名残のツツジ 大和葛城山
作成 2004.5.18 やまぼうし
■山名:葛城山(959.2m)
■場所:大阪府、2.5万御所
■日時:2004.5.14(金)天気 晴れ
■同行:ハナミズキ
■コース
駐車場1030→ロープウェイ山麓駅1035→くじらの滝1050→二の滝1120→天神社1245→葛城山三角点1300〜1330→ツツジ園1340→自然研究路1410→橋1440→不動寺1605→駐車場1610
Route Mapはここ
大阪府最高峰で、ひと目百万本といわれるツツジの名所葛城山を歩く。ツツジは盛りを過ぎていたが、緑のトンネルとマイナスイオンのシャワーを浴びる1日となった。自然研究路から不動寺への新登山道はヤブと化し、通行止めとなっていた。

葛城山ツツジ園(正面は金剛山)
「ロープウェイ駅」
平日にも関わらず葛城山ロープウェイ駐車場は観光バスとマイカーで満車に近い。ひと目百万本と言われるツツジがお目当てだ。ロープウェイ駅は観光客とハイカーで混雑し、行列である。初めての登山なので、最もポピュラーな深谷道(ふかたに)を行く。ロープウェイ駅(標高320m)を左に見て、マイナスイオン一杯の緑の谷道に入る。登山道は整備され、ほとんどが階段である。京都からのハイカー団体と一緒になる。数珠繋ぎの行列が続く。

ロープウェイ口

ハイカーの行列
「深谷道」
団体さんを櫛羅(くじら)の滝(380m)でやり過ごす。高さ10m程度の小さな滝で、前夜の大雨にもかかわらず水量はあまり多くない。もうひとつの団体の通過を待つ。一度植林地帯に入り再び渓流沿いを登る。階段、木の橋が続く。階段は歩幅が合わず側路をたどる。木の橋は濡れて滑りやすい。自然観察をしながらののんびり歩きにどんどん追い抜かれる。二の滝(別名行者の滝)(520m)に出る。地形図の不動滝とは別であろうか。谷が深くGPSは機能しないので気圧高度計だけが頼りである。

くじらの滝

橋と階段の連続
「植林帯」
谷から離れ、再び桧の植林に入る。森の霊気が漂い、フィトンチッドの香りに包まれる。黒々と林立した桧の幹と緑のコントラストが見事だ。ジグザグに山腹を登るが、所々に直登道がある。近道のつもりで林に入ってはいけない。浮き出た木の根を踏みつけ、傷つけてしまうからだ。

桧の植林帯
一汗かいて植林をぬけ、標高約780mでブナの林に入る。白神山地まで行くことはない。消防署の標識があり、8と数字が書いてあるのは8号目を表すことを知る。国民宿舎への分岐を左に見て、ロープウェイ乗り場方向の階段を登ると天神社(880m)の前に出てきた。

ブナ林の登山道

ブナの木
「山頂広場」
車が通れるような舗装の散策路が山頂に続く。おじいちゃん、おばあちゃん、家族づれ、ハイカーグループなどで賑わっている。ロープウェイ2時間待ちの案内板。国民宿舎方面に歩くと、今日はじめての展望が開けた。カラマツ越しに大和盆地が広がる。売店の横から山頂へ草原の道が続く。

山頂広場

登頂記念
晴天の山頂は360度の展望だ。方位盤にある大峰山系や大台ヶ原は霞んでしまっているが、金剛山が目前に迫り、和泉山地、大阪平野、大和盆地の大和三山が見渡せる。三角点959.2mにタッチ、順番待ちの山名表示板前で記念撮影する。
「ツツジ園」
炎天のベンチで握飯の後、ツツジ園を見渡す高台を散策する。桟敷席は人人人で満員。金剛山をバックに、ひと目百万本のヤマツツジは盛りを過ぎて10万本といったところか。それでも十分観賞に値する風景だ。茶店で尋ねると、先週の5/8頃が満開であったが、春先の寒波で色付きがもうひとつだったそうである。

