更新 2024.3.24/2011.11.6やまぼうし
丹波 愛宕山・中尾の峰(武庫川源流)
龍蔵寺〜愛宕堂〜愛宕山〜中尾の峰〜武庫川源流〜龍蔵寺
◇日時:2011.11.3(木) 曇
◇行先:愛宕山(648m)、中尾の峰(658.9m)
     2.5万地形図 篠山
◇同行者:ハナミズキ
北摂・丹波境界の愛宕山は三国岳、中尾の峰と共に太平三山の一つ、武庫川の源流である。母子側から登ったのは15年以上前のこと。近畿自然歩道が整備されたということで、丹波側の龍蔵寺から登る。篠山の町から望む愛宕山は、ピラミダルな三国岳に対して鋭鋒を突き上げている。
行程:
宝塚0900・・・龍蔵寺(1015〜1030)→中央ルート(参道)→愛宕堂(1112〜1120)→愛宕山(1200〜1240)→峠1310→中尾の峰(1330〜1340)→峠1405→南ルート(武庫川源流)→龍蔵寺(1440〜1500)・・・宝塚1615
地図はこちら

愛宕山登山口(近畿自然歩道)
「龍蔵寺」
 古市でR176から分かれてR372(デカンショ街道)を走り、バス停龍蔵寺口を右折する。約1.5kmで龍蔵寺に行き着く。龍蔵寺は大化年間(645)、法道仙人によって開かれたと伝えられる天台宗の古刹で、丹波古刹十五ヶ寺霊場第一番である。平安時代より修験道の行場として栄え最盛期には七十二坊を連ね、高仙寺、文保寺と並んで多紀三山の一つに数えられた。号を太平山と称し、これから行く愛宕山は太平三山の一つである。

龍蔵寺

苔むした石段
 身支度を整えていると、山仕事スタイルの住職が居られたので念のため道を尋ねる。愛宕堂参道を登る中央ルート(近畿自然歩道)以外に、作業道を行く東ルート、武庫川源流を遡る南ルートがある。比較的楽な東ルート(ミツマタの大群落あり)を奨められたが、愛宕堂にお参りしたいので当初計画どおり最もきつい中央ルートを行くことにする。住職は自然について造詣が深く、道すがら太平山のヒノキやトガ(ツガ)などのお話を聞く。この地はクスノキの北限でありカゴノキの南限であるという。
 登山道入口(標高300m)には近畿自然歩道の道標があり、愛宕山まで0.9kmの表示がある。参拝者用に杖も置いてある。鬱蒼とした森林の中、苔むした石段が続く。参道には巨大なモミノキ、桧皮葺の材として皮をはがされたヒノキが並ぶ。石仏やところどころ崩れかけた石垣は堂宇の跡だろう。参道脇に小さな白い花を付けて群生しているのはキッコウハグマという。標高430m付近で、忍の滝道を左に分ける。すぐに大きな石垣が現れる。石段を登ると、灯篭と石の鳥居があり、広場には苔むした石仏群が並んでいる。その先に急峻で長い石段が愛宕堂に続いているが、石段崩落危険表示がありここを上ることはできない。迂回路を登り、勝軍地蔵愛宕大権現が祀られている愛宕堂(490m)につく。火伏せの神さんである。朱塗りの堂と小屋が巨岩の下に鎮座していた。山の安全を祈願する。
国土地理院 1/25000地形図(電子国土)の龍蔵寺、愛宕堂の位置は間違っており、破線の道はないので注意ください。地図参照。
 
モミの巨樹

桧皮葺に使われた丸裸のヒノキ
 
愛宕堂鳥居

愛宕堂(勝軍地蔵愛宕大権現を祀る)
「愛宕山」
 愛宕堂からもとの道を引き返し、船さか口表示のあるところから登る。参道の雰囲気はなくなり、自然林の尾根道となる。天狗岩という割れた石仏のある大岩を乗り越えると傾斜が増し、長いロープを伝っての登りとなる。一度緩んだところに滝谷口の表示があり、再び急傾斜のロープ道となる。立ち上がるとリュックの重みで後へそっくり返りそうになるから下りはもっと大変だろう。このあたりはミヤマシキミが群生している。ピーク(620m)には向山坂の表示があり、近畿自然歩道の分岐道標が立っていた。愛宕山山頂0.1km、稲荷神社1.1km、美濃坂峠3.7km、愛宕堂0.3km、龍蔵寺0.8km。
 僅かの上りで愛宕山山頂(648m)に到着する。三角点と見まごう石柱と如意ヶ峰のたて看板がある。モミノキに混じって数本のブナに囲まれ、展望はないが、少し戻った切開きから篠山盆地と多紀連山が望むことができた。霞んではいるが、小金ヶ嶽、御嶽、西が岳、鋸山、三尾山、夏栗山、黒頭峰、松尾山、白髪岳、槙ヶ峰を同定する。足元にはミヤマシキミが赤い実を付けていた。本日唯一の展望を楽しみながら握り飯を食む。至福のひと時だ。

