東六甲 秘境 赤子谷を歩く
更新 2003.7.7やまぼうし
■場所:東六甲 赤子谷 2.5万宝塚
■日時:2003.7.6(日) 曇り
■同行:ハナミズキ
■コース:
 生瀬 西宝橋(12:00)→赤子谷口(12:05)→左俣→赤子滝(12:20)→ゴルジュ(12:40〜55)→岩倉沢分岐(13:10〜13:35)→岩倉山鉄塔(14:10)→縦走路→赤子谷分岐(14:25〜35)→右俣→赤子谷口(16:00)→西宝橋(16:05)
Route mapはここをクリック
 

秘境ゴルジュ
赤子谷の左俣コースを登り、右俣コースを下る。秘境にふさわしく、ゴルジュなどスリルに富んだ沢歩きであった。自分の体を支えるだけの体力と勇気が必要だ。

「西宝橋」
 生瀬から船坂に向かう国道51号に入り、すぐ太多田川を渡る。薬品会社のグランドを横に見て坂道を上ると、その先には廃墟となった体育館があり、ここで一般車両はストップ*。車止めの地道を上ると左手に赤子谷川の瀬音が響く。梅雨の合間で水量が多い。先行きが心配だ。
*2009.5現在フェンスで通行止め。手前を左折して進み、家屋横から川に下り遡行すると反対側に廻り込める。

西宝橋

赤子谷口
西宝橋(せいほうばし)(標高130m)の広場に赤テープがありここから谷を遡る。キャンプ跡を見ながら流れをわたると、案内板が立っていて、左俣は滝コース90分、右俣は沢コース70分とある(実際はもっとかかる)。左俣を上り、縦走路を経て右俣を下る予定である。(標高150m)
「左俣」
 左へ入るとすぐ渓流沿いの道になり、苔むした岩を伝いながら進む。堰堤を越えると、男性リーダーに引き連れられた7、8人の中年女性パーティーが下りてきた。よほど素晴らしかったのか、皆さん嬉々としている。岩倉沢分岐の注意とびしょ濡れは覚悟したほうが良いとのアドバイス。
「赤子滝」
しめ縄のかかった赤子滝が見えてきた(標高200m)。ここまでは容易に入ることが出来る。


赤子滝


いよいよ滝登りの始まりである。どちら側から越えるべきか見定める。右手から5〜6mの岩場に取り付く。足場を考えて、岩の角か木の根を捕まえないとすべり落ちる。滝の上に出て、対岸に渡ると今度は堰堤だ。左側に補助ロープがつけられている。20人ほどの老若男女のパーティーがちょうど降りてくるところだ。疲れているのか、無口なパーティーで挨拶も返ってこない。今までめったにハイカーに会うことがなかったが、今日は日曜日もあってか特別である。
「ゴルジュ」
 目の前に洞窟の裂け目のような谷が現れた。これがゴルジュと呼ばれているところだ。


ゴルジュを行く

ゴルジュとは仏語で〔喉(のど)の意〕で、両側の岩壁がせばまっている谷をいうそうだ。圧巻である。絶壁に囲まれた急流が50mぐらい続いているだろうか。峡谷に岩と小滝が続き水量も多いので足場の確保が難しい。流れをかぶるが、新調の登山靴の防水効果か、何とか濡れずにきりぬけることが出来た。(標高230m)
「岩倉分岐」
 滝が続く。今度は右手のトラロープに体を預ける。自分の体を支えるだけの懸垂力が無いと無理だ。左右の狭谷から小さな流れが次々と合流してくる。侵食されるのか、若木が根こそぎ倒れている。急流が大きな二股になる。ここが岩倉沢分岐である(標高270m )。ここまで汗はあまりかかないが、緊張でいささか疲れる。

滝の連続

岩倉沢分岐
一休みして握り飯タイムとする。地形図とGPSを取り出し現在地点を確認する。受信電力が弱いのかGPSはあまり当てにならない。テープは岩倉山鉄塔方向の左の沢に見える。右手はゆずり葉台分岐への道と思うが、かなり急流でテープ類が見当たらない。岩倉山方向を目指すことに決める。
「岩倉沢」
 またしても大きな滝だ。左手の赤いロープの助けを借りて這い登る。

岩倉沢

岩倉山鉄塔#25
流れが細ってきた。350m地点からは涸沢となり、やがて急斜面の石ころ道が続く。ここは落石に注意だ。最後の力を振り絞って鉄塔(460m)に飛び出した。鉄塔からは何の表示も無いから、一般ハイカーは気づかない道である。それにしてもここからの赤子谷の滝下りは怖い。
「縦走路」
 縦走路を西に戻る。ハイカーが多い。ゆずり葉台分岐を通過して譲葉山にさしかかる。右手に赤テープがあるがおそらく赤子谷に続くのかも知れない。まもなく赤子谷の標識があるポイントにつく(標高470m)。

縦走路赤子谷分岐

右俣の上流
「右俣」
 れっきとした道が谷に下っている。しばらくは雑木林をゆるゆると下る。じめじめとした道は茸や倒木が多い。350m地点で突然渓流が現れた。伏流が突然地上に出た感じで、はじめから音を立てて流れ出ている。右からの流れが合流する。310m付近で右手に上る標識がある。阪急ハイキング東六甲縦走路へと書いてある。いろいろ枝道がある。
「堰堤下り」
 流れを右、左と頻繁にわたる。足場の確保が難しく、しばしば足を滑らす。3段の大きな堰堤を左からロープで降りる。左俣に比べればたやすい感じがする。以前、迷走の挙句下りてきたポイントにつく。いま思えば、中俣コースだ。

堰堤の連続
記憶に新しいはずの道を下るが、雑草が生い茂り、踏跡もさだかでなく、しばしば立ち往生する。途中、尾根道と川筋のポイントで未踏の川筋を選ぶ。堰堤のたびごとに、ロープを上り下りする険しい道だ。最後は河原のヤブ漕ぎで最初の赤子谷口に戻ってきた。右俣は縦走路近くの上流はよく整備されているが、下流は荒れ放題の感じがする。

これで前回の迷走のリベンジを果たすことができた。身近にこんな素晴らしい秘境があるとはつゆ知らず、今夜は興奮して眠れそうも無い。
関連リンク
(1)東六甲 生瀬から塩尾寺、赤子谷(2003.6.1)
(2)東六甲 赤子谷左俣から行者山(2004.8.25)
(3)東六甲 赤子谷左俣〜中尾根(2009.10.4)

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