道場百丈岩から名塩川源流を歩く

道場駅~百丈岩~静ヶ池~生野高原住宅~名塩さくら台~名塩駅

up 2014.1.31やまぼうし
■日時:2014.1.26(日) 天気 曇り一時雨
■場所:神戸市・西宮市 百丈岩~名塩川
■山名:百丈岩(292m)、国見山(404m)
     地形図 2.5万 三田・武田尾
■同行:武庫川エコハイクスタッフ 5名
百丈岩
百丈岩
道場駅から船坂川を遡り、百丈岩・静ヶ池を経て生野高原へ。さらに分水界を越えて名塩川の源流を下る。宝塚と三田に割り込んだ神戸市・西宮市の辺境を歩く。
ルートタイム
・道場駅0930・・・やまびこ茶屋1010・・・百丈岩1050・・・静ヶ池(1130~1220)・・・生野高原住宅口1315・・・国見山1335・・・赤坂・さくら台分岐1400・・・茶園BS1440・・・名塩和紙学習館1505・・・蘭学通り入口1515・・・西宮名塩駅1540

Route Map

「道場」
 道場駅から武庫川に架かる生野橋側道を渡り、下流に向かう。草むらに近畿自然歩道の道標があり、百丈岩・鎌倉峡2.1km、鏑射寺1.9kmとある。見上げる大看板は新名神高速道路高槻JCT~神戸JCTの工事案内である。川向いに富士チタン神戸工場を見る。昭和12年創業、酸化チタンなどを製造しており、武庫川から取水している。船坂川が合流する。これから訪ねる百丈岩はこの上流にあたる。内久保橋詰から船坂川を遡り、水久野橋を渡る。昔歩いた林道の分岐点に新名神高速道路工事のためハイキングルート一部通行止めの案内板が立てかけてある。百丈岩・静ヶ池へは、車道を歩く以外にない。

近畿自然歩道百丈岩まで2.1km

富士チタン神戸工場と武庫川

船坂川合流地点(橋は内久保橋)
「新名神高速道路」
 間もなく白い塀が現れ、新名神高速道路工事現場の真っただ中に出る。船坂川を跨ぐ橋脚を建設中で、トンネル工事も始まっているらしい。本日は日曜日で誰もいない。一帯は大きく変貌してしまうだろうから工事中の風景を見ておくのも一興である。工事現場を過ぎると昔ながらの道路となるが、かって賑わった道場河原キャンプ場が鎖で閉鎖されていることに時の移ろいを感ずる。遠くに百丈岩が見えてくるとやまびこ茶屋が近い。

新名神高速道路看板

新名神高速道路工事現場

道場方面

神戸JCT方面
「やまびこ茶屋」
 うれしいことに、自販機だけだった小屋の横に新しい住宅が建設されている。百丈岩へは鯉の泳ぐ池の縁を通り、案内板のとおりにロッククライミングコースから分かれて一般コースを登ることになる。しかし一般コースと言っても写真のような岩壁で、三点確保が必要なところである。クサリもあるが頼りない。以前にこれを下ったことがあり、ひやひやものだったことを思い出した。自信のない方は、やまびこ茶屋の手前300mほどのところからのルートがある。

やまびこ茶屋 左新築家屋

 一般コースも厳しい

三点確保で岩登り
「百丈岩」
 百丈岩は高さ約60ⅿの縦烏帽子型の巨岩。関西屈指のロッククライミング場として有名である。有馬層群中の玉瀬結晶質凝灰岩(兵庫岩石レッドリストB)でできているという。鎌倉時代の13世紀半ば、北条時頼が出家して最明寺入道と名乗り、この地にきて百丈岩に登り、景色を愛でたと言う伝承が残る。山上に鎌倉大明神が祀られている。平衡感覚が危うい年寄りには危険なので横から眺めるだけにする。今日は曇り空ながら展望がきき、北摂・丹波・東播磨の山々が良く見渡せる。丹生山、帝釈山、オッコ、メッコ、明神山、七種山、西光寺山、清水山(御嶽)、和田寺山、虚空蔵山、千丈寺山、大船山、羽束山、有馬富士等が同定できる。鎌倉峡の向うに霞んで見える山は六甲逢ヶ山であることが分かった。眼下には道場から三田方面、武庫川有馬川が展望する。少し離れた林の中に四等三角点水久野292.2mがある。GPSの高度もどんぴしゃりだった。
 