船さか口

尾根道

天狗岩 

長いロープ
 
滝谷口
 
向山坂

愛宕山(如意ヶ峰)山頂

愛宕山より多紀連山(西ヶ岳、御嶽、小金ヶ嶽)と篠山の展望
「中尾の峰」
 近畿自然歩道は東に三国岳方面に続くが、今日は西に中尾の峰を訪ねる。愛宕山から南に登り返したピーク(650m)から摂丹境の尾根を西進する。ピークの先に展望のよさそうな赤白鉄塔が見えたが、ネットとヤブに阻まれて近づけなかった。やがて鎖場を急降下する。南は植林地、北は自然林の気持ちのいい道が続く。モミノキのプロムナードである。鞍部(520m)に降り立つ。ここは十字路と思っていたが、一面の杉林で、切り倒した木が放置されたままになっており、踏跡も不明となる。中尾の峰の取り付きを探して迷走。西方の山を上へ上へと登れば間違いはないはずなのでとにかく取り付いてみると、果たして自然林の中に朽ちたテープを発見する。やがて黄色い境界杭が現れ、これを拾いながら直登する。約20分、息を切らせ、汗だくとなって中尾の峰三角点(658.9m)に至った。
 立ち木の中で展望はない。三角点の横に南北に林道のような広い道が走っている。北は尾根筋から龍蔵寺へ下りられそうだが、後で調べるとやがて消失して藪と化すようだ。南は明解な道が続くようである。本日は元の道を戻り、鞍部から南ルートの武庫川源流を下ることに決める。
 
鎖場を下る

モミ・ツガのプロムナード

迷走の鞍部

中尾の峰
「武庫川源流」
 下りは怖い。尾根筋を間違いそうになり、途中軌道修正して再び杉林の鞍部に降りる。北へ向えば谷に向うはず、果たして植林地のはずれに谷口を発見する。その少し手前の杉の木の根元から水が浸みだし、やがて明確な流れとなって下り始めている。ここが武庫川(龍蔵寺川)の源頭であった。左岸を下っていく。やがて道は流れから離れていくが、10分ほどで丸太の架かった支谷を渡る。過去、武庫川源流を遡ったことがあったが、ここから支谷を遡って、水の浸み出すもう一つの源頭に至ったことを思い出す。
 右に深い谷を望みながら杉林の斜面を下る。野生化したお茶の花が咲いている。かつて修行僧が生活していくためにお茶の木を植えたというがその名残だろう。丸木橋を渡り、再び丸木橋を渡り返すと杉林から離れて堰堤沿いの道となる。3面張り(川底は自然石)となった龍蔵寺川の右岸を一直線にくだり、往路の愛宕山登山口に戻ってきた。鐘楼で大きく鐘を突き、無事帰還を知らせる。お寺の境内に下りると、白いワンちゃんが出迎えてくれた。丁度山から下りてきた住職からお茶のお誘いを受ける。ゆっくりお話を聞きたかったが、時間が遅くなるので辞退申し上げる。

武庫川最初の一滴

武庫川源頭部

丸太橋で支流を跨ぐ(450m付近)

左岸の杉林を下る 
 
杉林から出る

龍蔵寺川

龍蔵寺鐘楼
振り返ってみると、愛宕堂までの参道は古色蒼然とした趣があって良かったが、崩れかけた石段などかなり荒廃しており、近畿自然歩道としてはもう少し手入れが必要だろう。武庫川源頭の鞍部は迷走しやすい。倒木の処置を含めて何らかの道標がほしいところである。

茶の花や小股で渡る丸木橋     ハナミズキ

<出会い>


ミヤマシキミ(中央ルート)

キッコウハグマ(中央ルート)

チャノキ(南ルート)

ミツマタ(南ルート)
関連ページ:母子愛宕山と三国岳(1995.5.2)
        武庫川源流を歩く(2010.2.13)
        一目1万本ミツマタの愛宕山(2012.4.7)
        武庫川源流を歩く(2012.10.25)

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