていた。大阪の山岳会のようで虚空蔵山北尾根を歩くという。駅前広場には星のモニュメントがあり、夜空に星がよく見える「星の駅」を標榜している。正面に見える海見山は昨夜の雨上がりで山頂は薄い雲におおわれている。スタートに先だって駅前通りの伊能忠敬測量碑に寄ってみた。文化11年(1814年)2月8日、測量隊は村人の協力を得て、大坂街道古市から日出坂峠を越えて藍本まで測量し、途中草野で昼食を摂ったと記されている。碑は意外に小さく、うっかりすると見過ごしてしまう。武庫川右岸を北上する。草野というだけあって河原は草深く流れが見えない。桜回廊の紅葉は終わり、もう褐色になっている。正面に油井城跡、西油井城跡を、その向こうに松尾山(687m)、白髪岳(722m)が見える。振り返ればシルエットの虚空蔵山(596m)が、西に目立つのは西洞ケ山(471m)である。

伊能忠敬測量碑(駅前通り)

武庫川右岸を北上する(遠方に白髪岳、松尾山)

武庫川さくら回廊(背景は虚空蔵山)

R176神橋から地蔵峠を望む(手前は丹波旬の市会場)

舞鶴若狭道高架を潜る
 国道176号線古森(こうもり)の神橋(しんばし)からは、これから向かう地蔵峠を挟んで海見山と古森山・柏野山の山塊が見える。丹波旬の市は開店準備中である。古森バス停前から山に向かう道に入る。舞鶴若狭道の高架を潜り横尾林道に入る。車が通れる幅の地道が山奥へ伸びている。黄葉したタカノツメ、コシアブラに晩秋を感ずる。左に山神の祠をみてまもなく、登山道が右折する。手製の海見山・柏野山の案内板がぶら下がっているのですぐわかる。

篠山市横尾林道へ進む

山神の祠

海見山・柏野山登山口(280m)
「地蔵峠」
 古森川の渓谷に沿って登っていく。小岩がごろごろして歩きにくい。道をふさぐ倒木や横枝を伐採しながらの登山なので結構時間がかかる。岩場が多くなったジグザグ道を急登すると地蔵峠(430m)である。十字路には十数年前と変わらず数本の丸太の橋がかかっている。直進はうら山池に通ずる水路道で、右折は海見山、左折は古森山・柏野山方面である。今日は先に柏野山に向かう。左手斜面の岩に三体の仏像が彫ってある。それゆえ地蔵峠というのだろう。緩急を繰り返し登ると、標高490mで水路道と交差する。うら山池から伸びている2本目の水路で、今は流れはない。帰りは水路道を通ってここに戻ってくる予定なので道をふさいでいる倒木を伐採処理する。

地蔵峠手前の急登

丸太橋の架かる地蔵峠(430m)

三体仏

古森山・柏野山への登り

水路道(倒木伐採処理)
「古森山・柏野山」
 倒木を処理した後再び登っていくと530mのピークに達する。石柱には「森直」の文字がある。ここは迷いのポイントで、過去に失敗している。そのまま直進するとうら山池へ下ってしまう。柏野山方向は90度以上に左折だが、枯れ枝で通せんぼしてある。危険なので一般ハイカーが入り込まないようにしているのだろう。古森山を経て柏野山へ行くにはこちらへ進まねばならず、枯れ枝をかたずけて道を拓ける。先が思いやられる。倒木の処理などかなりの時間を要したのでここでお昼とする。予定していたうら山池まではまだ1時間はかかる。

迷いの530P(森直の石柱)

古森山登山路の倒木処理
 午後は、古森山・柏野山へ回る組、池へ直行する組に分けて、池で落ち合うことにする。池へは10分ほどの下りで到着できるはずである。果たして、古森山・柏野山への道は倒木などでかなり荒れていた。道がわからないほどではないので、道をふさぐ倒木や横枝の処理を繰り返しながら進んだ。古森山550mに到着。古寺があったといわれているが小広場にその形跡はない。だだっ広く緩やかな道を10分も登ると柏野山573mである。リョウブの木の根元に境界杭と石柱がある。三角点ではなさそうだ。

