2023.1011改定/2012.11.29 やまぼうし
姫路 のじぎくの里 大塩日笠山と小赤壁
 ■日時:2012.11.21(水)/2014.10.29(水)
 ■山名:日笠山(62.1m)、清勝寺山(135.7m)
 ■場所:姫路市大塩 2.5万地形図 姫路南部・加古川
 ■同行:
単独
兵庫県の花「のじぎく」。姫路市大塩の里には、牧野富太郎博士から日本一の群落地と折り紙をつけられた自生ののじぎくがあります。満開を迎えたこの時期、のじぎくを愛でながら日笠山連山を歩く。また、手を加えていない全くの自生ののじぎくを求めて小赤壁を歩いてきました。
ルートタイム:山陽曽根駅1035〜黒岩十三仏1050〜日笠山のじぎく園(1110〜1200)〜日笠山1205〜夫婦岩(1215〜昼〜1250)〜馬坂峠1300〜清勝寺山1400〜のじぎくの里公園1450〜大塩駅1515

地図はこちら


<のじぎくの日笠山夫婦岩から播磨灘を展望>
「曽根」
 山陽曽根駅を降りた人は2、3人。無人駅だった。ほとんどの人は特急停車駅の大塩からのじぎくの里に向かうが、磨崖仏見たさに曽根で下車する。駅前に天満宮の鳥居があるが、参道に人影はない。それでも境内にはお宮参りの家族の姿があったが、やがて消えた。天川にかかる住吉橋を渡って国道を姫路方面に進むカーブのあたり、のじぎくの咲く崖っぷちの上に「黒岩十三仏」と呼ばれる磨崖仏がある。長方形の面には上段に五仏、下段に八仏の座像が刻まれている。説明文によれば、室町後期の永正2年(1505)の銘があり、鎌倉時代に時光上人が修行の傍ら爪で彫ったと伝えられる。高砂市指定文化財だが、だれも訪れることもないのだろう、枯れ果てた花が水差しにそのままになっていた。

曽根駅前の天満宮参道

曽根天満宮

カーブのあたりに黒岩十三仏

黒岩十三仏
「日笠山」
 狭い石段を上り、龍神さんの境内を抜けて、住吉神社から日笠山へ続く車道にでた。配水場を左に回り、大塩からの道が合流するあたりに「日笠山のじぎく園」がある。播磨灘と広大な塩田跡を望むだんだん畑の斜面、紅葉のサクラの木の根元にのじぎくが植えられている。丁度、のじぎくまつり中で、園内には手製の灯篭がならび、一つ一つには俳句や短歌が添えられている。中段には案内所と休憩ベンチがあり、コーヒーは無料サービス。年配のご夫婦、女性連れの散策姿が目立つ。ボランティアガイドさんの案内で園内を回る。白の花弁はよく見ると微妙に違っている。他種と交雑してしまうのだそうで、本当の自生種は数少なく、斜面にわずかに残るだけだそうである。手入れがたいへんとのこと。一本の茎から何百の花を咲かせていることに驚く。

のじぎく園から家島・小豆島の展望(手前は塩田跡)

日笠山のじぎく園

園内

自生種のノジギク(一本の茎から)
日笠山は標高62mの丘。三角点は遊園地の中にあって、半分うずまってしまっていた。ここまでは住吉神社側から車で入れる。連山縦走にかかる。里山の道が北山(夫婦岩)へ続く。

日笠山頂上と三角点

北山(夫婦岩)への道
「夫婦岩」
 クヌギ林を抜けて空がパーッと開けたところが夫婦岩である。一対の大岩と休憩ベンチがあるだけだが、斜面にのじぎくが咲き誇り展望絶佳。東に六甲、明石大橋、淡路島、西に播磨灘から家島、小豆島、はるか四国の山々が展望する。群生するのじぎくと相まって素晴らしい景観である。風景を楽しみながらゆっくりと昼食を摂る。たまたまのじぎく保存会の会長さんが居合わせて、純正種を案内していただいた。

夫婦岩のノジギク

純正種はひときわ白い
「馬坂峠」
 大北山92mへ登り返してから馬坂峠へ下る。途中、「起き上がり古木」という一度倒れたが自然に起き上がったという木がある。アベマキかクヌギと思われるが、杭で支えられ、しめ縄まで飾ってある。ご神木と言ったところか。すぐに馬坂峠の十字路に出る。ここにものじぎくが植栽されている。のじぎくを鑑賞するだけならここから下って、のじぎくの里公園から大塩駅へ戻るのがいいだろう。この先にのじぎくの群生地はない。縦走を目指して、手すり付きの階段道を赤山方面へ登る。

起き上がり古木

馬坂峠

縦走路は手すりの階段道
 起伏を繰り返す。路傍にのじぎくがちらほら見えるがこちらは自生のものだろう。赤山(牛谷展望台)など途中に第1、第2、第3休憩所が設けられているが放置されたままのようでうら寂しい。木立の間から東に高御位山が、西にこれから登る清勝寺山が覗く。北浜トンネルの上の十字路の峠に降りる。縦走を続けて、北脇一本杉・亀岩の道標に従う。
「清勝寺山」

高御位山

第2休憩所

清勝寺山
 やや急な登りをこなして出てきたところは北から東の展望が素晴らしい。清勝寺山の錦の山肌と、眼下に天川の流れ、山陽新幹線、山陽高速が、遠く姫路市街が見える。T字路に行き当たる。右は亀岩、左は一本松(清勝寺山)。縦走路は亀岩へと続くが、ここから一本松を経て清勝寺へ下ることにする。平坦な小松林を進むと路上に三角点が見えてきた。一本松あるいは清勝寺山ともいうようだが、点名は北脇135.7mである。フラットで展望はないが、少し先へ進むと、今たどってきた日笠山連山や大塩の町並みが一望である。展望を楽しみながら露岩帯を下る。

