新緑の雪彦山(せっぴこさん)
2013.8.24改定 やまぼうし
◆山名:雪彦山 915.2m
◆日時:2002.5.3 天気曇
◆同行:ハナミズキ
◆場所:姫路市夢前町、地形図2.5万寺前

林道展望台からの雪彦山洞ヶ岳
雪彦山は英彦山.弥彦山とともに、 日本3彦山として古くから修験者の道場で知られています。通称雪彦山とは岩峰林立する洞ヶ岳を指す。雪彦山三角点はこの山系の無名の915m峰にある。ふるさと兵庫50山に選定されている。
行程
0645自宅発・・・福崎IC→R23・・・シャガの里・・・0815登山口駐車場
0830出雲岩コース→0840不動岩(355m)→0855展望岩(450m)→0858行者堂跡→(0910〜0915)休憩→0930出雲岩(650m)→鎖場→0945セリ岩(690m)→0957馬の背(755m)→(1005〜1030)大天井岳(811m)頂上→1035地蔵岳分岐→天狗岩→1042 838ピーク→1052鹿ヶ壺分岐→(1105〜1123)雪彦山三角点(915m)→1150地蔵岳分岐→くさり場/迂回路→(1205〜1215)地蔵岳下(710m)→(1230〜1250)地蔵岳断念昼飯→くさり/ロープ連続→1300展望岩(640m)→1315虹ケ滝(580m)→(1325〜1335)休憩ベンチ(600m)→雑木、ブナ林→1340大曲分岐→1345林道展望台(518m)→大曲→1355出合(440m)→渓流沿い→1410砂防ダム(340m)→1420駐車場

雪彦山地図 案内図 Route Map

「登山口」
 昨年5月連休の氷ノ山につづいて、北摂から少し遠出して姫路の北、夢前町の雪彦山に登ることにする。天気予報をにらみ5月3日とする。現地9時到着、渋滞を考えて早めの6:45宝塚自宅発。中国道福崎IC下車、R23を西進、夢前町の市街地から夢前川を北上する。蛍の里を過ぎて離合も大変な山間部の1車線道路を坂根部落を目指す。沿道には数キロに渡り野生の白いシャガの花が咲き乱れている。地元がシャガの里として大切に保護しているようだ。

登山口
賀野(かや)神社の入口を過ぎると、雪彦山登山口有料駐車場の看板がある。道路の片側が駐車場となっている。山奥に入った割にここはまだ標高270mである。ここから先は渓流を離れ雪彦林道となる。ドライブ中は全く山の姿が見えなかったが、登山口からは絶壁の頂上付近が林の奥に一寸覗いている。先行車は4台である。山男風の管理人に駐車料金¥500を支払うと、地図が渡されコースの案内をしてくれる。当初は洞が岳→雪彦山三角点→鉾立山周遊コースの積りをしてきたが、2.5万図寺前の鉾立山から大回りする破線の下山道はなく、山男から勧められた地蔵岳の鎖コースをとることにした。軽装では無理で、今朝一番に入山した学生は途中で断念して下りてきたとのこと。体力に加えデイバッグにキャラバンと杖の北摂スタイルが少し心配になる。
「出雲岩コース」
 無人の管理事務所で登山届を記入し、教えられたとおり出雲岩コースの表示のある階段から登る。いきなり急登の林で、むき出した木の根を掴みながら這い登る。足を踏外したら谷底まで転げ落ちそうである。不動岩を過ぎ、展望岩(標高450m)で初めて前方の視界が開け、垂直に切りたった洞ヶ岳がかなたに見える。前途多難を思わせる。傾斜が緩み行者堂跡から植林帯に入る。登山口から40分、ここで一息入れ汗をぬぐう。一組の中年夫婦に追い越される。

浮出た木の根を掴みながら

展望岩で初めて洞ヶ岳が見える
まもなく今にも崩れ落ちそうな大岩を巻き、「姫路第二竜王講」の看板のある沢を横切る。登山口から1時間で出雲岩(標高650m)に到着。オーバーハングした巨岩が覆い被さる。いつかは崩落するに違いないが、気持のいいものではない。社を祀ってある。落書が多い。写真を撮っても、その全容を写しきれないのが残念だ。

出雲岩

セリ岩
これから先は急な岩場の連続になる。鎖がかかっている。杖が邪魔でなかなか思うように這い上がれない。ハナミズキに水をあけられる。セリ岩に立つ。断崖の上から雪彦川の渓谷と瀬戸内方面の山々が展望されるが、下を覗くと足がすくむ。このあたりから高所恐怖症気味になり、足が震えだす。狭い暗い岩の隙間のトンネルを抜けるがザックが引っかかる。太目の人は通り抜けが無理かも知れない。どこかに迂回路があるだろう。ますます険しさを増す岩登りがつづく。
「洞ケ岳」
 馬の背を経て登山口から1時間30分で洞ヶ岳の主峰大天井岳に到着する。雪彦山・標高884mの看板表示と大きな社が祀られている。しかし手元の高度計と大きく違う。地形図を見ても800mの等高線に囲まれているからこの表示は堂々たる誤りである(後日再計測の結果は811.1mとなった由)。雪彦山名の解説がかかれている。すなわち雪彦山とは洞ヶ岳、鉾立山、三辻山の総称で、洞ヶ岳はさらに大天井(おおてんじょう)岳、不行(ゆかずが)岳、三峰岳、地蔵岳から成る。通称雪彦山とは洞ヶ岳を指す。雪彦山三角点はこの山系の無名の915m峰にある。納得。