古森山550m

古森山から柏野山への広い道

柏野山573m
 うら山池へは踏跡も定かでなく、林の中、テープに導かれて歩くことになる。しっかりルートファインディングしないと、古市や藍本高原住宅方面に下る踏跡道もあるから注意が必要だ。尾根を外さないようにと思っても、下りは難しい。こういう場合はGPSの出番である。地図上であらかじめセットしてあったルートに進むのである。途中の分岐も注意だ。迷うこともなく約30分でうら山池に到着する。池に直行した仲間が心配して迎えに来てくれた。
「うら山池」
 うら山池は標高495mにあり、この辺りでは最も高い位置にあるため池である。ここの水を丹波の古森まで引き込むのである。そのまま流すと大谷川を経て、摂津の藍本へ行ってしまう。古市の村の資料によると、「古森村は武庫川が流れるものの、田畑は水面よりも高く、武庫川の水を利用することが出来なかった。村人達は村の東にそびえる山の東側に大きな溜池を構築し、等高線に沿って延々と村の中に水を引き込んだ。今も春先の農作業の前に、村人達が水を確保するために水路の点検補修を続けている」という。静かな池面に黄葉を映して美しい。

うら山池(標高495m)
 堰堤から切り開きに六甲最高峰を見ることができるが、今日は霞んでしまっている。池の端が切り開かれ水路につながっているが、流れ出た水はすぐに伏流となって消えている。堰堤を跨いでホースがあるが、どこへ導水しているのだろうか。そんなことを考えながら、490mの等高線につけられた水路の道を歩く。途中に崩落の跡や倒木があったが通行は可能で、往路の分岐点に戻ってきた。正面に海見山のシルエットを見ながら地蔵峠に下る。

うら山池から六甲山の展望(霞んで見えない)

うら山池から水路道へ降りる

水路道(流れはない)

地蔵峠に戻ってきた
「海見山」
 海見山への登りになる。道は明瞭で迷うことはない。15分ほどで海見山山頂である。小広場の倒木の脇に三等三角点南山518.8mがある。樹木に囲まれて展望はないが、樹間にわずかに松尾山と白髪岳が覗く。昔は明石の海が見えたというが、樹木が低かったのであろう。

海見山頂上 三角点南山(518.8m)

松の木の間に白髪岳と松尾山(右)
「縦走」
 これから尾根を南に縦走するが、15:00を回り時間が遅い。下山には2時間はかかるであろう。下手すると日没である。休憩もそこそこに尾根筋を歩く。あまり歩く人はいないのか林の中、踏跡も定かでない。緩い下りなので尾根を外さないよう細心の注意を払う。ところどころの残置テープでコースを確認する。約20分で尾根の分かれ道(470m)に到達する。過去の苦い思い出がよみがえる。尾根筋を間違えて下ってしまい、縦走を断念したのである。経験者がいないとこのポイントはわからない。激下りが始まる。立木が頼りである。見覚えのある分岐まで降りてくると傾斜が緩み、あとは一本道である。露岩を過ぎるとシダ林に突入する。深いところは胸元までの高さがある。足もとが見えないので慎重に歩を進める。ザレ場に出てホッとするもまたシダ林である。3回ほどシダの林を越えてようやく尾根最南端の関電鉄塔#40(232m)に到着する。

迷いの分岐(境界杭の左へ進む)

露岩帯

シダ林を歩く

関電鉄塔#40
 巡視路用の鉄橋を渡り新池に飛び出しホッとする。藍本高原住宅への車道を下り、武庫川沿いの道に出る。途中ぐちきき地蔵に立ち寄る。あせらず、くさらず、あきらめず・・・・の碑文があるが暗くて読めない。もう17時に近い。草野へ向かう道の角に古い石の道標がある。左古市、右やまと読める。摂丹国境碑を右に見て、細田橋から国道176号線を急ぐ。封人の松(摂丹国境の松)を見る余裕はなかった。

鉄の橋を渡って池へ

改修された新池(元は大谷池といった)

ぐちきき地蔵

道標(左 古市、右 やま)

摂丹国境碑
 予定より大幅に遅れて、17:25草野駅に戻ってきた。駅舎にはすでに明かりがともっていた。本番は、縦走するのは時間的に無理と判断し、スタート時間を早めて、かつ海見山を折り返すこととした。

日暮れの舞鶴若狭道 但南武庫川橋

草野駅17:25
2020.12.12本番は、新型コロナウィルス感染拡大のため中止となりました。

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