北浜トンネル上の十字路峠

遠く姫路市街地を望む

亀岩・一本松分岐

一本松(清勝寺山)三角点

露岩帯を下る

清勝寺山から日笠連山を望む
「大塩」
 露岩帯を下るとお墓の上に出て、車道に降り立つ。菅原道真ゆかりの清勝寺の山門をくぐり、境内を横切って日笠山山麓の道を歩く。寺下池、イヤガ池、穴虫池、大池の縁をめぐる。寺下池は水面のほとんどが赤い藻に覆われていたが、穴虫池や大池にはカモが飛来している。大池の縁にある「のじぎくの里公園」は、周囲をのじぎくが取り巻くように植えられている。遊具もある町の公園といった感じで、近くの方の憩いの場となっているようで観光客の姿はなかった。大塩駅前から円龍寺を通って日笠山へ至る路地を歩いて駅前交差点に出る。大塩駅にはノジギクとキバナノジギクが飾られていた。

寺下池と清勝寺山

のじぎくの里公園

大塩駅

ノジギク

キバナノジギク

小赤壁

2014.10.29(水)


≪福泊防波堤から小赤壁≫
ルートタイム:
八家駅14:50→小赤壁公園・木庭神社15:25→小赤壁海岸15:35→(戻る)→木庭神社15:50→福泊城跡16:05→福泊神社16:15→小赤壁公園16:25→福泊防波堤16:30→的形駅17:00

地図はこちら

大塩日笠山の帰り、海岩壁に咲くのじぎくを見ようと小赤壁(しょうせきへき)を訪れる。約1kmに渡って流紋岩の海食崖が続く姫路の名勝である。「小赤壁」の名は、1825年に頼山陽がこの地に訪れた際、月夜に船を浮かべ風光を楽しんだ。その際に中国の赤壁に似ているとして命名したことによるという。八家(やか)駅下車、八家川左岸を南下する。排水機場工事現場を過ぎて直進すれば木場ヨットハーバーで、小赤壁へ行けると思ったが、道路標識が左折600m小赤壁となっていたのでついそちらへ足を向けてしまった。実はドライバーのための案内でかなりの回り道となってしまった。

八家(やか)駅

木場ヨットハーバー
「木庭山」
 車道を歩くこと20分で標高61mの木庭山(きにわやま)の小赤壁公園に出た。絶壁の上で、南に播磨灘が広がり、直下に福泊港の防波堤が見える。すぐ近くに木庭神社があった。1615年創建、天照大神はじめ十神が祀られる全国でも珍しい神社である。散歩中の人に小赤壁海岸までの道を尋ね、神社前の小路を下る。危険通行禁止の看板があったが、折角の機会なので自己責任ということで行ってみることにする。どこが危険なのかわからないまま急傾斜の道は鉄塔の下を潜って石段に変わり、海岸に続いていた。これは木庭神社への参道だったのである。

小赤壁公園遊歩道

木庭(きにわ)神社

木庭神社参道
「小赤壁}
 参道入口にロープが張られ、海岸の道はフェンスで閉鎖してあった。釣り人に尋ねると、昔はよく散歩した所だが落石のため通行禁止となったと目の前に転がる巨岩を指さしてくれた。無視して立入り、潮干狩りする人もいるらしい。調べてみると2008年6月に小赤壁の西側の遊歩道で落石が発生し、防止策がとれないまま現在に至っているようである。岩陰には黄色いツワブキの花と早咲きののじぎくが咲いていた。立入禁止ゲートのすぐ上にある波切不動に参拝し、再び急階段の参道を登り返して木庭神社へ戻る。ああしんど!

小赤壁西端から東を見る

海岸立入禁止ゲート

小赤壁西端から西を見る(木場ヨットハーバーと参道入口)

波切不動

岩壁ののじぎく
「燈籠地山」
 岩壁上に続く遊歩道を東進していくと無線操縦のグライダーを飛ばしている男性があった。この辺りはパラグラーダーを楽しむ人も多いと聞く。絶壁に下る道へは絶対行かないようにと念を押される。ロッククライミングの岩場があるようである。昼なお暗き竹林を抜けると遊歩道は左にカーブして下っていくが、直進して地形図上の54Pに登ってみる。まるで城跡のようなフラット広場となっており犬の散歩をしているご老人があった。的形観光案内によると「燈籠地山(とうろち)」といい、やはり福泊城跡であった。

遊歩道

福泊城跡(燈籠地山)

福泊神社
「小赤壁」
 戻って、下ると福泊神社の前に出た。小赤壁を歩けなかったのでせめて東端から覗いてみようと思い、漁船の並ぶ入江を海岸へ歩く。先端は小赤壁公園となっていた。さらに回り込んで防波堤に上がると木庭山から燈籠地山へ至る小赤壁の海岸が一望である。海岸を歩けなかったが、ここへきて良かったと思う。夕暮れ迫る福泊を的形駅に急ぐ。ウォーキングのおばさんが地元なまりの声で話しかけてきた。

小赤壁東端から西を見る

燈籠地(とうろち)山

福泊港

的形駅

小赤壁全景

関連ページ:大塩のじぎく探勝 2014.11.20
        大塩のじぎくの里を歩く 2015.11.13

トップ表紙に戻る   

inserted by FC2 system