六甲 大藪谷から小天狗山
作成2013.10.2やまぼうし
■行先:東六甲(西宮)小天狗山557m 2.5万宝塚
■日時:2013.9.29() 快晴 穏やか
■参加者:ささゆり会12名(男4,女8)
■コース
ゆずり葉の森公園0905→岩倉橋0920→樫が峰1010→六甲保養荘1050→盤滝1125→(大藪谷)→小天狗山取付1150→小天狗山(12451320)→大蛇谷十字路1345→(大蛇谷)→小天狗山取付1420→(大藪谷)→盤滝1440→小笠峠1510→(焼石ヶ原)→エデンの園1540→ゆずり葉の森公園1610
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小天狗山 天狗の鼻から行者山の展望

「ささゆり会」
 毎週日曜日のささゆり会健康ハイキングは裏山の行者山だが、第5日曜は弁当持ちのミステリハイキングである。集合するまでどこへ行くか分からない。今日はたまたまHさんが近くの小天狗山へ行こうと地図持参だ。私は2006年に登ったことはあったが、かなり藪山で健脚向きだ。そこへ今夏谷川岳へ登ってきたばかりのベテラン女性のリリカさんが登場。最近、大蛇谷から小天狗山は探索済である。衆議一決、リリカさんの案内で小天狗山557mに登ることに決定。
 さて取付きまでのルートは、盤滝までの車道が一番近いが歩道がないので危険、エデンから小笠峠なら安全だが回り道、西宮ゴルフ場経由があるがコースを横切るのははばかられるということで、社家郷山系の樫ヶ峰越え(460m)をすることにした。これは小天狗山の麓に到着する前に体力が消耗しそうだ。12名の顔ぶれを見回すが、心配なFさんを隊列の2番手におく。出発したものの、リリカさんが少し心配になったのか、小天狗山はあきらめて、社家郷山からキジ谷を降りようと提案があったが、ゆっくり行けば大丈夫と返事したことが悲劇を生むことになった。
「樫ヶ峰越え」
 岩倉橋(230m)から関電プラ階段の急登がまずこたえる。鉄塔#28(330m)から尾根へ、天気も良く樫ヶ峰の東肩のガレ場から甲山を眼下に芦屋の市街地、大阪湾、遠く金剛、紀伊山地の山並みも良く見える。樫ヶ峰(457m)から六甲保養荘・社家郷キャンプ場への下り(樫ヶ峰ルート)は急で足元がスベリ、立ち木を掴みながら慎重に進む。やがて鉄塔#30を巻いてコープの森、猫柳池(水なし)を渡って六甲保養荘の駐車場前(270m)に出る。途中に#29鉄塔を示す関電の火の用心看板があったが、これが西宮ゴルフ場を通る道かもしれない。駐車場脇にはいつの間にか登山コースの看板が出来ていた。

樫ヶ峰へ関電プラ階段を登る

樫ヶ峰の東肩を行く

樫ヶ峰ルート分岐

観音山・ゴロゴロ岳を見ながら降りる

樫ヶ峰ルート標識が続く
六甲保養荘でトイレ休憩を済ませ、仁川沿いの車道を盤滝に向かう。北山ダムへ導水する湯の口取水口辺りに観音山と思われる取付きを発見、続いて盤滝橋から旧道に入るあたりにもそれらしい取付きを発見する。要チェックポイントだ。旧道にはアケビの実がいっぱいである。時間があれば袋一杯は採れそうだが、先行するリリカさんがお待ちかねだ。ゴミステーションを2か所やり過ごして、3番目が大藪谷から奥池への取付き(340m)で、近くの移動式のトイレが目印だ。

六甲保養荘前とやまなみバス

盤滝口交差点

旧道ゴミステーションが大藪谷口
「大藪谷」
 飛び石伝いに仁川を渡る。いつもより増水しているが、ちょっとだけ足元を濡らす程度で対岸に渡る。支流の大藪谷川の左岸を歩く。右岸にあった怪しいテント小屋はすで撤去したようだ。ここから右岸に渡ると大藪谷東尾根から観音山へ行くことができる。間もなく大藪谷川堰堤である。お昼が近くなるが、昼食を摂ると、小天狗山の登りがしんどくなるのでビスケット程度の軽食をとる。堰堤を右から越えてすぐに、右から大蛇谷川が合流する。ケルンのある小天狗山取付き(380m)である。本日は安全な尾根コースを登る。テープ類はあまりないが、しっかりした踏跡が続き、迷うことはない。