ツツジ園
「自然研究路」
国民宿舎葛城高原ロッジの裏手を廻り元の登山口に戻る。ロープウェイで下山の予定であったが、膝の状態もよさそうなので、自然研究路を下ることにする。研究路は約2Kmの周遊コースになっていて元に戻れるが、途中からロープウェイ山麓駅近くの不動寺へ下ることができるはずである。研究路へ入ると遊歩道の喧騒がうそのように人影もなくなり、緑の真っ只中に突入する。森の生態などの説明版が随所にあるが相当年季が入っている。2、3組の夫婦連れとすれ違う。標高差で約150mほど下ると、渓谷に木の橋がかかり、遊歩道の最下点に達する。

自然研究路

緑のシャワー
「新登山道」
地形図ではこのポイント(730m)から破線がカントリ谷を下る。期待に反して目印もなく、道もない。意を決して、研究路からはずれ、踏跡が続く谷川の右岸を下りる。やがて踏跡は消滅し、木の葉が生い茂るヤブに行き当たる。どこかで左岸に渡らなければならない。うろつくうちにハナミズキが対岸の山の斜面に踏跡らしいものを発見する。また、その上方を電線が走っている。戻りながら、川の渡航点を探す。あった、藪の中に丸木橋を発見する。5mほどの橋は葉の茂ったこの時期は木々に隠れて見えない。人為的に架けられたものなので間違いなく道である。

篠竹のヤブを掻き分ける
僅かの踏跡を残した傾斜のヤブ道は、顔面に篠竹が当たり、足元は前夜の雨で谷にすべり落ちそうである。斜面にへばりつきながら、擦り傷だらけで稜線にたどり着く。電柱はNTTの電話回線でどうやら麓へ通じているらしい。結局、下りの道はこの電柱に導かれることになった。
「けもの道」
稜線上の道が現れてほっとするのはまだ早かった。たびたび背丈を越えるヤブに遮られ、這って歩くようなトンネル状の踏跡を掻き分けねばならない。人の歩く道とけもの道の違いは、道を覆うヤブの高さで判断するという記事を思い出す。これはけもの道だ。適当に踏まれてトンネル状になった道は、猪にとっては高速道路だろう。

けもの道を潜る

U字溝の下り
ところどころのガレ地からロープウェイや御所の町が覗ける。これでどのくらい下ったが分かる。標高630mから激下りが始まった。薄暗いU字溝の中の道を滑り下りる。

ザレ場からの展望
膝の調子がおかしくなってきた。ダブルストックで体を支える。またヤブ、また激下りを繰り返す。450m付近には古いトラロープが張ってあった。かつて登山道であったことを物語っている。テープも目印も全くない道で、これが唯一の手がかりだ。

不動寺の裏を下る
「不動寺」
竹林が見えると麓が近い。不動寺のお墓が見えてきた。最後のヤブを突き抜けると石段があり、ロープウェイ前の車道に飛び出した。汗と泥とくもの巣を払いのけて、今きた道を振り返ると、「通行止」御所警察署と大看板が立っているではないか。

通行止めに飛び出す
知らぬが仏とはこのことで、危険な道を下りてきたわけである。せめて研究路の橋の袂にでも通行止め表示があれば思い止まったものを。2,3日前のハイカー遭難事件を思い出す。反省。膝が急に痛み出した。西日に輝きを増す万葉の里、大和三山を見ながら駐車場へ下りてきた。
みどり緑新樹輝く研究路        ハナミズキ
出会った山野草

ウツギ

フタリシズカ

ヒトリシズカ

ハナイカダ
葛城山アルバム
注:自然研究路と不動寺を結ぶ道は、新登山道と呼ばれ、1985年の山渓のガイドブックに紹介されているがその後北尾根ルートとして整備された。
関連ページ:一目百万本つつじの葛城山(2013.5.20)

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