百丈岩、鎌倉峡の彼方に六甲逢ヶ山が覗く

百丈岩背面 これ以上近づくのは足がすくむ

四等三角点水久野292.2m

道場から三田方面の展望(武庫川と有馬川の分岐点が見える、中央有馬富士、右奥は千丈寺山)
「静ヶ池」
 百丈岩から静ヶ池への道は平坦でしっかりしているが、粘土質でぬかるみが多い。途中、道場から登ってくる道が合流してくるが、いずれも通行止めの表示とルート案内板が設置してある。車が通れるほどに拡幅された道は、新名神高速が完成したら道場からのハイキングルートとなるようだ。静ヶ池(静の池ともいう)に到着する。標高290mの小松林の中の静かな池で人工のため池とは思えない。少し早目の昼食を摂る。昼食後、池の周回はできないがヘリポートがあるというので、奥へ歩いてみる。池に突き出すように芝生の広場があり、神戸消防局/鎌倉地区水利組合の航空機離着陸場所の立札があった。山林火災のための給水場所なのだろうか。静ヶ池からは、道場亀治橋と生野高原住宅方面(2本)のルートがあるが、亀治橋へのルートは地形図にはなく、立て看板によれば通行止めである。

拡幅整備された静ヶ池への道

静ヶ池

ヘリポート
「生野高原住宅」
 生野高原住宅へは生野ダムへの破線ルートが最も近かそうだが、ダムは立入り禁止なので、高原住宅入口に伸びているもう一本の破線ルートを歩くことにする。ゆるい起伏の雑木林の道は展望こそないが、しっかりした道である。誰が何のためにつけた道なのだろうか。道中の後半はマツタケ山で、道の両側にロープが延々と続く。神戸市長名で立ち入り禁止の立札が何か所もある。左に小さな池を見て、尼信のグランドが見えてくると車道に出る。生野高原住宅の入口にあたるところで、394Pの高いアンテナ(名塩無線中継所)が目印である。西宮市名塩町美山の住居表示があるから、いつの間にか神戸市から西宮市に入ったのである。ちなみに尼信グランドは西宮市、生野高原住宅は神戸市である。

マツタケ山

生野高原住宅入口、西宮市名塩町美山
 折角だから近くの国見山へ立ち寄ることにする。最も山側の車道を緩やかに上っていくと階段があり、上がっていくと貯水施設があるが、横に平成2年第9代西宮市長八木米次氏の建立した歌碑がある。歌人は八木米蔵で「国見山 東に摂河泉開け 西播但路雲畑の中」とあるから当時は国見山の名のとおり、四方が見渡せたようだ。この少し上が国見山最高地点404mだが、プレートがあるだけで特に三角点はない。立ち木の中で展望はないが、樹間から読売ゴルフ場が覗く。名塩川の支流で細野谷川はここ国見山に源を持ち、ゴルフ場から名塩さくら台住宅北辺を流れて本川に合流する。さらに東には三角点のある秀が辻山403.1mがあるが、一旦車道に下りて、西宮市保養施設「くにみ荘」から入らなければならないので今回はパスする。

国見山の歌碑

国見山ピーク 
「名塩さくら台」
 車道を下り、名塩さくら台と赤坂峠の分岐で、名塩川の源流にある独鈷水を廻るかどうか思案した結果未踏の名塩さくら台へ下ることにする。脇を流れる3面張りの川は、国見山に源を持つ名塩川の支流細野谷川である。西宮名塩駅が昭和61年(1986年)開業してから名塩川上流域は住宅開発が進んだが、名塩さくら台は1996年(平成8年)阪急不動産開発の最も新しい町で、標高300m~250mの高台にある。阪急バスが走ってはいるが不便で空き地も多い。R176へ下りて、茶園町(ちゃえん)から山麓の道を歩く。中国道の向う側に点在する住宅は、名塩山荘や名塩ガーデンである。この辺りの谷の未開発地には家庭菜園が並ぶ。ロウバイが春を告げている。

名塩さくら台・赤坂分岐付近、側溝は細野谷川

名塩さくら台住宅 正面は畑山

R176さくら台住宅入口 正面中国道

名塩ガーデン・名塩山荘を望む、背景は畑山

春を告げるロウバイ
「名塩」
 再び車の往来の激しいR176を歩く。現在バイパス道の建設中である。名塩和紙学習館でトイレ休憩する。百丈岩やまびこ茶屋以来トイレはない。蛇行する名塩川を何回か渡る。蘭学通り入口の名塩東バス停から、落葉ふりつもる竹林の道に入る。渓流が水しぶきを上げる別世界だ。ひときわ高い音を響かせているのは名塩下滝である。堰堤の下から回り込んで長大なすべり台の坂を上ると東山台住宅地で、斜行エレベータに突き当たる。乗ってはみたいが、昇降口までは階段を上らなければならないので歩いて降りる。すぐに西宮名塩駅である。

名塩の町を蛇行する名塩川

名塩川渓谷は竹林の道

名塩下滝

斜行エレベータ

西宮名塩駅前を流れる名塩川
道場駅から西宮名塩駅まで、歩行は13kmとなった。新名神高速道路工事で変貌する百丈岩、静ヶ池のヘリポート、静ヶ池から生野高原への道、名塩さくら台住宅と、今日は新しい発見の山歩きだった。

関連ページ:百丈岩と鎌倉峡(2003.3.29)
            名塩川とくらがり街道(2010.3.13))

やまぼうし

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