仁川を渡る

大藪谷の遡行

小天狗山取付きケルン
「小天狗山」
 466mの小山を越えると十字路だ。以前から気になっていたが、左は大蛇谷、右はどこへ?帰りに我々はこの十字路を大蛇谷へ下り、途中で出会ったご夫婦が反対側に下ってルートが判明することになった。再び登ると赤松のミニ広場だ(516m)。赤松広場と以前命名したままの姿である。小休止する。最後の登りが始まる。三点確保の岩場を登りきり、やせ尾根になると小天狗山はもうすぐだ。マツタケの香りが漂う。一帯は赤松林なので近くにありそうだ。ところどころで展望があり、振り返れば大阪・宝塚市街が、仰ぎ見れば大平山が立ち木の間に覗く。

尾根コース

赤松広場
 
岩場を越える

登山路からの展望、遠方の橋が盤滝口交差点
やせ尾根をそのままたどると、とかが尾へ行ってしまうので、途中で右折すると小天狗山の頂上だ。標高572.3mの基準点がある(2500分の1測量図)。国土地理院25000地形図では557mとしてある。展望はないが、東端の天狗の鼻と呼ばれる赤松の先に地域のシンボル行者山や宝塚市街が覗く(トップ写真)。遅い昼食タイムをとる。あちこちから差し入れのお菓子や果物が届く。至福のひと時だ。

天狗の鼻

小天狗山 三等基準点

頂上付近のやせ尾根、マツタケの香りが漂う

ささゆり会
「大蛇谷」
 帰りは安全を期して同じ道を降りるが、途中で今日初めてのハイカーに出会う。明石から来られたご夫婦で東六甲を探索しているとのこと。ルート図とGPS持参で、小天狗山へは我々の未踏ルートで登ってきている。気になっていた十字路まで降りてきたが、我々は大蛇谷へ、ご夫婦は反対の谷へ下った。後日の情報では、藪漕ぎの結果仁川に下り、再び大藪谷途中から小天狗山に登ったのこと。藪山同士がいるものである。大蛇谷までは難なく降りたが、荒れた渓谷歩きは大変だった。流れに沿って下りるだけだが、途中に堰堤が2か所あり、先行するリリカさんから右へ、左へと指示が飛ぶ。倒木、流木、イバラ、フジヅルがぶら下がる。どうにかケルンまで降りてきてほっとする。
 再び隊列を組んで往路を戻るが油断大敵だ。2番手を行くFさんがガレ地で足を滑らせ5,6m下の河原に転落する。怪我はないようだ。しばらく気を休めてから自力で歩き始めた。途中に岩場がなかったのが幸いした。ほっと胸をなでおろす。山側を歩けとリリカさんの声。だが、またもや一人の女性が木の根っこにけつまずいて土手から半身落ちかけて助けてくれー。疲れて足が上がらないのだ。仁川をわたり、ゴミステーションに戻ってきた。やれやれ、大藪谷は鬼門の谷だ。

大蛇谷へ下りる 上流に堰堤が見える

大蛇谷川を右、左と渡渉を繰り返す
「エデンの園へ」
 旧道を上り、盤滝から六甲ドライブウェイに合流して上盤滝橋を渡る。橋手前のフェンスのとぎれに取付きを示す赤テープを発見する。ご夫婦がたどった小天狗山への道だろう。小笠峠(421m)を越える。この車道歩きは足が重い。車道のガードレールの隙間からエデンの園へ続く焼石ヶ原へ入る。ガレ場は年々崩壊が続き、道も崩れている。

年々崩壊が続くガレ場(焼石ヶ原)

エデンの園バス停付近
立ち入り禁止ゲートからエデンの園へ到着。一旦解散するも、バスは20分待ち。転落のショックか、放心状態のFさんとバス停で別れ、残りの人はてくてくと車道を下り、スタートのゆずり葉の森へ帰ってきた。自宅を出てから歩行13.km、万歩計は20,000歩を越えた。反省しきり、ハードなミステリーハイクとなった。

<出会い>


満艦飾のアケビ(盤滝旧道)

シコクママコナ(盤滝旧道)

アキチョウジ(大蛇谷)
*小天狗山のいわれ
 寛永18年(1641年)に起きた旱魃の際、社家郷村(西宮神社を守る家々の意味:広田、越水、中村、西宮郷)の農民が、自分たちの持ち山である社家郷山から仁川の水を引こうと山を越えて夙川水系に取水しようとした。それまで仁川の水を利用していた下流の農民が工事を阻止しようとするのは当然のことで、昼、社家郷村の人々が水路工事をすると、夜ごと仁川下流の農民が水路を埋めるという繰り返しだった。
 この難局面を打破するため、中村の庄屋であり、広田神社神官の中村紋左衛門が知恵をめぐらし、ある夜、般若の面を付けて水路近くの岩にじっと座っていると、壊しに来た仁川下流の人々は「天狗が出た」と見誤って一目散に逃げ帰り、以後、工事は妨害されず、2年を費やして「社家郷用水」は完成したと言う。小天狗山とはこの話に因んだもののようです。
やまぼうし

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