通称雪彦山 洞ヶ岳(大天井岳)

雪彦山最高峰方面と鉾立山

眼下に坂根集落
中年の夫婦連れが3組休息中。瀬戸内方面の山々と眼下に坂根部落、駐車場も見える。北方には雪彦山三角点の山や鉾立山のなだらかな山容が連なる。下を覗くのが恐ろしい。ここにいるとわからないが、下から見れば絶壁の頂点に立っているのである。津山から来たというご夫婦と写真を取り交す。昼には少し早いので、小休止の後雪彦山三角点を目指す。
「雪彦山三角点」
 地蔵岳への分岐を過ぎ天狗岩から尾根道を登る。もう誰もいない。やがて838ポイントを過ぎて桧の植林地帯に入り山の様子ががらりと変る。足元も柔かく、樹の香りに満ちた北摂の山の雰囲気に、緊張が和らぐ。山頂は林に囲まれ展望はない。鉾立山方向から鹿ケ壺から登って来た中年男性が通りかかり立話する。地元姫路の方で、雪彦山を十分知り尽くしているベテランで、鎖場なくしてこの山の価値なしという。南極越冬隊もここで訓練したとのこと。下りの鎖の使い方を教えて貰う。手袋を外して鎖をしっかり掴み、体を伸ばして岩に沿わせ、足元を覗いたり、へっぴり腰をしないことが肝要。

雪彦山三角点915.2m
「くさり場」
 三角点を撫でてもとの道を地蔵岳分岐まで引き返す。突然険しい岩場の下りになり、くさり道か迂回路の選択を迫られる。くさり場は約10mの絶壁を鎖に身を託してほぼ垂直に下る。その下にもう一つ続いている。みれば私より年配の70歳ぐらいのご老体が鎖に掴り身軽にするすると下りていく。それなら俺だってと思うが、まてよ、この人はベテランの登山家かも知れない。真似して途中で宙ずりになったり、落下したら大変である。自分の体を支えられる腹筋力がなければならない。先ほどの中年の登山者の言うとおりやればいいのだろうが、度胸がない。結局迂回路を選択する。しかしこの迂回路も簡単ではない。まず、歩いては下りられない。鎖やロープが張られており、後ろ向きに四つんばいになり足場を確認しながらそろそろと下る。杖が邪魔になる。こんな場面が何箇所か続く。これなら鎖で一気に絶壁を下ったほうが手っ取り早い。

迂回路のくさりとロープ
「地蔵岳」
 地蔵岳の下に到着。見上げると30mほどの絶壁の頂上に何人かがよじ登っている。ザックをおいて挑戦する。最初の岩場は何とかよじ登る。中段からはほとんど手足をかけるところがないような岩場である。下りてくる人と交錯し、長い間待たされる。数人のパーティーのひとりが下山者に足場を指示しながらサポートしている。足場の良さそうなところを探すが段のようなものはなく、岩の凹凸を掴むしかない。くさり、ロープもなく下は谷底で、命がけである。よじ登れる感触を得たが、下りに自信がない。だれかが足場を指示してくれれば何とかなりそうだが・・・。こんなところで怪我してもつまらない。思案の末、結局ハナミズキ共々勇気ある?撤退。麓で、恨みの地蔵岳を眺めながら昼食をとる。厳しい岩場の下りががやっと普通の登山道になる。途中の見晴らし岩(標高約650m)から地蔵岳はじめ洞ヶ岳のいくつかの絶壁が間近に展望できる。ロッククライミング中の人が、点のように見える。

撤退した

地蔵岳
「虹ケ滝」
 やがて植林帯にかかるところで標高580mにある虹の滝につく。いく筋もの流れの大きな滝でマイナスイオンのシャワーを浴びる。ここまでは手軽に登れるようで、散歩姿の女性がいる。休憩ベンチを過ぎてブナの林を下る。大曲の分岐で一度林道に上がる。ここに展望台があり、洞ケ岳の全貌が眺められる。よく見る写真はここからのものであろう。またここに駐車して虹の滝まで誰でも散歩できる。大曲に引き返し、下山道を辿ると先ほどの虹の滝の下流の渓谷の出合につく。ここからは岩を伝いながら渓流に沿って下る。増水すると危険である。

虹ケ滝
「賀野神社」
 砂防ダムを過ぎるとまもなくもとの登山口に出る。キャンプ場には家族連れがたくさん来ている。駐車場も道の両脇まで満杯で50台以上はある。山男に無事帰還を報告する。帰りがけ、林道をドライブして賀野(かや)神社にお参りする。境内には数年前からの大きな絵馬が飾られている。またここからの雪彦山の展望も素晴らしい。元の駐車場を経て帰途につく。途中、雪彦温泉の露天風呂¥600で汗を流す。今日は、高所恐怖症にはお勧めできないがスリル満点の山登りであった。地蔵岳断念が悔まれる。
関連ページ:2014.9.22雪彦山
             2008.2.22 冬場の雪彦山
以上

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